表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
106/324

第101章 – 魂を貫く一撃

塵がゆっくりと晴れていく中、カグヤは膝をつきながら荒く息をしていた。周囲の建物は衝撃で震え、その正面には、彼女を待ち伏せていた巨漢フォルテが、不敵な足取りで近づいてきた。


「それで終わりか?」

赤く燃える炭のような目を光らせ、拳を鳴らしながら嘲笑った。「つまらんな。もっと面白いかと思ったが」


カグヤは地面に血を吐きながらも、視線を逸らさなかった。頬には切り傷、背中は壁に叩きつけられた衝撃で激しく痛んでいた。フォルテの姿はまさに筋肉の山。漆黒の制服がその動きに合わせて軋んでいる。


「確かに……力はある」

カグヤは唸りながら立ち上がった。「でも私は、簡単に潰されるほど弱くない」


フォルテは低く嘲るように笑う。


「そうか?じゃあ、どうする気だ? 忍びの小娘」


カグヤは素早く印を結ぶと、口がわずかに膨らみ、真っ黒な墨がフォルテの顔めがけて勢いよく飛び出した。


ズシャッ!


「な、なんだと…!?」

フォルテは目に墨を受け、叫びながら顔を覆った。


「まだ終わってない!」


カグヤの体が淡く輝き、姿が変化していく。髪が波打ち、衣装は暗くなり、足には吸盤の模様。忍法「タコの型」へと変化。動きは予測不可能なまでに流動的になった。


柱、低い天井、崩れた壁。あらゆる地形を利用して、カグヤは八方向から影のように襲い掛かる。鋼のような速さで、鋭い突きが連続する。


「この…クソッ!」

フォルテが墨を拭った瞬間、カグヤの回し蹴りが顎を打ち抜いた。


痛みが走るたびに彼女の顔が歪む。それでも、目にあるのは揺るぎなき闘志。


フォルテは雄叫びを上げ、地面を拳で打ち砕いた。飛び上がったコンクリートを一塊掴み、カグヤに向けて投げつける。


かろうじて避けたが、脇腹をかすり、バランスを崩した。そこを狙い、フォルテが拳を腹部に叩き込む。


ゴオオッ!!


カグヤの体が宙を舞い、再び壁に叩きつけられる。血が口から溢れ、息が詰まる。


「痛むか? それがお前が生きてる証だ」

フォルテがゆっくりと近づく。「そのまま潰されろ」


だがそのとき――空気が変わった。


周囲の気が重くなる。瓦礫の中から、カグヤが再び立ち上がる。目に浮かぶのは痛みではない。覚悟。


「まだ終わってない……始まってすらないわ」


カグヤが別の姿に変わる。


肌が厚く、足元には大地のエネルギー。肩には幻影の角、全身は補強布と革装備。「バッファローの型」発動。


「本物の突進ってやつを教えてやる」


ドオオォン!


地面を割ってカグヤが突進。肩が槍のように光を放ち、フォルテに激突。彼の巨体が宙を舞い、背後の壁を突き破って崩落。


静寂が広がる中、カグヤは立っていた。汗と血にまみれながらも、拳を握りしめる。


「どんなに強くても……私には、あなたにないものがある。

――守りたいもの。そして進むべき道がある」


瓦礫の奥から、フォルテが起き上がる。全身は傷だらけだが、その怒りは衰えていない。蒸気を吹き出す筋肉。裂けた服。野獣のような咆哮。


「言ったろ……来る場所を間違えたんだよ」


フォルテが足音で地を割りながら近づいてくる。カグヤの左腕は痺れていたが、その瞳には火が宿っていた。


「そして……あなたこそ、相手を間違えた」


フォルテが笑う。


「まだ戦うか? プライドじゃ何も守れんぞ。世界に従え。そうすりゃ、大切な奴らが死ぬのを見ずに済む」


カグヤの胸が熱くなる。

アン、アイオ、ウェンディ、リュウガ……


その温かな世界を壊そうとする男が、今そこにいる。


「降伏……? 貴様のような怪物に?

――ふざけるな」


カグヤが強く血を吐き出しながら、怒りの笑みを浮かべた。


「お前の世界は、魂のない牢獄だ!そんなもの、生かしておけるか!」


手から眩い光が放たれる。

「忍法・閃光爆弾――正義の閃き!」


強烈な光が戦場を包む。フォルテは目を塞ぎ、呻き声を上げた。


その光の中から、静かに現れた影。


「タコ・二色の型」


両腕がうねるように伸び、攻撃と防御を同時に行う。その動きは水のように流れ、フォルテの猛攻すらすり抜ける。


次に現れたのは――


「バッファロー・嵐の型」


巨大な角を持ち、壁を砕く突撃。フォルテの巨体を何メートルも吹き飛ばす。


だが、フォルテも負けていない。


怒りに満ちた声で咆哮し、蹴りがカグヤの腹を捉えた。

カグヤは空を舞い、壁に激突。


「……降参しろ!」

彼の叫びが響く。「勝てるわけない!お前は何者でもない!」


「違う……私は……」

カグヤの目が燃えるように赤く光る。「アンたちのために……絶対に、負けない!!」


彼女の姿が再び変化。


「忍法・ゴリラ・嵐の型!」


筋肉、黒ずんだ肌、腕のエネルギープレート。動きは猛獣そのもの。跳躍し、フォルテの顎にアッパーを炸裂させる。


フォルテの反撃もかわし、拳を炸裂させ続ける。大地が揺れる。


「カバ・轟雷の型!」

幻のカバが腕を噛み砕く。


「アナグマ・鋼の牙の型!」

耐久を最大化、攻撃に一歩も退かず。


「カエル・光の型!」

毒の針がフォルテの顔をかすめ、視界が濁る。


そして――


「ニシキヘビ・精霊の型!」

霊蛇が地面から出現、フォルテの体を拘束。


フィニッシュが始まる。


「巻貝コノ」:神経毒の槍

「タランチュラ・バブーン」:中枢神経を攻撃

「ベスタ」:血圧を狂わせる毒の拳

「コモドドラゴン」:腐食毒の噛みつき


すべてが連続して胸部を直撃。フォルテの体が震え、血を吐き、ついに崩れ落ちる。


カグヤが叫ぶ。


「――最終奥義・封印の陣形!!」


全ての分身が集結。かつての全ての型を持った影が空に舞い――


「――秘技・天雷の鉄槌!!!」


ドゴォォォォン!!


大地が裂け、フォルテの胸が深く陥没。全てが静まった。


最後に、わずかに動くフォルテが、かすれた声で言った。


「どうして……ガキのお前に……」


カグヤは血と汗にまみれながら近づき、睨みつける。


「お前みたいな奴には……“誰かを守る”ってことが一生わからないからよ」


フォルテは歯を食いしばりながら、ゆっくりと灰になり、完全に消滅した。


カグヤはその場に膝をついた。激しく息をしながら、呟く。


「アン……アイオ……ウェンディ……

――終わったよ」

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この物語はメキシコ出身の作者「ジャクロの魂」によって執筆されています。 お気に入り・評価・感想などいただけると、物語を続ける力になります! 応援よろしくお願いします!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ