第187章 – 進軍する影たち
夜明けの光が地平線を照らし、ガレオン船はなおもダイヤモンドの塔へと進路を取っていた。
甲板では、英雄たちが遠くにそびえ立つ巨大な構造物の輝きを見つめていた。
それはまるで、神の灯台のように空へ向かって輝いていた。
しかしその頃、大陸の南部では、金属の咆哮が谷間を震わせていた。
イアト帝国が進軍を開始したのだった。
漆黒の騎士団が列をなし、鎧は太陽の光を刃のように反射していた。
機械仕掛けの戦車が前を行き、火のルーンを刻んだ攻城兵器を引いていた。
赤と金の旗が空を裂き、その存在を大地の傷痕のように刻んでいた。
その最前線、重装備の軍馬に乗っていたのは——
イアト帝国将軍、ヴァルダー。
彼の鎧は深い黒にして、紅の刻印が彫られ、
翻るマントは戦の象徴であった。
燃えるような金色の眼差しは、北方を静かに見据えていた。
— 「ダイヤモンドの塔…」と彼は呟く。
「忘れられた記念碑…やがて、それは我が帝国のものとなる。」
そこへ副官が馬を寄せ、頭を下げた。
「将軍、偵察隊より報告です。塔に向かう別の集団を確認したとのこと。」
ヴァルダーは冷たい笑みを浮かべた。
—「上等だ。塔の財宝を手に入れるだけではない…
我らに逆らう者どもを蹂躙する好機でもある。」
進軍は続いた。
ヴァルダーの背後には、数千の兵が金属の咆哮を上げていた。
—「イアト!イアト!イアト!」
その一歩ごとに大地が揺れ、
森はざわめき、
獣は逃げ去った。
帝国の影は、鉄の帳のごとく大地に広がっていった。
一方その頃、崖の上では、魔法の偵察用金属鳥が翼を広げ、
映像を直接ガレオン船に送信していた。
甲板では、リュウガがその映像を受信する。
ホログラムの光の中に、ヴァルダーとその大軍の姿が浮かび上がった。
アンは歯を食いしばる。
—「あの男…塔に向かってるのね!」
アイオは怒りを込めて床を踏みしめた。
—「やつらに先を越されるわけにはいかない!」
ウェンディは腕を組み、真剣な表情で言った。
—「イアト帝国があの塔を手に入れたら…
世界全体が震撼することになるわ。」
リュウガは沈黙を保ち、ヴァルダーの映像を冷たく見つめていた。
やがて静かに口を開く。
—「…ならば、急ぐしかない。
塔は俺たちだけを待っているわけじゃない。」
風が吹き抜け、ガレオンはその追い風に乗って進んでいく。
—異なる二つの道が、同じ一点へと向かっていた。
ダイヤモンドの塔は、彼らを待ち受けている。
そしてその先には…
—避けられぬ激突があった。
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