表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
163/324

第158章 – 壊れた王国に差し込む希望の光

リサンドラが鎧を完全に装着したとき、広間の空気は一変し、まるで重力が増したかのような圧迫感に包まれた。

木製ブロックが肩のアーマーとしてはまり、腕には軋む歯車が回り、胸部には仮面のような磁器の笑顔が埋め込まれている。

脚には装甲付きのバネが装着され、歩くたびに床が軋み鳴る。

背中では、回転するメリーゴーランドの木馬が、邪悪な光を放っていた。


「これが私の完璧な世界……」

リサンドラの声は金属のように反響しながら響いた。

「壊したいなら……私を超えていきなさい!」


アンとアイオは互いに目を見合わせた。

頬には涙が残っていたが、その瞳には強い意志が灯っていた。


アンは拳を握り、声を張る。

「だったら……この偽物の世界を、私の“本当”で壊す!」


その瞬間、青い結晶のような光がアンの体を包み込む。

空中にはカードが浮かび上がり、鏡のように回転する。

アンの体にはレースとリボンのドレスが現れ、古びた鍵や時計の装飾が施される。

髪は長く伸び、銀のティアラが頭に輝く。


「変身!――夢を求めるアリシア!」


続いてアイオが深く息を吸い、静かに目を閉じる。

目を開いた瞬間、風が広間を吹き抜けた。

足元は赤く燃え、腕には鋼のような力が宿る。

赤と黒のタイトな戦闘スーツが体を包み、髪の先は金色に輝いた。

額には自動的に結ばれた深紅のリボン。


彼女は空中にキックを放ち、衝撃波が壁を震わせた。

「プリキュア・テコンドー!――アイオ、戦闘準備完了!」


リサンドラは一瞬、顔を伏せた。

その目には、ほんの少しだけ迷いがあった――


だが次の瞬間、腕を振り上げ、歯車が地響きのように回転する。

「……ならば、もう後戻りはできない。ゲームスタートよ!」


広間の灯りが一斉に消える。

舞台のように中心だけが照らされ、二人の少女は星のように輝く。

そして、その前に進むのは――悪夢のようなタイタンとなったリサンドラ。


***


一方、外の廊下では、轟音と共にポーセリン人形の巨体が足を踏み出す。

その圧力に、床はまるでガラスのようにひび割れていく。

その口からは、歪んだ子どもの笑い声が無数に響き渡る。


「な、なんて大きさだ……」

アルタ王子は剣を握りしめ、恐怖をこらえるように叫んだ。


マグノリアは両腕を広げ、輝く魔法陣を展開する。

「これは魔力が歪められて作られたもの。全力でいかなければ……!」


グレイオは唾を吐き、ハンマーを握り直す。

「フッ、ただのデカい陶器だろ? 壊すために俺がいるんだよ!」


リュウガは静かに前へと歩み出る。

その目は、仲間でさえ息を呑むような強さで燃えていた。


「甘く見るな……ここで倒れたら、アンたちに戻る場所はない。」


巨大な人形は腕を持ち上げ、そこには水晶の大鎌が装備されていた。

それが叫びと共に振り下ろされ――


リュウガが手を交差し、空間に魔法陣が広がる。

「本当の戦いはここからだ!」


***


広間の中では、アンがリサンドラの攻撃を紙一重でかわし、響く歯車の音が悪魔のように耳をつんざく。

アイオは強烈な拳を回し蹴りで受け止め、その衝撃が雷鳴のように響いた。


「リサンドラ、お願い、聞いて!」

アンが叫ぶ。

「あなたは敵なんかじゃない!」


だがリサンドラは叫び返す。

「違う! 私が“守る”世界なのよ!!」


背中のメリーゴーランドが高速で回転し、無数の木馬型の爆弾が射出される。


「危ないっ!」

アイオはアンを押しのけて前に立ち、真上に脚を振り上げる。

「お姉ちゃんには指一本触れさせないっ!」


その蹴りから放たれた風の刃が、飛来する木馬たちを一掃する。


アンは立ち上がり、涙をこぼしながらも目を逸らさない。

「ならば、あなたの“心の鎧”を砕いてみせる!」


衝突は避けられない。


おもちゃの玉座は、今――

戦場と化していた。

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


この物語が少しでも面白いと感じたら、ぜひ「お気に入り」登録や「評価」ボタンを押していただけると励みになります!


コメントも大歓迎です。今後の展開にもご期待ください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この物語はメキシコ出身の作者「ジャクロの魂」によって執筆されています。 お気に入り・評価・感想などいただけると、物語を続ける力になります! 応援よろしくお願いします!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ