第132章――友情と誇りの決闘
ガレオン号の訓練デッキは、起動された魔法障壁により青く輝いていた。ロボットメイドたちの声が場内に響く。
「訓練モード、アクティブ。致命的ダメージ、無効化設定完了。」
冒険者たちは準備を整えていた。武器を点検する者、ストレッチをする者、戦闘前の空気は熱気を帯びていた。
「よし、チームに分かれて実力を試そう。」
リュウガが全体に呼びかける。
ヴェルが前に出て、ニヤリと笑う。
「じゃあ、私はセレステと勝負したい。前回の戦い…中途半端だったからね。」
セレステは眉を上げて、余裕の笑みを浮かべた。
「いいでしょう。でも今回は手加減しないわよ?」
「わたしはアイオとウェンディと一緒のチームがいいーっ!」
アンが手を上げて叫ぶ。
「カオスなチームになりそうね。」
アイオは笑ってギターを構える。
「じゃあ私が冷静さ担当かしら。…たぶん。」
ウェンディは銃のホルスターを調整しながら肩をすくめた。
その頃、カグヤがリュウガをじっと見つめていた。
「信頼を問う戦いなら…あなたとやりたい。あなたが私を救った日から、どれだけ成長したのか見せて。」
リュウガは穏やかに笑った。
「いいだろう。だけど、容赦はしないよ。」
ロボットたち――スティオン、パール、リーフティたちは静かに見守っていた。
スティオンは拳を鳴らして言う。
「私も参加する。鋼が肉体に劣らないこと、証明しよう。」
観客席のグレイオが、パイプをふかしながら笑う。
「こりゃ酒場より面白いな!」
マグノリアは呆れながらも微笑む。
「…ほんと、正気とは思えないわね、この集団。」
【第一試合】アン、アイオ、ウェンディ vs. スティオン、クロ
三人の少女が前に出ると、それぞれが変身を始めた。
アンはシンデレラ・フォーム。短いドレスが光を反射する。
アイオは魔法のギターを構え、ロックなオーラを放つ。
ウェンディは白とオレンジのスーツで、剣を抜いて構えた。
スティオンが拳を鳴らす。
「3対1か…いや、クロも加わるか。」
クロは静かに剣を抜き、冷静に言う。
「ちょうど体を温めたかったところだ。」
アンが光のムチを構え、アイオがコードを鳴らすと、障壁が震えた。
ウェンディが剣を掲げる。
「始めよう!」
【第二試合】リュウガ&セレステ vs. カグヤ&ヴェル
向かい合う四人の視線は、まるで火花のように激しかった。
「準備はいい?」
セレステは光の槍を構える。
「もちろんだ。」
リュウガは闇の剣を抜く。
「楽しくなりそうね。」
ヴェルは笑う。
「油断しないで。」
カグヤは忍術の構えをとり、気配を消す。
雷光、金属音、魔力、音楽が交錯する。ロボットたちはナレーションのように状況を報告した。
「アイオのバリア、衝撃35%吸収。」
「スティオン、物理出力40%上昇中。」
「右から来るわよ!」
アンが叫ぶ。
「任せて!」
ウェンディがクロの斬撃を受け止め、勢いよく弾き返す。
一方、リュウガとカグヤのスピード戦は目に見えないほど高速だった。
セレステとヴェルの交戦は光と魔力の芸術。まるで星空が地上に降りたよう。
マグノリアは目を見開き、息を呑んだ。
「この人たち…普通じゃない。」
隣でアルサスは無言で頷いた。
友情と誇りに彩られたこの訓練戦は、東の山々へ続く冒険への、まさに前奏曲だった。