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第148章 – 魔法の心の重み

夜の空に浮かぶガレオンは、静かに揺れていた。

皆が眠りについている……あるいは眠ったふりをしている中、

アイオだけが起きていた。


両手を膝の上に置き、遠くに灯る村の明かりを見つめていた。


そして――記憶は、許可もなく戻ってきた。


東京の喧騒。

始発電車のきしむ音。

密かに集めていた魔法少女のフィギュアのCM。

「早くしなさい!」と呼ぶ母の声。


そして、まだ幼かったアイオは、

キラキラした目でテレビの中のヒロインたちを見つめながら――

こう呟いていた。


「わたしも……いつか誰かを救いたい」


いま、彼女はその“夢”が現実となった世界にいる。

だがその現実は、あまりにも残酷だった。

「誰かを救う」――

そのためには、“友達と戦う”ことさえ必要になる。


そんなとき、アンが静かに現れた。

いつも、アイオの不安を言葉より早く察してくれる少女。


「眠れないの?」


「……うん」

アイオは弱く笑った。

「東京のこと、考えてた。

ヒロインになりたかった、あの頃の私のこと」


アンは彼女を見つめる。

その目は、無邪気でありながら、どこまでも真っ直ぐだった。


「もう、なってるよ」


――


ウェンディも静かに近づいてくる。

母の温もりを残す手が、アイオの肩に添えられた。


「アイオ、わかってる。

リサンドラは、あなたの大切な友達。だからこそ、つらい。

でもね……

ヒロインっていうのは、壊すためにいるんじゃない。

その痛みを背負って、それでも“別の道”を探すためにいるのよ」


その言葉が、鐘のようにアイオの胸に響いた。


――


アイオは、甲板で深く息を吸った。

窓に映る自分を見た。


普通の女の子――

不安と恐怖に揺れる少女。

でも……東京では誰にも気づかれなかったこの姿を、

この世界では――

アンも、ウェンディも、リュウガも、みんなが“ヒロイン”として見てくれた。


――私は、夢の中にいるんじゃない。

いま、ここにいるのが“本当の私”なんだ。


目を閉じた。

頬を涙が伝った。


「リサンドラ……あなたがどんなに傷ついていても、

私はあなたを――見捨てない。

絶対に、救ってみせる!」


その瞬間――

紫と雷光のオーラが彼女の体を包んだ。


ギター型の武器が手に現れ、

両拳に魔法のボクシンググローブが現れる。

ロックスタイルの戦闘服には、チェーンと輝く星が散りばめられ、

月光の下でまばゆく輝いていた。


夜風が彼女の髪をなびかせる。


そして、アイオは静かに構えを取った。


「明日……どんなことがあっても……

私は“敵”として戦わない。

“友達”として、戦う」


「だってそれが――

私がなりたかった“ヒロイン”だから」

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


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この物語はメキシコ出身の作者「ジャクロの魂」によって執筆されています。 お気に入り・評価・感想などいただけると、物語を続ける力になります! 応援よろしくお願いします!
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