第8話 冒険者ギルド②
冒険者ギルド内でいろいろあったが修哉とティアはさっそく冒険者登録を行うために受付に向かう。
「冒険者登録でよろしいでしょうか?」
「……あの?さっきまで別の人が担当してませんでした?」
そこにいたのは先ほど修哉が助けた【死神】という異名を持っているリイスだった。しかしさきほどまでここを担当していたのは別のスタッフ。なぜかそれがリイスに代わっている。
「お気になさらずに。それではお2人ともが冒険者登録でよろしいですか?」
「あ、はい。まあ」
「はい」
「それではこちらに必要事項をご記入ください」
そうして修哉とティアは紙を渡される。そこには名前と種族と年齢と生まれとスキルを書く欄が存在した。
「あの?これって全部書かなくちゃいけないんですか?」
修哉は記入欄の中にある生まれがこの世界ではないためどう書けばいいか考えあぐねていた。
「いいえ。必要なのは名前のみです。他は無記入でも構いません。 種族は見たらわかりますし年齢も生まれも伏せたい人はいますしなんならスキルなんて自分の武器ですからね。極力相手に知られないほうがメリットがありますから」
「(それがわかってるんならせめてスキルのところだけでもなくせばいいのに)」
というわけで記入する場所に行きペンをとり書いていこうとすると修哉は手が止まる。
「(あれ?ちょっと待てよ?俺って普通に会話できてるけどこの世界の文字って書けるのか? そういえばなぜか読めはしたけど……)」
この街の看板などに書かれている文字などはこの世界特有の文字となっていた。しかしそれでも違和感なく読めていたことに修哉はいまさらになって気が付いた。
「シュウヤ?大丈夫?私が書こうか?」
ティアが状況を察してかそう声をかけてくれる。しかし読めるということでも書ける可能性もあると判断し自分で書いてみることに。
「ありがとうティア。ちょっと書けるか試してみる」
そうしてとりあえず名前を書こうとしてみると会話と文字の読み書きは異世界特典なのか何でもないかのように普通に書くことができた。
「(よかった。いまさら文字の勉強とかしたくないしな)」
そのまま修哉はスキルと生まれ以外を記入した。ちなみにティアも同じくスキルだけでなく生まれも無記入となっていた。
「……いまは……あの国を思い出したくないから……」
「……ティア……」
そうして書き終わった紙をリイスに提出する。その紙をじっと読むリイス。
「(カワイ・シュウヤ……聞いたことのない名前ですね。あれほどの実力がありながら私の耳にかけらも届かないというのはありえない……さらにこの変わった名前……)」
「あの?どうかしました?どこか間違ってましたか?」
自身の紙をじっと見ているリイスにシュウヤはちゃんと書けてなかったのではないかと不安となる。
「いいえ。どこも間違っておりません。それではただいまより冒険者の説明をさせていただきます」
「「はい」」
そうして説明された事柄は以下の通り。
・冒険者には1級~8級までのランクが存在する。1級は世界中に存在する冒険者たちの中でもわずか十数人。その実力は最低でも世界クラスの強さを持つ。
・ランクの昇格は5級までは依頼の達成度によって冒険者ギルド側が決める。しかし4級への昇格からは試験を受ける必要あり。
・依頼には採取依頼*討伐依頼*護衛依頼*配達依頼*緊急依頼*指名依頼あり。
・依頼の受け方は依頼ボードから依頼書をとってスタッフに渡す。依頼ボードはランクごとに分かれており自身のランクから上の依頼を受けることはできない。
「────以上で説明は終了となります。なにかご質問はございますか?」
「あの?依頼を失敗したらどうなるんですか?」
ティアが不安そうにそう質問した。
「依頼の失敗は何度か行ってしまうとランクが降格してしまいます。ひどい場合は罰金を科す場合もございますがしかしこれはただの失敗では罰金とはならないのでご心配いりません」
「わかりました。ありがとうございます」
そうしてティアの質問が終了すると今度は修哉の番となった。
「質問というかお金が欲しいんですけど依頼とか関係なく魔獣の素材の買い取りとかってしてますか?」
「もちろんでございます。魔獣の買い取りでしたらあちらになりますが今は後ろに人もいませんので私がお受けいたしましょう」
「ありがとうございます。それじゃあ……これを買い取ってほしいんですけど?」
そう言って修哉がリイスに渡したのは修哉が最初に討伐した第二位階【災獣】の黒鋼亀の甲羅の欠片だった。
「これは……(鑑定しなくともわかる。間違いなく黒鋼亀の甲羅の欠片ですね)……それでは少々お待ちください」
そうしてリイスはどこかに消えてしまう。待つこと数分ほど。リイスが戻ってきた。
「それではまずこちらが先ほどの買い取り額となります」
そう言って硬貨の入った袋を修哉に渡すリイス。修哉とティアが中を確認するとそこには大金貨が6枚入っていた。
「買い取り額は620万Gとなります。小さかったこと・傷がついていたことから買い取り額の減少となってしまいました」
「(こ、これで少なくなってるのか)」
「すごいねシュウヤ!いきなり大金持ちになったね!」
修哉は内心で驚きティアは純粋にテンションが上がっている。
「それではこちらが冒険者カードとなっております。こちらには表には分かりやすく現在のランクが彫られております。さらにそのカードの内部には登録用紙の情報やそれまでの依頼の達成・失敗などが情報として入っております。それだけで英雄級の魔道具となっておりますので再発行には相当なお金が必要となります。くれぐれもなくさないようにご注意ください」
こうして修哉とティアは晴れて冒険者になった。
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