175 – 選ばれし者たちの反撃
壊れた玩具たちは、尽きることなく現れ続けた。
まるでこの王国そのものが、ゼンマイと鋼の怪物を産み落とす母胎であるかのように。
セレステ、クロ、リリアがどれほどの数を焼き払い、砕き、消しても――
なお、敵は壁や床の裂け目から這い出し、闇のように押し寄せてきた。
だがその時、前線に一人の光が立ちはだかった。
ウェンディだった。
黄金の翼が太陽のように広がり、まばゆい輝きを放つ。
その瞳には、全てを守ろうとする怒りが宿っていた。
「私がここにいる限り……通さない!」
両腕を交差させると、背後に太陽の輪が浮かび上がった。
「――《恒星の盾》!」
熱を帯びた光の壁が通路を覆い、突撃してきた玩具たちを灼き尽くす。
それでもウェンディは止まらない。
宙を舞い、翼から火花をまき散らすように回転した。
「――《太陽の槍・オーロラランス》!」
放たれた黄金の槍は、燃える彗星のごとく突き進み、敵の群れを貫いた。
炎の道が通路を切り裂き、暗闇に明かりを灯す。
その隣、マグノリアが両手を掲げる。
鐘のように澄んだ声で叫ぶ。
「――《千花の光》!」
空中に無数の魔法陣が花のように咲き、そこから放たれる光の弾丸が絡み合いながら飛ぶ。
それはまるで花びらの嵐。
捕らえられた敵は爆ぜるように光に呑まれ、跡形もなく消えた。
その一方、王子アルタは剣を構えていた。
その剣は彼の血統の輝きを宿し、青白く光を放っていた。
「――《暁の剣》!」
斬撃が空間を切り裂き、鉛の兵士たちを一刀両断。
その声が響き渡る。
「泣く子どもたちのために!
リサンドラの笑顔のために!
僕は、ここで止まらない!!」
グレイオは怒りに満ちた笑い声をあげながら、手にした大槌を振りかぶる。
その槌は古代の紋章で輝き、雷を纏っていた。
「――《祖雷の鎚》!!」
床に叩きつけた瞬間、雷光の衝撃波が広がり、敵を感電させながら粉砕する。
空気は金属の焦げた匂いに満たされ、グレイオは叫ぶ。
「これは……
俺の民と、すべての罪なき者たちのためだ!!」
玩具の群れはついにその進行を止められた。
通路の先に、仲間たちが立ちはだかる。
リュウガはその光景を見つめる。
クロの純白の杖、セレステの虹の鎧、リリアの輝く弓。
ウェンディの太陽、マグノリアの花、アルタの剣、グレイオの雷。
誰一人、退かない。
「……そうか」
リュウガは小さく微笑み、低く、しかし確かに呟いた。
「これが……俺たちの本当の力だ」
その瞬間、大地が再び震えた。
遥か彼方から、さらなる敵の気配が迫る。
だが、もはや誰も怯えなかった。
誰も、目を逸らさなかった。
彼らは戦士ではない。
彼らは、選ばれし者たち。
そして今――
その誇りが、世界を照らしていた。
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