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第140章 – 消えた声の井戸

村は昼のあいだ、できる限り普段通りを装っていた。市はにぎわい、子どもたちは遊び、旅人は物珍しげに見つめられていた。だが、夕暮れが落ちるとともに、噂話は隠しきれなくなった。


粉ひき職人の見習いが行方不明になったのだ。

母親は、最後に彼を見たのは広場の井戸のそばだと誓った。隣には、人形を抱えた少女がいたのだと。


その話を聞いた瞬間、アンは思わずリサンドラを抱きしめ、アオイも隣で庇うように立った。だがリュウガは分かっていた──行動するしかないと。


「今夜、井戸を調べる」

宿の広間で、彼は静かにそう告げた。


同行するのは、アン、アオイ、パール、そしてブルナに決まった。


調査


広場は静まり返っていた。

井戸は中央にぽつんと立ち、湿った冷気を放っている。切れた縄が、舌のように垂れ下がっていた。


「変だな…」アオイが身をかがめて呟く。


パールが指先を光らせ、青白い光を投影した。石壁が照らされ、そこには新しく刻まれた円形の紋様が浮かび上がった。


「確認──生体色素反応。血液である確率、84%」

アンドロイドの声は淡々としていた。


ブルナが奥歯を噛みしめる。

「やっぱり…これは村人の仕業じゃない!」


リュウガが紋様に触れた瞬間、皮膚にざわりとした感覚が走った。石が呼吸しているようだった。


「封印…誰かが最近、発動させた」


アンが唾を飲み込む。

「じゃあ…これってリサンドラと…?」


沈黙が落ちる。アオイは目を伏せ、答えることを避けた。


最初の手がかり


そのとき、光に目を覚ました老人がよろよろと近づいてきた。


「そこから離れろ!」老人は叫んだ。「その井戸は呪われておる!最初は粉ひき職人の息子だ。次は鍛冶屋の娘…。近くで遊んだ子はみんな消えるんだ!」


ブルナが怒りに燃える眼で睨みつけた。

「なら、なぜ黙っていた!なぜ誰にも警告しなかった!」


老人は震えながら呟いた。

「村のみんな知っておる…。あれはあの子のせいだと──」

震える指が、人形を抱く少女の方角を示した。


「リサンドラは無実よ!」アンが顔を真っ赤にして叫んだ。


リュウガが手を挙げてその場を収める。

「もういい。まだ断定はできない」


パールが読み取りを続ける。

「注意。封印は未完成。魔力の残滓が地下へ流れている。完成すれば…より大きな門が開く可能性」


決断


リュウガは仲間たちを見渡した。

「俺たちが降りる。アン、アオイ、援護の準備を。ブルナは俺と一緒に。パールは記録を続けろ。俺たちが戻らなかった場合…証拠を残せ」


少女たちはうなずいた。胸が早鐘を打っていた。


井戸の周囲の空気は、見えない視線にじっと見られているように震えていた。

そして、その奥から──耳に届いた。


子どもの声。だが、この世のものではない。


「……もう一度、遊ぼう」


リュウガは迷わず闇の中へ飛び込んだ。ブルナがすぐに続き、アンとアオイも後を追う。パールの光が井戸の闇を照らし、ゆっくりと降下していった。


隠されてきた村の秘密が──いま、明らかになろうとしていた。

ここまで読んでくださりありがとうございます。

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この物語はメキシコ出身の作者「ジャクロの魂」によって執筆されています。 お気に入り・評価・感想などいただけると、物語を続ける力になります! 応援よろしくお願いします!
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