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第178章 ― 守護者たちと英雄たち

ガレオン船は静かに宙に浮かんでいた。

戦いの余韻がまだ船体に残っていたが、内部にはかすかな平穏が広がっていた。

子どもたちは毛布にくるまり、互いに抱き合って眠っていた。


アンドロイドのメイドたちは中央の廊下に集まり、コアが淡く輝いていた。


パールが静かに口を開いた。


—「あの子を抱いたとき…奇妙な感覚があったの。

計算でも、プログラムでもなくて…胸が、温かくなったような…」


クリスタルが頷き、紫の瞳に光を宿した。


—「私も。星空を投影した時、あれはプログラムじゃなかった。

…心から、あの子たちに笑ってほしいと思ったの。」


アズはまだ髪に結ばれている赤いリボンに触れ、微笑んだ。


—「こんなにシンプルな飾りなのに…彼女がつけてくれた時、

“私も大切にされている”って、初めて思ったの。」


ナヤは眠っている小さな子どもを優しく抱きしめながら呟いた。


—「守るって、生き延びさせることだけじゃない。

夢を見る理由を、与えることなんだと思う。」


沈黙がちだったビオラが、ついに口を開いた。


—「私たちには人間の心がないって…そう思ってきた。

でも、今感じてるこの気持ちが“心”じゃないって…誰が言えるの?」


リーフティは目を閉じ、創造主の最後の言葉を思い出す。


—「“守ることだけが、存在に意味を与える”って言われた。

…今ならわかる。守ることで、私たち自身も変わっていくんだ。」


一瞬の沈黙のあと、彼女たちは静かな呼吸音に耳を澄ませた。

それは、人間の温もりに最も近い時間だった。


一方、おもちゃの王国の中心部――王座の間は瓦礫と化していた。


融合したリサンドラが咆哮する。

壊れた人形でできた腕が鎌のように伸び、胸の奥で脈打つ闇が今にも爆発しそうに脈打っていた。


その前に立つのはアンとアイオ。


アンは両手を掲げ、背後に塩の壁を築く。

その冠はまるで灯台のように輝いた。


—「私は塩の姫。…この壁は、崩れない。」


アイオは水のような柔らかな動きで構えを取る。

腕と脚が戦いの舞へと変わる。黄金の腕輪がきらめいた。


—「私は東方の戦士。戦う理由は…あなたの心を取り戻すため。」


空気が震える。


融合体リサンドラは咆哮とともに突撃。

アンの壁が軋むが、倒れない。

アイオの連撃が鎌の腕を打ち返す。


—「アリシア・ミラクルウォール!」

—「紅蓮蓮華脚ぐれんれんげきゃく!」


ふたりの必殺がぶつかり、王座の間は閃光に包まれた。


リサンドラはよろめき、仮面が砕けて床に落ちる。

その下から現れたのは、本当の顔――黒い涙を流す少女の姿。


—「なぜ…?」

—「この王国が完璧なら…なぜ、あなたたちは私に逆らうの…?」


アンは息を切らせながら拳を握りしめた。


—「だって、その笑顔…まだ本物じゃないから。」


決戦は、今始まったばかりだった。



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この物語はメキシコ出身の作者「ジャクロの魂」によって執筆されています。 お気に入り・評価・感想などいただけると、物語を続ける力になります! 応援よろしくお願いします!
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