63話:電柱!思考しなさい!!
ブルー「変身。」
ブルーの体から、強烈な青白いデータ粒子が噴き出した。粒子は瞬く間に彼の体を覆い、光の繭を形成する。
その光の繭の中で、ブルーは儀式のようにゆっくりと動き出す。
右腕を45度、左腕も右へ水平に構える。そして――
ブルー「トウッ!!」
なぜかジャンプし、バク宙を決めるブルー。その動作と共に光の繭が弾け飛び、青白い光が収束する。
そこには白銀に輝く第二形態のブルーが立っていた。
イエロー「待ってたで〜。俺らはちょっと休憩や。」
レッド「ブルー!時間切れる前に言えよ!!」
コクリと頷くブルー。レッドとイエローが出したちび達の倍はあろう白銀のちび達を作り出す。ワームやウイルスの増殖スピードを上回りちび達が次々と飲み込んでデータ片へと変えていく。
ブルー「レッド…時間切れ…」
レッド「よっしゃ!まかしとき!!」
スリープモードに入ったブルーをイエローが担ぎブルーが拓いた道を進む。レッドも第二形態でさらに道を拓く。
途中、ラグが時間操作で邪魔をするが意に返さない。ナイトメアが次々と押し寄せてくるが第二形態の前になす術なくデータ片へと変えられて行く。
レッド「あかん。眠たくなってきた、イエロー頼む。」
イエロー「お前らようやったで!あとは俺に任しとけ!!」
眠りこけるレッドを俺が担ぎ、ブルーをピンクが預かる。ワームの数も減り、恐怖の対象が遠のいたことでいつもの調子に戻りつつあるピンク。
イエロー「っしゃあ!お祭りワッショイ!櫓まで突っ走るで!」
――櫓まで怒涛の勢いで突っ走る。俺はブルーも担ぎ上げその突進に必死でついていく、周りにはデータ片となって消えていくバクやマルウェア。
だが、その圧倒的な進撃の中である違和感にイエローが気づく。
イエロー「おい、ちび。どうしたんや?」
ぽつりぽつりと、何体かのちびがイエローの命令を無視してただ立ちすくむ。彼らは殲滅活動を停止し、ある一点を見つめていた。
そのちびの前には、これまでのワームやマルウェアとは明らかに異質な敵が立ちはだかる――
それは、まるで人間を模した黒い人影だった。表面は滑らかで、一切のテクスチャがない。目も鼻もない、のっぺりとしたその体は、純粋な「影」で構成されているようだ。
イエロー「なんや、コイツ…!」
俺は、電気バリア越しにその影を見た瞬間、全身に悪寒が走った。単なる敵データではない。おそらくネームド…
影は動かない。ただ、俺たち一行へと顔のない顔を向けている。
俺「あいつをハッキングしたいけど、そうしたらバリアが解けてしまう!イエロー持ちそうか?」
イエロー「あかん無理や!そろそろ限界やぞ。」
俺「仕方ない。ピンク。ブルーが起きるまであと数秒…なんとか2人で持ちこたえるぞ!」
イラッ。
ピンク「ふざけないで!私はあんたと違ってちゃんと戦力よ!!」
流星錘を操りながら俺の言葉に怒ったピンク。さっきまでの可愛らしさはどこへ行った?
スリープモードが解除され、俺に担がれているブルーがもぞもぞと動き出した。周りを見渡しブルーは変身することなく大量のちび達を作り出し応戦する。ピンクも一度退いた。
ブルー「ピンク…元気もどった。」
ピンク「うるさいわね。でも、ありがと。」
俺「ブルー、あの黒い奴らに触れたらちびが停止しよる。ちょっとハッキングしたいから時間稼げるか?」
ブルー「俺だけ…無理。レッド待つ。」
俺「分かった。あと5分、3人で何とかするぞ。」
ブルーのちび達が一斉に突撃した。やはりワームやマルウェアには攻撃が有効だ。しかし、黒い影の前ではただ立ち尽くしている。接触したちび達は、データ片に変わることもなく、まるでシステムを強制終了させられたかのように、次々と動きを止め、その場に沈黙して倒れ込んでいく。ブルーの「大量生産」という強みが、この敵の前では無力化された。
ブルー「ちび…回収する。」
他のちびが停止したちびをブルーの所まで連れきた。停止したちびを取り込みブルーが解析する。
ブルー「電柱…。ちび、壊れている。」
俺「どういうことや?」
ブルー「破壊されている…」
俺「何やねんそれ?一触KOって…しかも何体もおるぞ、どないすんねん…」
ピンク「電柱!思考しなさい!!」
ピンクの鋭い叱責が、俺のパニックに陥りかけた意識をかろうじて引き戻した。
俺「ブルー!壊れたちびを一体俺に調べさせてくれ!!」
ちびが破壊されたちびを連れてくる。
俺「(バリアにも慣れてきた。集中力を切らさんように)ハッキングや。」
【解析開始……】
【名称:玉型ガイシ(ちびブルー)】
【能力:分裂体生成・分析・解析・弱点特化攻撃】
【推定弱点:経年劣化・汚れ・塩分・付着による絶縁低下】
【解析完了まで…3…2…1…解析完了】
【ちびブルーのプログラム内に複数のマルウェアを検知→絶滅 ブート領域の上書きを検知 パーティション管理ドライバレベル低 ちびブルーシステム破壊】
俺「これは…」




