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第14章 狩り パート2

廃墟の中心で、

すり減った柱が忘れ去られた獣の牙のようにそびえ立っていた。

錬金術の腐敗した緑の炎に燃える松明が、乾いた血に染まる大地に幽かな影を落とす。


禁じられた印が刻まれた儀式陣はかすかに脈動していた。

まるで時そのものが、それに触れることを拒んでいるかのように。


数十人の盗賊が半円を描いて集まっていた。

手にするのは、槍、ナイフ、鎚、そして狂気で錆びた魔道具。


その中心には――

獣の骨と錆びた鋼鉄で作られた即席の玉座。

そこに座るのは、巨大で異様な仮面を被った男。

その体を覆うのは、縫い目も荒い皮と骨のマント。


「進行は順調か?」

低く掠れた声。

それは権威と、支配への渇望に満ちていた。


部下の一人が前に出て、頭を下げた。


「はい。防御は完了、周囲は封鎖済み。

…そして“供物”は、まだ生きています。抵抗しましたが…もう喋りません。」


男は濁った笑いを漏らし、玉座を降りて

祭壇へと歩を進める。


そこには――

太陽のような黄金の髪を持つ少女。

裂けた儀式服を着て、石のオベリスクに鎖で縛られていた。


彼女の目は、怯えと…それでも消えない意思で光っていた。


「レオノール王国の王女よ…」

その男は唸るように言った。

「お前の血筋が、この儀式にどれだけの価値を持つか…教えてやろう。」


周囲に、狂信的なざわめきが走る。


男が魔法陣を起動しようと手を伸ばした――その瞬間。


地鳴り。


地面が低く震え、火が揺れ、空気が重くなる。


「未確認の魔力反応ッ!」


「高位の干渉だ! 儀式の一部じゃない!」


「見つかったのか!?」


轟音が塔を砕いた。


金色の魔力が夜を裂き、空から影が降ってくる。


狐の影――カグヤ。

魔法防衛線を正確に切断しながら、空を駆けた。


紅蓮の炎と共に舞い降りたのはセレステ。

彼女の杖から蛇のように絡みつく炎の鎖が、魔導士を縛り上げる。


そして――


闇を纏い、静かに現れる男。


リュウガ。


「…これは合図だ。」

手を掲げ、黄金の斬撃が魔法陣を紙のように断ち切る。


「誰だ貴様はっ!」

リーダーが怒声を上げる。


「“ヴェールの円環”に逆らうとは…何者だ!?」


リュウガは、答えない。

ただ…歩く。静かに。だが、地面はそのたび震える。


彼は祭壇の前で立ち止まり、囚われた少女を見下ろす。


「彼女を救いに来た。」

「この場を、破壊してでも。」


王女の目に、初めて光が差した。


「あなたは…誰…?」


「ただ、偽りの儀式に騙されぬ者だ。」


遠方から、「砂漠のデザート・サンダー」の砲撃が放たれる。


盗賊が吹き飛び、混乱が始まる。


その中で――


影のように背後から現れたのは、クロ。


無言で、首領の喉に短剣を当てた。


「もう一言でも発せば…その魂は還る場所を失う。」


群れは崩れ、戦場は地獄に変わった。


だが――


この地獄に降り立ったのは、“狩られる者”ではない。


狩る者だ。

そして今、狩りが始まった。

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この物語はメキシコ出身の作者「ジャクロの魂」によって執筆されています。 お気に入り・評価・感想などいただけると、物語を続ける力になります! 応援よろしくお願いします!
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