第133章――火花の嵐での教訓(ひばなのあらしでのきょうくん)
アン、アイオ、ウェンディ vs. スティオン、クロ
アンは水晶のムチを振り回しながら、まばゆい閃光を放ち、スティオンを後退させる。
「さぁ、どうしたの? これくらい耐えられないの?」
スティオンは機械的な冷静さで彼女を見つめた。
「分析完了:攻撃パターン、予測可能。反撃を開始。」
金属の拳がアンに迫るが、その瞬間――
「友達をなめるなッ!」
アイオがギターをかき鳴らし、音の壁で拳を逸らす。強烈なコードが床までも震わせた。
一方で、クロはウェンディにじりじりと近づく。
「動きは速いが……目が揺れている。」
「それでも――私の心は揺れない!」
ウェンディは息を切らしつつも、銃を剣へと変形させて防ぎ、切り返す。
観客席からは歓声が上がる。ガレオン号に招かれていた村人たちも、信じられない光景に目を見張っていた。
リュウガ&セレステ vs. カグヤ&ヴェル
リュウガの黒い剣と、カグヤのクナイが激しくぶつかり合う。
「動きが前より良くなってるな!」
カグヤは汗をにじませながらも笑う。
「そっちも速くなったな……でも、制御が甘い!」
リュウガは的確に打ち返し、圧をかけていく。
一方、セレステとヴェルの戦いは光と力のぶつかり合い。
「その槍、やっぱり優雅ね!」
ヴェルが弾きながらも笑顔を見せる。
「でも、目的なき力は虚しいだけよ。」
セレステの槍がダイヤモンドのように輝き、突きを放つ。
その瞬間、まばゆい光が訓練場全体を照らし、一瞬、全員が動きを止めた。
お笑いの頂点
決着がつきそうな気配が漂う中、事件が起きた。
アンとアイオが同時にバランスを崩し――そのままウェンディに突っ込んだ。
「痛っ…!重いっ!」
アイオが下敷きに。
「ちょっと!そっちがぶつかってきたでしょ!」
アンが叫ぶ。
「どっちでもいいから早くどいてー!潰れるーっ!」
ウェンディの顔は真っ赤。
リュウガ、マグノリア、そして無表情だったアルサスまでもが吹き出した。
スティオンは腕を組み、冷静に一言。
「事故による勝利、確認。」
「それ、認めないからねっ!」
アンは真っ赤な顔で起き上がった。
締めくくり
戦いの熱が冷めた頃、リュウガが手を挙げて言った。
「もう十分だ。勝敗じゃない。今日は、お互いを知るための戦いだった。」
カグヤは武器を収め、うなずいた。
「そうね……でも、思ってたより楽しめたかも。」
ヴェルはセレステと拳を軽くぶつけ合いながら笑う。
「次は絶対に勝つから。」
「いつでも受けて立つわ。」
セレステが落ち着いた微笑を返す。
アン、アイオ、ウェンディも互いに顔を見合わせ、笑い合う。
「ま、うちらは一緒に転ぶくらいの連携力あるし!」
アイオが冗談を言い、皆が笑った。
観戦席ではグレイオが立ち上がり、声を張り上げた。
「これが遊びなら、本番の戦いが楽しみだぜ!」
その言葉に皆が頷いた。
笑い、学び、ぶつかり合いながら、ガレオン号の仲間たちは、迫りくる東の山岳での試練に向け、確かな絆を深めていた。