第177章 – 鋼の守護者、光の心
彼とウェンディ、セレステ、クロ、マグノリア、アルタ、グレイオ、リリアは、ガレオンから戦場へと転送され、姿を消した。
指令室には静寂が訪れた。
怯えた子供たちが、震える体で周囲を見回す。
その目には、消えぬ恐怖の色が浮かんでいた。
そのとき――
アンドロイドの侍女たちが一歩、前に出た。
リーフティは、小さな子供たちの前に膝をつく。
彼女の腕からは治療用のツールが展開され、その声は静かで、しかし確かな強さを持っていた。
「痛くないよ。ここで、すべての傷を癒そう。壊れたおもちゃは、もう君たちに触れさせない。」
一人の子供が、涙を浮かべながら囁いた。
「…お母さんみたい。」
リーフティは少しだけ目を伏せたが、すぐに微笑み、そっとその子の髪を撫でた。
「だったら、今だけでも…そうさせて。」
パールは、白銀の髪を揺らしながら床に座り、両手を広げた。
「おいで。ここには、もう危険はないわ。」
年少の子たちが駆け寄り、彼女の腕の中に飛び込む。
穏やかな声で、呼吸を整えるように導いた。
「吸って…吐いて…うん、上手。怖さは、ゆっくり消えていくよ。」
一人の子が、安心したように膝の上で眠り始める。
パールはその額を撫でながら、静かに抱きしめた。
クリスタルは、紫の瞳を輝かせ、手を差し出した。
空間に浮かび上がったのは、舞い踊る星々のようなホログラム。
「見て。どんなに暗くても、星は君のそばにいる。」
その光景に、子供たちは目を輝かせ、笑い声がぽつぽつとこぼれ始めた。
恐怖は、光と笑いに溶けていく。
アズは、無駄のない動作でしゃがみ込み、ハンカチで子供たちの涙と汚れを拭っていく。
乱れた髪を直しながら、淡々と告げた。
「パラメータ:恐怖度高。視線で安定を図ります。」
彼女は微かに笑い、機械的だが温かな表情を見せた。
「私の目を見て。ここはもう、安全だよ。」
一人の少女が、笑いながら彼女の髪に赤いリボンを結ぶ。
アズはまばたきし、受け入れた。
「アクセサリ確認。スタイル更新完了。」
ナヤは、自然な温もりを纏って毛布と水を配っていく。
「本当によく頑張ったね。これからは、私たちが守る番だよ。
君たちは…ゆっくり休んで。」
強がっていた年上の少年が、その言葉に耐えきれず泣き出す。
ナヤは何も言わず、ただ静かに抱きしめた。
ヴィオラは、無言で扉の前に立ち、周囲を見張っていた。
だが、部屋の隅で一人震える子供を見つけると、そっと歩み寄り、手を差し出した。
「…言葉は得意じゃない。でも、そばにいる。」
少年は無言でその手を取り、彼女のスカートの後ろに隠れた。
ヴィオラはそれ以上何も言わず、まるで絶対に崩れない壁のように立ち続けた。
恐怖に染まっていたはずのガレオンの大広間は、
次第に、笑い声と優しい光で満ちていった。
子供たちはクリスタルの星々を追いかけ、パールとナヤの腕に身を預け、
アズに整えられ、リーフティとヴィオラに守られながら――
ついに、心からの笑顔を見せた。
静かな廊下の中、リーフティは他の侍女たちに向かって静かに言った。
「リュウガたちは外で戦ってる。
でもここでは――私たちが、その“希望”の鏡になる。」
パールは優しく頷いた。
「子供たちの笑顔がある限り…この王国は、まだ終わらない。」
子供たちはまた笑い、星々のホログラムの中で踊った。
――その一瞬、ガレオンは、まるで本当の家のようだった。
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