第116話 – これは私情だ
すべての戦いが王国のためにあるわけじゃない。
中には…魂のために戦うものもある。
そして今回は、もう後戻りはできない。
空気は緊張で満ちていた。
地面は、ヨルから放たれる魔力の波動にひび割れ、まるでこれから訪れるものを恐れて震えているかのようだった。
彼は立ったまま、冷たい眼差しとわずかな笑みを浮かべていた。まるでこれまでの出来事がすべて単なる遊びだったかのように。
アン、アイオ、そしてウェンディが一歩前に出る。
その体は傷と埃に覆われていたが、その瞳には、どんな傷でも砕けない決意の炎が宿っていた。
ウェンディは剣を構えるリーフティに視線を向ける。
「今回は……私たちに任せて。」
その声は一切の迷いもなく、硬く揺るぎない――
「これは……私たちの問題よ。」
リーフティは一瞬ためらったが、ウェンディの表情を見て剣を下ろす。
「全力で……必ず意味のある戦いにして。」
ヨルは首を傾げ、面白そうに目を細めた。
「ふふ……復讐でもするつもりか? それとも、ただ早く死にたいだけか?」
アンが一歩進み、拳を握りしめる。
「復讐じゃない……これは正義よ。」
空気が光の閃きで満ちる。
三人の変身が始まった。
――最初はアン。
紅蓮の疾風がその体を包み、髪は顎までの柔らかな波打つ短さとなり、深い紅色に染まって魔力の光を反射する。
短いスカートの軽やかなドレスは紺青に銀の縁取りが施され、長いブーツが俊敏さを際立たせる。
手には、小さなクリスタルを飾った短いワンドが現れた。
「――《シンデレラフォーム》、覚醒!」
――次にアイオ。
紫と黒の爆発が周囲を包み込む。
その姿はロックテイストに変わり、ベルトで補強されたコルセット、非対称のレザースカート、網タイツ。
腕にはスタッズ付きのロンググローブ、髪は銀の鎖で飾られた高いポニーテールに。
手にしたのは、音を震わせるギターランス。
「――《ロック・シャドウ》、覚醒!」
――そしてウェンディ。
白い光がオレンジの閃光を伴って全身を包む。
軽量の鎧は優雅に再構築され、速度と精密さを重視した形状に。
分割されたスカートは素早い動きを可能にし、髪は光を浴びて輝いた。
両手に現れた幅広の剣は、温かな守護のオーラを放つ。
「――《ガーディアン・ソーラー》、起動!」
三人は並び立ち、魔力の風が髪と装いを揺らす。
ヨルは腕を広げ、獲物を誘う捕食者のように笑った。
「来い……その決意がどれほど通じるか、見せてもらおう。」
「行くわ!」
アンが飛び出し、ワンドを振るって《ミッドナイト・バースト》を放つ。回転しながら炎のように輝く光弾が渦を描く。
「――《リフ・オブ・シャドウズ:ラストカット》!」
アイオがギターランスをかき鳴らし、紫の音波が空を切り裂き、ヨルを包み込む。
「――《ソーラー・アセンディングブレード》!」
ウェンディが突進し、朝日のように輝く縦斬りを叩き込む。
三つの衝撃が重なり、大地が震える。
煙と塵が戦場を覆った。
――だが。
霞の中から、ヨルの影が現れる。
その瞳は先ほどよりもさらに鋭く輝き、口元には歪んだ笑み。
それは、敗北よりも恐ろしい何かを告げていた。
「……面白い……実に面白い。」
戦いは、まだ始まったばかりだった。
この章を最後まで読んでくださって、ありがとうございます。
今日、アン、アイオ、そしてウェンディが本当の姿を見せました……そして、本当の戦いはまだ始まったばかりです。
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この戦いを、もっと多くの読者に届けましょう。
第117章では、心が砕けるその瞬間まで……その強さがどこまで続くのかを見届けます。