第9章 未知への道
最も不確かな道――
それは、真実へと至る道。
けれど、それこそが――
歩むに値する、唯一の道。
太陽が丘の上にわずかに姿を見せ始めた頃、一行はリリアの中央広場に集まっていた。空気はひんやりとして澄みわたり、空には一片の雲もなかった。何か重要な始まりを告げる朝だった。
出発前に、カグヤはもう一度だけ養父母に別れを告げに行くことを決めた。
家に着くと、彼らはすでに玄関先で彼女を待っていた。まるでこの瞬間が来ることを、ずっと前から知っていたかのようだった。
「この日が来ると、わかっていたのよ、娘」母は物悲しげな笑顔で言った。「あなたは強くて…勇敢な女性になったわ」
父は彼女の肩にしっかりと手を置いた。
「私たちは誇りに思っている。自分が誰で、どこから来たのかを忘れるな」
カグヤは力いっぱい彼らを抱きしめ、涙をこらえた。
「必ず戻ります。そして、その時は全部話します。私の冒険を」
別れは短くも、深い感情に満ちていた。胸を高鳴らせながら、カグヤは広場に戻った。そこではリュウガ、セレステ、クロ、そして仲間たちが彼女を待っていた。
ギルドマスターもまた、即席のテーブルの上に大きな地図を広げて待っていた。その地図にはテオ王国へのルートと、ヴォルタル、アルトニア、聖星帝国の国境が詳細に描かれていた。
「この地図は極めて重要だ」マスターは重々しく言った。「テオは7年間、封鎖状態にある。誰も入らず、誰も出ない。…予想外に備えることだ」
リュウガは黙ってうなずき、一歩前へ出た。その体を囲むようにエネルギーが閃き、一行の前に奇妙な乗り物が現れた。鮮やかな黄色の流線型の車両で、魔法の装飾と未来的な仕上げが施されていた。
「…なにこれ?」カグヤは驚きと興奮の混じった声で聞いた。
「スターチューンだよ」リュウガは片頬で笑った。「僕が改造した魔導車。どんな地形でも進めるし、僕たち全員が快適に乗れる」
冒険者たちは一人ずつその乗り物に乗り込んだ。手に地図を、そして心に不確かさを抱えながら、彼らは旅を始めた。
その道程はテオ王国への道であると同時に、ヴォルタル、アルトニア、そして聖星帝国の外縁部を越える旅でもあった。
進むごとに風景は変わっていった。草原は丘へ、丘は霧に包まれた深い森へと姿を変えた。進むたびに世界はより神秘的に、より異質に、そして…より危険になっていった。
それでもなお、すべての心には恐れを凌駕するものが宿っていた。それは――希望。
テオ王国は、七年の歳月に埋もれた秘密で彼らを待っている。それは彼らの力だけでなく、絆、記憶、そして意志を試す試練となるだろう。
彼らはまだ知らなかった。真の旅は、これから始まるのだと。
そして最大の試練が――すぐそこまで迫っていることを。
…そして、本当の旅は――
まだ、始まったばかりだった。
そしてその道の先に、
彼らを待ち受けていたのは――
最大の試練。