第197章 ― 交差する閃光
ダイヤモンドの塔の回廊は、まるで閉じ込められた太陽のように燃えていた。
一撃ごとに雷鳴のような音が響き、光の奔流が空間を裂いていく。
セレン・ハルヴァードは立ち上がり、顔の血を拭った。
その水晶の剣が、これまでとは異なる純白の輝きを放つ。
—「もう…お前の怒りを軽く見ることはしない。
今こそ、ヴォルテルに選ばれし真なる聖剣の力を見せよう。」
剣の刃に刻まれたルーンが白炎を灯す。
それは熱を持たないが、魂を焼く光だった。
彼の隣では、エルリアが目を閉じ、祈りの歌を口にする。
銀の光輪が彼女とセレンを包み、**“永遠王国の祝福”**が降りる。
その声は澄んだ川のように清らかだった。
—「信仰は屈せず、純潔は我らを導く。」
対するセレステは、歯を食いしばりながらプリズムを震わせる。
その光は赤と桃色に脈打っていた。
—「どんな祝福だろうと、私は引かない!
あの日、あなたたちがしたこと――私は忘れてない!」
ウェンディが槍を地に突き立て、炎の円陣を作り出す。
—「ならば――最後まで一緒に戦おう。」
太陽とプリズムが重なり合い、
ふたりの少女の周囲に薔薇金のオーラが広がる。
その力は回廊全体を震わせた。
衝突は、まさに**激突**だった。
セレンは目にも止まらぬ速さで斬りかかる。
その剣閃は雷のように空気を裂く。
セレステは咄嗟に水晶の壁を構築。
斬撃でヒビが入るが、持ちこたえ、反撃のダイヤモンドの拳でセレンを弾き飛ばす。
一方、エルリアは浄化の光線を放つ。
ウェンディはその光を炎の槍で弾き返し、
炎の輪を回転させながら叫ぶ。
—「あなたの光が一番なんて…思わないでよ!」
灼熱の一閃が聖女を襲い、彼女は銀のマントで防ぐも、
その衝撃で数メートル吹き飛び、床にヒビが入った。
その頃――塔の中心では、リュウガが全てを見ていた。
彼の**視界**には、あらゆるものが映っていた。
セレンの剣筋。
エルリアの魔術式。
セレステの激情。
ウェンディの不屈の意志。
だがそれだけではなかった。
塔の外――
再編されたイアト帝国軍が、スティルとパールの猛攻から立ち直り、再進軍を開始。
ヴォルテル王国の第2部隊が、東門へと迫っていた。
さらにその東方の地平線には、正体不明の闇のエネルギーが進行していた。
リュウガは拳を握る。
—「彼女たちだけじゃ、足りない…
備えなければ――塔は、勝っても崩れる。」
そして回廊では、セレステが咆哮を上げて突撃する。
彼女のクリスタルが、野性の感情で輝く。
セレンの斬撃と激突し、光の粒が星のように舞う。
ウェンディとエルリアの火と浄化が渦巻き、塔を揺らす。
もはやこれは単なる戦いではなかった。
――信念と信念のぶつかり合い(審判)。
リュウガはその中で、静かに確信する。
まだ、これは終わらない。
真の決着は――これからだ。
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