60話:ブレインリンク・システム
ブルー&ピンク――
ピンク「さっさと終わらせるわよブルー。」
ブルー「おう…。」
早速作業に取り掛かる2人。青島からの連絡を待ちつつネットニュースを中心に大きな事件から噂話程度のものまで慎重にゼロと繋がりがありそうなものを探す。
3時間程度経過しただろうか?
ブルー「ピンク…これ。」
ある小さな記事にブルーが違和感を感じピンクと意識を共有。
『スマホゲームが突然に操作不能に陥る苦情が殺到。ゲーム会社はシステムに異常は見つからなかった。』
ピンク「異常は見つからなかった。ってのが引っかかるわね。もう少し詳しく書いた記事探してみましょう。」
ブルー「うん…」
ブルーとピンクは、共有した違和感を元に、さらに深く情報を掘り下げることにした。ブルーが検索窓に「スマホゲーム 操作不能 苦情 記事」と入力し、より詳細な情報がないか探す。
ブルー「どれも同じような内容…。『システムに異常は見つからなかった』ばかり、新しい情報ない…。」
ピンク「記事に書かれてない情報にこそ、ヒントがあるものよ。その苦情が殺到したゲーム会社、調べてみて。」
ブルー「…了解。」
記事にあったゲーム会社の名前を検索する。すると、その会社が最近発表したプレスリリースに目が留まった。
『新技術「ブレインリンク・システム」を搭載した次世代型ゲームの開発に着手』
ブルー「ブレインリンク・システム…ってなに?」
ピンク「脳と直接データをやり取りする技術、ね。これ…ゼロが目を付けてもおかしくないわね。」
ブルー「でも…、まだ開発段階って…」
ピンク「開発段階だからこそ、実験に使われた可能性を否定できないわ。このゲームが、ブレインリンク・システムの実験台だったとしたら…?」
ピンクの言葉に、ブルーは記事の記述をもう一度見直す。
『突然に操作不能に陥る苦情が殺到。』
『ゲーム会社はシステムに異常は見つからなかった。』
ブルー「…操作不能になったのは、ゲームのシステムじゃなくて…、プレイヤー側の問題だった…?」
ピンク「ええ。もしブレインリンク・システムが暴走したら、プレイヤーの脳に直接干渉して、操作を乗っ取ったり、場合によっては意識を奪ったりする可能性だってある。ゼロは、このシステムを悪用しようとしているのかもしれない。」
二人の表情に緊張が走る。単純なネットの不具合だと思っていた小さな記事が、とてつもなく大きな事件の入り口である可能性が見えてきたのだ。
ブラック&Jr.――
Jr.「勢いよく出てきたけど…どこに行ったらええねん?」
ブラック「ネームドの能力が分かれば見当もつけられるのだが…」
一方のブラック達は手掛かりなく途方に暮れていた。
ブラック「ひとまずラビリンスで張り込みをするか?」
Jr.「なんか、オモロないないなぁ。なぁブラック、ほんまにラビリンスでええんか?なんか、別の方法ないんか?」
ブラック「現状。手掛かりが一切ない状態だ。ラビリンスで張るのが一番効率がいい。」
Jr.は不満そうに口を尖らせる。
Jr.「効率的って…オモロないんじゃ意味ないやん。もっと派手なことないんか?」
ブラックは小さくため息をついた。
ブラック「派手な行動はリスクを伴う。俺達の目的はネームドの捕獲。それ以外の無用な争いを避ける必要がある。」
その時、ブラックの脳裏に、数日前のニュース映像が蘇った。
『新技術「ブレインリンク・システム」を搭載した次世代型ゲームの開発に着手』
ブラック「…待てよ。」
ブラックは、そのニュースが頭から離れなかった。彼は、このゲームにゼロが興味を示すと直感した。
ブラック「Jr.、ラビリンスはやめる。ゲーム会社と、最近出たゲームを調べるぞ。」
Jr.「え?急にどうしたん?…まぁ、面白そうやからええけど。」
ブラックの冷静な分析と直感が、偶然にもブルーとピンクが辿り着いた情報へと導いていく。それぞれの思惑が、複雑に絡み合い、一つの真実へと収束していく。




