表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/64

48話:ブラック、周囲を入念に見渡す

生老病死──神の創造と支配、輪廻の摂理。 それら世界の理を一瞥で理解した。


ブラック「(アバターの俺が世の理とは…なかなかどうして。未来までも見通せそうだが、プラチナのアレを見てしまってはな……)」


両手を前にかざす。 大きくはない──ドラゴンのような威圧感はない。だが、空気が“重い”。 圧縮され、内へと収束し、胸に吸い込まれる。


ブラック「全てを吐き出せ!!」


『グォーーーーーッ!!!』


ブラックが叫ぶと辺りの空間が揺らぎ、次元すら裂けそうな一撃が虚空を切り裂いた。


“ドラゴンの咆哮”──


それは確かに、今この身に宿っていた。


ブラック「できるぞ、ドラゴンの咆哮……ならこいつの特殊スキル『プリサイエンス』も使えるかもしれない!」


しかし…表情は晴れない。


あの時、プラチナは白金のドラゴンへと姿を変え、命を託した。 そして、いまブラックの中で──生きている。


ブラック「(俺は、マコトのブラックのままでいたかったんだが……プラチナと人格を共有することになるのだろうか……?)」


──そのとき、胸の奥から声が響く。


プラチナ「案ずるな、ワタシと同化したが意識はオマエのものだ。この声が聞こえることも……もう無いだろう」


静寂。


ブラックは周囲を入念に見渡す。誰もいない。何もいない。 そのことを、何度も何度も確認する。


──そして。


──絶叫


ブラック「なんという力だ……!!!信じられんほどのすさまじい力が………!!!」


──顔を真っ赤にし、恥ずかしそうに、それでも嬉しそうに叫んでいた。


これは…知っている人は知っている、某有名マンガの“同化のあのシーン”である。



---


ブラックの入念な確認も残念、この光景を見ていた者が1人。


身体はボロボロ、バグとノイズが混じり息も絶え絶え。


「ゼロ様……、ブラックはフルグラに…てドラゴンと語りドラ……ゴンは光り輝き消えました……。内容は遠す……ぎて聞こ…えませんでしたが…、1…人になったブラ……ックは某マンガ…キャラのセリフ…叫びながら遊んでいます…。」


通信を送ると息絶えデータ片となって消えていった。この者の正体。ゼロがラビリンスでブラックを尾行させた無もなきアバターである。尾行中にドラゴンの巣階層で敵キャラにことごとくボッコボコにされながら必死にここまで付いて来たのだった。


ゼロ「使えね…。」



---


新たな力を手にドラゴンの巣を後にする。


ブラック「(妖精とエルフの森にも行ってみるか?結界を張った隠れ里だ、何かあるかもしれない。)」


木漏れ日差し込む森の奥。水音が響く小川のほとり、焚き火がぱちぱちと鳴っている。誰もいない。焚き火は消えることも勢いが弱まることもない。


ブラック「(この火を消すんだったな、たしか…。)」


おもむろに炎の中へ手を入れ何かを掴んだ。


ブラック「(やはり、熱くない。この古ぼけた鍵を…)」


ブラックの手には鍵が握られている。その鍵を持ったままさらに森の奥へと足を踏み入れると石碑と六角形の床模様。石碑にはエルフ文字で詩が刻まれている。


石碑の詩文


焔は語る、六つの言葉を。 時は流れ、命は巡る。 初めに◯、続いて◯、 ◯が生まれ、 そして◯、◯が射す。最後に◯。 これら六つ、然るべき順に並べよ。


エルフ文字で書いてあったが"全言語理解"で問題ない。


六つのタイルにそれぞれ「火/光/無/影/水/風」の象形


焚き火を消すには「正しい順」でタイルを踏む必要がある。


ブラック「(なるほど、プラチナの記憶によると『世界の生成神話』か。たしかマコトは…)」


火 : 物事の始まり、エネルギーの象徴

水 : 生命の源、火を鎮め、形を変える

風 : 物事を動かし、流れを生み出す

光 : 照らし、見せるもの

影 : 光がなければ存在しない

無 : すべてが終わり、再び始まる場所


ブラック「世界の成り立ちか、物事が生まれ、変化し、やがて消え、また始まる…」


だが、思案する果たしてこれは真実なのか…?


この順番でタイルを踏む。振り返ると焚き火が一瞬で蒼くなり、吸い込まれるように消える。 石碑に鍵穴が現れた。鍵を挿すと、霧が立ち込め辺りを隠す。そして、風が吹き霧が晴れるとそこには妖精とエルフの隠れ里があった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ