第176章 – プリズマ・フィナーレ:闇のリセット
通路全体が敵で埋め尽くされていた。
壊れた玩具たちは終わりなき波のように押し寄せる。
首のない鉛の兵士、刃物の腕を持つ人形、黒い炎に包まれた操り人形たち。
そこは、まさに機械の悪夢が生まれる海だった。
リュウガが叫んだ。
「今しかない!セレステ、俺たちの力を導け!」
ウェンディが黄金の翼を広げ、空に太陽の球体を浮かべる。
「――燃え上がれ、灼熱の太陽よ!
闇を照らせ!」
マグノリアは光の花を無数に解き放つ。
「――希望よ、千の花びらとなって咲き誇れ!」
アルタが剣を高く掲げ、一閃。
「――暁の斬撃よ!闇を裂け!」
グレイオが怒声を上げながら、大地を打つ。
「――祖雷よ、我が怒りと共に砕けろ!」
クロは白と水色の杖を掲げ、純白の光線を召喚した。
「――清き黎明よ、すべての穢れを焼き払え!
《オーロラ・オブ・ピュリティ》!」
リリアは弓を引き絞り、空を満たす矢の雨を放つ。
「――極光の千の矢、降り注げ!」
全員の力が融合し、一つの螺旋となってセレステへと収束する。
彼女の身体を覆うプリズムの鎧が虹色に輝き、その全てを取り込むように光を吸収していく。
「――コンパイル完了。エネルギー、最大値に到達。」
その瞳が神々しく光り、歴史を刻む言葉が彼女の唇から放たれた。
「EX:プリズマ・フィナーレ――公正なる現実のリセット(リセット・オブ・リアリティ)!」
神聖なるコマンドが空間を貫いた。
戦場が一瞬、虹色の海へと変わる。
すべての壊れた玩具たちは静止し、まるで現実そのものが書き換えられたかのようだった。
そして――
白と虹の閃光と共に、彼らは塵へと還った。
その光はただの破壊ではない。
歪んだ存在を、優しく、しかし確実に無へと帰す“再構築”の奇跡。
20秒間、世界は静寂に包まれた。
味方たちの傷が癒え、力が均衡を取り戻す。
敵の姿はもう、どこにもなかった。
通路は完全に開かれた。
ガレオンは、ついに脅威なく前進できる。
リュウガは静かに息を吐き、セレステに視線を向けた。
「……今のは、俺たち軍の最高の一手だった。」
セレステは膝をついたが、穏やかな笑顔を浮かべて答える。
「……私ひとりじゃない。
これは、みんなの輝きの“反射”だよ。」
仲間たちが集まり、彼女を囲んだ。
静かに、しかし確かに――勝利の余韻が、そこにあった。
だが誰もが知っていた。
これはまだ、序章にすぎない。
王国の心臓部では、アン、アイオ、そしてリサンドラの戦いが、
本当の運命を決しようとしていたのだ。
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