第195章 – 鉄と炎の咆哮
ダイヤモンドの塔の扉が、激しい轟音と共に開かれた。
イアト帝国の軍勢が怒涛のごとく突入してくる。果てしない兵士の列、戦闘機械の群れ。まるで“鉄の津波”だった。
その最前線に、二つの影が立ちはだかる。
スティアは戦闘モードを起動した。肩部が展開し、複数のミサイルランチャーが炎のエネルギーを帯びて輝く。
—「目標:敵軍。」
—「殲滅プロトコル…開始。」
金属の咆哮が空気を裂き、全方位へとミサイルが放たれた。
爆発ごとに太陽のような閃光が走り、敵の列は灰へと変わる。大地が震え、塔そのものが怒りを持って応えるかのようだった。
一方、パールは静かに前進した。
両手に構えた二丁拳銃が神聖な光を帯び、まるで裁きの道具のように輝いていた。
横から兵士が襲いかかるが、彼女は片足で回転しながら正確に心臓を撃ち抜く。次の敵には膝へ、さらにもう一人の武器を奪い一撃で沈めた。
それはまさに死の舞踏。
彼女の動きは音もなく、そして一撃一撃が絶対の精度を持っていた。
パールはただの戦闘機械ではなかった。
優雅にして冷酷な嵐だった。
塔の上からその光景を見ていたアンは、思わず呟いた。
—「まるで…これを何千回も繰り返してきたかのよう…。」
リュウガは静かに頷いた。
—「パールは無作為に撃つことはない。彼女は“魂”を見極めて撃っている。」
だが、それでも足りないことは彼自身が分かっていた。
リュウガは右手を掲げ、空間に魔法陣を展開した。
—「ガレオン、応答せよ!」
天空から金属の咆哮が響き渡り、巨大な飛行戦艦ガレオンが姿を現す。
艦の扉が開き、隠された兵器が解き放たれる。
中から現れたのは二つの乗り物だった。
一つはピンクの装甲ホバーウィンドチェイサー、側面にはプラズマ砲。
もう一つは黒鉄のバイクモーターブレイザー。火炎放射器と回転式ガトリング砲を搭載した凶器だ。
リュウガは叫ぶ。
—「重騎兵、展開せよ!」
ハルがウィンドチェイサーに飛び乗り、尾を揺らしながら興奮気味に叫んだ。
—「狩りの時間だぜ!」
機体はエネルギーの嵐を吐き出し、帝国の兵器を次々と焼き払っていく。
ブルーナは高笑いしながらモーターブレイザーに乗り込む。
—「かかってこい、クズども!ぶっ潰してやる!」
炎を撒き散らし、回転砲が鉄と肉を貫きながら敵の陣形を破壊する。
イアト帝国も反撃を開始。魔法投石機と装甲騎士を投入するが、スティアが新たなミサイルの雨を降らせて粉砕。
パールは旋回しながら敵の指揮官の兜を正確に撃ち抜く。
—「純化システム…敵性の排除を開始。」
兵士たちは次々と倒れ、その精密さに誰も対抗できなかった。
中心から戦場を見つめていたリュウガの瞳には、幻視が燃えていた。
—「これは始まりにすぎない…だが、本当の地獄はまだ来ていない。」
彼の声は、鉄と火の嵐にかき消された。
ダイヤモンドの塔の防衛戦は、ついに本格化したのだった。
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