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第6話 カーラ・ログラント

「申し訳ない!!!」


獣人族(ビースト)の女の子は修哉とティアに頭を下げて謝罪する。


先ほど勘違いから襲われた修哉はなんとか勘違いが解けて現在は近くの喫茶店にて話をすることに。


「結果的になにもなかったし、まあ大丈夫だよ」

「私はただ守ってもらってただけだから」


修哉は真摯に頭を下げて謝罪する姿に反省している様子をみてとり謝罪を受け入れた。なにより獣人族(ビースト)特有なのか獣耳と尻尾が垂れているのをみて、悪さをして叱られている犬のようで元より怒りを抱いていない修哉は可愛いとしか思っていなかった。


「事情を聞きたいけどまずは自己紹介からかな。俺の名前は河合修哉。河合が苗字で修哉が名前ね」

「私はティア・エルドナ。よろしくね」

「あたしの名前はカーラ・ログラント。見ての通り獣人族(ビースト)だ、です」


どうやら敬語が苦手なのか言いづらそうなカーラ。


「別に普通で良いよ。敬語苦手そうだし」


というわけで3人は自己紹介も済ませてカーラが事情を説明する。


「私がこの国に来たのは武者修行のためだ」

「武者修行?」

「ああ。 獣王国ゴルミアでは()()は武官たちを率いるために強さが必要になる。だから他国への武者修行が必要になるんだ」

「それって…カーラちゃんは王女様なの、ですか?」


ティアがカーラの話からカーラが獣王国の王女としり咄嗟にタメ口から敬語に直した。


「敬語を使う必要はない。今のあたしは王女ではなく強さを求めて旅をしているただの獣人族(ビースト)だから。それにティアには謝罪しなければならない」

「へ?」

「冷静でなかったとはいえ君をみてシュウヤの奴隷と判断してしまった。これは君への冒涜だ。申し訳ない」


そう言ってカーラはティアに頭を下げて謝罪した。それに対してティアは下げられている頭を撫でる。


なでなで♪


「謝れて偉いね。ご褒美は今もらったから大丈夫だよ」


どうやら世界が変わろうともケモミミの魅力は変わらないらしい。


「あの…いや…その…」


なでなで♪ なでなで♪


いつまでも続くなでなでになまじ罪悪感のあるカーラはやめてほしいとは言えず困っている。それを悟りさらに話が進まないため修哉がティアを止めたことであの場での出来事についての話が進んだ。


「あたしはこの国に訪れたのは数日前だった。この近くには()()()がある影響か第三位階【王獣】が頻繁に出現することで修行には持ってこいなんだ」


当然あの森とは通称:禁忌の森とも呼ばれるメルト中央森林のことを指す。


「…そしてあたしはあの噂を聞いた」

「うわさ?」

「この国では最近になり子供たちが行方不明となっているらしいと。国も調査に乗り出し冒険者ギルドにも依頼が入っているがいまだに真相は分からず」

「そんな。でも奴隷は世界的に禁止されてることなのに」


どうやらこの世界でも奴隷は世界的に禁止されている所業らしい。


「どれほどに禁止しようとも悪党は闇で密かに(うごめ)く奴らだ」


そう言葉にするカーラは拳を強く握り怒りを表す。もしかしたらカーラには奴隷に対して強い怒りの感情を抱えているようだ。


「あたしもすぐに調査に乗り出した。そして発見したのが先ほどの奴らだ」


ちなみに先ほどの男たちは子供たちが呼んだ騎士によって連行されていった。


「でもこれで人攫いも解決するんじゃない?」

「いいや。あのような奴らは所詮は下っ端だ。何も知らないし国はその現場を発見し一度泳がしてみたようだが、警戒心の高いやつらに途中で気づかれたらしい。 早く見つけないと奴らが雲隠れする前に…」

「子供たちを救うには時間との勝負ってわけか」


この国の事情を理解した修哉。すると気になるのはカーラのその激しい怒りの理由。聞くか悩みながらも修哉は意を決して問いかけた。


「……カーラは奴隷に対してどうしてそこまで?」


そう修哉が問いかけるとカーラはそれまでの怒りから悲しみへと変わる。


「……数年前のことだ。あたしの母様(かかさま)は獣王都ガガーで奴隷狩りを発見した。 母様(かかさま)は武者修行中の父様(ととさま)が惚れ込むほどの強さを持ってた。2人とも世界トップの実力者たちなんだ」


しかしカーラの母親は王妃として子育てもあるため戦いから引退した。奴隷狩りを発見したのは引退から数十年が経過した時だった。


「剣士だった母様は武器もなしに子供たちを守りながらブランクがある中であらかたを片付けた。だが奴隷狩りの中には現役の1級冒険者がいた。母様はそいつに……。 あたしの目標はいつか探し出し母様の仇を討つことだ」


そう語るカーラの眼には憎しみがこもっていた。


「カーラちゃん……」

「カーラ……」


とりあえず必要な話を終えたカーラは自身が気になっていたことを修哉に問う。


「あたしが気になるのはシュウヤのその強さだ。シュウヤはいったい何者なんだ?」

「ああ〜……俺は────」


そうして修哉はカーラに自身の事情を簡単に説明。ティアの時と同様に驚きはするものの素直に信じるカーラ。


「まさか異世界の人物に会えるとは。 さらにはギフト持ち。強いはずだな」

「俺としてはズルしてるみたいで少し申し訳ない気持ちにはなるんだけどな」


特にギフトの名前が【バグ技】というのも修哉がそういう気持ちになるひとつの要因でもある。


「ギフトに選ばれるのはそれだけの才能があるからだ。ズルだとかそんなことは一切ない。 修哉は分からないかもしれないがこの世界は寿命からして違うからな」

「そうか。エルフとかいるもんな」


ちなみにエルフやドワーフは寿命が500年ほどで龍人族(ドラゴニュート)は寿命が1.000年と言われているらしい。


「あたしはしばらくこの国にいるつもりだ。共に討伐依頼を受けよう!できればまた戦いたい!」


身を乗り出し目をキラキラさせてカーラが修哉にそう語りかける。


こうして修哉はランティス公国での事件に関わることになる。

カーラ・ログラント:19歳。

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