第2話 転生5日目
ゲームで壁抜けのバグを発見したらそのまま異世界にやってきてしまった河合修哉。ステータスを確認し能力を使用して魔獣を討伐した。
―――
「ハアハア…ハアハア。 や、やったか?」
フラグを発動させてみるも本当に討伐された魔獣はテンプレのように起き上がってくることはなかった。
「ふう……本当に倒してるっぽいな。よかった」
汗をぬぐい巨大亀の上から降りて一息つく。
「ハア…フウ……よし。 とりあえずステータスから確認すべきだよな?」
というわけで修哉はステータスを開いた。するとステータスには先ほどとは変わっている部分があった。
-----
名前:河合修哉
種族:人族
年齢:24歳
ギフト:【バグ技】
究極能力: 【槍王】new
-----
修哉のステータスには巨大亀との戦闘?の際に獲得した槍王が存在した。
「よしよし。ちゃんとあるな。 こういう風に増えていくのか……それにしても凄かったな~最後の一撃は……」
修哉は地球では当然ながら槍などを持ったことはなかったが、槍王の能力を獲得してからはまるで何十年と鍛錬を積んだ達人かのように槍の扱いが理解でき身体に染みついていた。
「咄嗟に必殺技も出せたし……能力すげえ~……」
そんな自身が手に入れた強さに浸っていると修哉は思いついた。
「そうだ……もしかして……」
修哉はおもむろに巨大亀の死体に手を置き"アイテム無限増殖"を実行しようとする。
「もしこれが死骸となったことでアイテム扱いなら……」
希望を胸に実行してみると修哉の予想通りにもうひとつの巨大亀の死骸が現れた。これにより巨大亀の情報が手に入ることになった。
-----
名前:黒鋼亀
ランク:第二位階「災獣」
説明:黒鋼亀の死骸。甲羅は第二位階の中でも最高硬度を誇りその硬さは第一位階でも上位となるほど。放つ咆哮もその威力は第二位階の中でも1.2を争う。半面として身体の裏側が柔らかく自力での復活はほぼ不可能。
-----
「黒鋼亀ってことはこの世界にはアダマンタイトがあるってことか?……にしてもこいつって結構強かったっぽいな……」
魔獣のランクは第一位階「神獣」→第二位階「災獣」→第三位階「王獣」→第四位階「亜獣」→第五位階「猛獣」。
「こんなやつがウジャウジャいるのかな……こわ~」
異世界転生で浮かれていた気持ちも落ち着き今はやるべきことを思案する。
「とりあえずせっかく究極能力【槍王】なんてチカラを手に入れたんだし槍を作らないと」
魔獣の恐怖を身をもって実感した修哉はまずは武器の確保に動いた。ちょうどよさそうな太さの木の枝を見つけてそれをとりあえずの槍とすることに。
「さすがに槍っぽくしたいな」
このままではただの木の枝。そのため修哉は石を岩にぶつけて破壊してその中でも特に鋭い石をナイフ代わりに木の枝の先端を尖らせる。さらに手触りを少しでも良くするために全体的に調整。そうして槍(仮)が完成した。
「これもアイテム換算なのかな?」
気になった修哉がアイテム無限増殖を行おうとするがもうひとつの槍が現れない。
「これはアイテム扱いじゃないってことね。製作系のスキルとかがあるとしたらそれが関係してるのか?」
正解が出ない問題は放置して一応は武器の槍を作った修哉は次に行動したのは食料だった。
「スッポンとか食べたりするからこれも食べれるよな?」
修哉は目の前にある黒鋼亀を肉の塊と捉えて少し解体することに。
「う~ん……さすがに甲羅はあきらめるか……」
肉をいくつか入手した修哉は第一位階【神獣】にも匹敵する黒鋼亀の甲羅を盾代わりに使いたい気持ちもあったが、さすがに大きすぎるし小さく割ることも不可能なため端っこの割れていた欠片をポケットにしまって探索を開始。
「まさかサバイバルをするはめになるなんて……近くに街があればいいけど……」
もしかするとその一言がフラグとして発生してしまったのかもしれない。森を歩くこと5日。修哉はいまだに森の中にいた。
/////
--転移から5日目--
「三陣穿!」
シュ!シュ!シュ!
「ブヒー!?」
相手は第三位階【王獣】に属するイノシシの魔獣"雷突猪。雷の速度で襲い掛かるそのイノシシを修哉は三連続の突きで倒す。
ちなみに三陣穿のほかに六陣穿と九陣穿が存在し陣穿は数が後半になるにつれて速度・威力が共に上がっていく。
「よしよし。お肉ゲットだ」
修哉は倒した雷突猪を解体。川の近くにやってきて木を組み道中で見つけた潰すと火花が散る木の実=ボッカの実にて火をおこす。その火で手に入れた肉を焼き川の水を手製の木の水筒で煮沸。
がぶり!
「ただ焼いたにしてはなかなか」
串に刺さった焼けた肉にかぶりつき水を飲む。いまだ5日ではあるが修哉はもうすでにサバイバルにも慣れてきていた。
「サバイバルにはアイテム無限増殖は必須だな」
ギフト【バグ技】の能力のひとつであるアイテム無限増殖。これによってそれがどんな物かというのがわかる。食べれるキノコや毒のある木の実。
さらにボッカの実のようにサバイバルに必要となる物も知ることが出来るのでこの能力がなければサバイバル素人の修哉は生きていけなかったかもしれない。
「ふう。 よし。今日も始めるか」
食べ終わった後は日課となっている木を削ってのモノづくり。これの理由としては現状の壊れやすい槍を強化するために製作系のスキルがあると信じてひたすらにモノづくりを行っている。
「全力を出したら壊れるのは勘弁してほしいよな〜」
そんな愚痴を言いながらもひたすらにモノづくり。皿を作ったり箸を作ったり人形に挑戦してみたり。そんなことをすること5日目。ついにその時が訪れた。
「う〜ん……素人にしては上出来か?」
ピコン♪
「お?この感じはまさか? ステータス!」
-----
名前:河合修哉
種族:人族
年齢:24歳
ギフト:【バグ技】
一般能力:【気配遮断】new
一般能力:【木工】new
究極能力: 【槍王】
究極能力:【直感】new
-----
「よっし!木工が手に入ってる!」
ちなみに気配遮断と直感この5日で獲得した能力。気配遮断については進化させることも可能であったが今すぐの必要性を感じなかったためとりあえず保留としていた。
「最高の木の槍を作ってやる!」
修哉は木工に対して経験値無限を実施。究極能力【木匠】へと進化した。
「おお〜なるほど……これが製作系の能力なのか……」
早速、木匠の能力で最高の木の槍を作成する。そのために必要な道具から作り目的の槍を作り上げるまで僅か1時間足らず。
「すげぇ〜…さすが究極能力。1時間足らずでここまでの槍を作れるなんて……」
修哉が作り出した最高の槍にはこう記されていた。
-----
名前:なし
ランク:神話級
説明:木で作られた槍。鉄製の槍を超える耐久性に木製ならではなのしなやかさを併せ持つ。
-----
神話級は創世級→終焉級の次のランクとなる。
「とりあえずこれで武器はいいとして……この世界に街はないのだろうか?」
5日経っても森が終わる気配すらないことに辟易とした気持ちになる修哉。
「とりあえずまだ陽は高いし移動するか」
修哉は川の流れから下る方面に歩く。すると転生から5日目にしてとうとう人と出会うことになる。
読んでくださりありがとうございます!
もし少しでも面白いと思ったら☆☆☆☆☆をつけてくれるとそれが作者の描き続ける原動力となります!よろしくお願いします!