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第194章 – 鉄の咆哮と純潔

ダイヤモンドの塔の内部に警報が鳴り響いた。

それはまるで、黒き波が迫っているのを構造そのものが感じ取っているかのようだった。


クリスタルの隙間から見えるのは、赤と金の松明を掲げるイアット帝国の軍勢。

数百の兵士が完璧な隊列で進軍し、攻城兵器のエンジンが唸りを上げる。

そして、雷のような戦の咆哮が空気を震わせた。


――「イアット!イアット!イアット!」


その圧力に、塔の壁すら震えていた。


塔の中心部。

リュウガは目を閉じ、視界の中に敵の動きをすべて映し出す。


「来る…全力で。」


ゆっくりと振り向き、仲間たちを見据える。

その声は静かだが、芯のある命令だった。


「今はまだ、力を出し切る時じゃない。…時間を稼ぐ。」


そして、視線を二つの存在に向けた。


「スティル、パール。前線を頼む。」


スティル――ミラージュで鍛造された機械の巨人は、無言で砲身を掲げた。

その眼は赤く輝き、機構が作動する音が響き渡る。


「命令確認。重砲戦闘ユニット、起動。」


金属の身体が変形し、複数の砲塔と分厚い装甲を展開。

轟音のようなエンジンの唸りが塔の空気を震わせた。


その隣に立つのは、白銀の髪を揺らす少女――パール。

その眼には、機械とは思えないほどの静謐さが宿っていた。


「この塔の純潔が血に染まるのなら…私たちの手で。決して彼らにはさせません。」


静かに腕を広げると、白い光の結界が彼女を中心に展開された。

周囲には浮遊するルーンが優しく輝いている。


仲間たちは、息を呑んだ。


「二人だけで…大丈夫なの?」アンが不安げに尋ねる。


リュウガはうなずいた。

「彼らは…この日のために創られた存在だ。

俺たちは、まだ力を温存する。…本当の敵は、まだ来ていない。」


次の瞬間――


塔の扉が轟音とともに開かれ、イアットの軍勢が怒声を上げて雪崩れ込んできた。


スティルが砲身を回転させ、焼き尽くすような火炎弾を連射。

爆音が響き渡り、兵士の列が金属の灰と化して崩れ落ちた。


その間に、パールが静かに呟く。


「純潔システム――起動完了。」


瞬間、白き爆発が発生。

侵入者を弾き飛ばし、クリスタルの壁に叩きつけた。

その光は攻撃というより“浄化”のようで、兵士たちは悲鳴すら上げられず押し返された。


塔の上層、リュウガはその光景を見つめていた。

隣にはアンとアイオ。


「今は勝つことが目的じゃない。」

彼は低く呟く。

「“この塔はただでは通れない”――そう教えるのが目的だ。」


入口での戦いは、まだ始まったばかり。

だが、塔を守る最初の門番として――


鉄の咆哮、スティル。

そして、純潔の守護者、パール。


その二人が、戦火の最前線に立っていた。

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この物語はメキシコ出身の作者「ジャクロの魂」によって執筆されています。 お気に入り・評価・感想などいただけると、物語を続ける力になります! 応援よろしくお願いします!
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