第162章 — 解き放たれた巨像の咆哮
ガレオン船前の広場は、鋼鉄の地獄と化していた。
機械仕掛けの鉛兵士は戦争の怪物へと変貌し、
回転刃の四本の腕、装甲に埋まった砲塔、
そして腹部のエンジンは飢えた獣のように轟く。
一歩ごとに大地を震わせ、動きのたびに火花と黒煙を散らす。
カイマン・ブラックの姿になったカグヤは、瀕死の体勢からなおも呻いた。
—「弱点など、ない…!」
おもちゃの壁が半分壊れる強烈な斬撃を辛うじてかわしながら。
ブルナは怒りを込めた咆哮で応じる。
即席の武器を振り、巨像の脚を叩いたが、ほとんど揺れさえしない。
その代わり、巨大な腕の一撃で地面に叩きつけられた。
燃えるような素早さで動くハルは、
青い炎をたなびかせながら走り回り、攻撃を試みた。
—「焼けもしない…まるで山に突っ込んでるみたいだ!」
突如として、巨像は胸部を開き、一斉にミサイルを射出した。
—「気をつけて!」ウェンディが叫ぶ。
彼女は金色の翼を広げ、太陽の盾となり、爆発を受け止めた。
その衝撃で体が揺れ、耐え難い重圧に顔を歪める。
—「うう…このままじゃ持たない…!」
船上でスティルが金属の声を轟かせた。
—「砲塔、再装填完了。カバー要請。」
アズは前へ躍り出た。
エネルギー剣をプロペラのように回転させながら、
2回の袖払いをかわすも、3度目を受けて後方へ弾かれた。
しかしなお落ち着いた声で言う。
—「ダメージ受領。稼働率:72パーセント。継続する。」
—「今、折れるな!」ウェンディが汗をぬぐいながら叫ぶ。
巨像は四本の腕を一斉に振り上げ、
一撃で全員を粉砕するかのような攻撃態勢に入った。
カグヤが咆哮しながら突進する。
—「落ちるなら…最後まで戦ってやる!」
ブルナは立ち上がり、武器で強烈な一撃。
—「顔を砕いてやる!」
ハルは燃える尾を跳ねさせ、空中で叫ぶ。
—「総攻撃だ! 呼吸をさせるな!」
全員が突撃を仕掛ける。
その拳、爪、武器、炎が、必死の防衛線を形成した。
その刹那、スティルの砲が完全に再装填された。
—「最後の一撃。集中砲火。」
巨大な砲撃がガレオンから発射され、巨像の胸部へ命中。
轟音と共に装甲が溶け出すが、巨像はまだ立っていた。
—「そんな……!」ハルは息を吞んだ。
巨像はさらに怒りを燃やし、背中のパネルを開く。
巨大な砲門が現れ、赤いエネルギーを噴き上げる。
アズが呟いた。
—「確認:単発でも…ガレオンが吹き飛ぶ威力だ…」
沈黙が一瞬広場を包む。
大気は灼熱のように焔めき、
巨像の咆哮は遠雷のように轟く。
耐えるウェンディが、震える羽を再び広げた。
—「なら…撃たせはしない!」
戦局はついに臨界点に到達した。
この章を気に入っていただけたら、お気に入り登録やコメント、シェアをぜひお願いします!
あなたの応援は、もっと多くの読者にこの物語を届ける力になります!