42話:青島の手腕
42話より内容に不快感を感じる方がおられるかと思います。
できる限りの配慮はしましたが、不快だと思いましたら読み飛ばしてください。
青島と話してから一週間が経つ。が、パノプティコンに関して何一つ連絡が無い。
ピンク「そろそろ一週間よね?」
ブルー「…連絡ない。」
俺「だいたいこんな話をしてたら、連絡来るんが定番や。」
イエロー「お!電柱。ちびに青島からのアクセスや。」
レッド「なんで今回はイエローなんや?統一感ないのぉ。」
俺「な!」
ピンク「何かイラッとする。落として(遮断)いい?」
俺「えっ?なんで!!」
イエロー「くだらんこと言うとらんと、ニュース見ろって。」
ネットニュースにアクセス。そこには
"警察の闇!地域安全の名の下に、進むデータ収集と市民監視の実態"
報道機関が警察が一般市民を監視していたと誤認報道。ニュースに青島の名前が出ている。
青島「監視していたのは警察ではありません。"見られている"とも思っていない方々の顔をタグ付けして、値段を付けて、それを買った人物達がいる。 その中には、保育園・病院・学校・警察施設・残念な事に個人の部屋まで"見守り"を謳ったあらゆる現場が含まれています。 警察が市民を監視する訳がないじゃないですか! 町の監視カメラも警察官個人が勝手に見られるようなシステムにはなっていません。
きっかけは、小さな"安心"です。 『オフライン』『見守り』といえば誰も疑いません。気がつけば、見守られる子供も、病人も、果ては警察の取調室までも――商品にされていました。
こちらを"見守る"フリして、誰かがこちらを"見下ろしていた"。 ――なら我々は…その"目"ごと、叩き潰します! 我々は現実を守る警察です。しかし、現実とネットが地続きになった今、そこに"境界線"なんてありません。」
イエロー「青島のやつ、わざと誤報するように仕向けたんやって。その方が注目されるやろうからって。」
ピンク「やるわね。」
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CASE1――
電柱から得た情報をもとに「異常な通信ログ」「分散ノードの接続マップ」を公安の監視端末がキャッチ。
青島「このパターン……定期通信に見せて、裏ルートで映像を送信している。」
サイバー捜査官が、P2P通信のパケットを追跡、国内の踏み台サーバーを割り出す。その中には「正規ルーターに偽装したノード」が含まれており、管理人(個人or小規模企業)が無自覚で使われている。
技術班「このタグ、映像付き。児童が映ってます。これ……通学路ですよ。」
青島「出てきましたね。……完全に盗撮です。」
クラウド経由ではなく、物理的にノードが存在する場所に赴く。自宅の軒先、アパートの廊下、無許可設置の防犯カメラ……などリアル拠点へ。
カメラに向かって手をかざす。
青島「カメラが動いている……オフラインのはずなのに?」
警視庁サイバー課 × 地方警察 × 少年課 × 通信事業者による合同摘発。 サーバー提供元のプロバイダが協力し、通信記録を差し押さえ。
捜査本部「タグ付きの映像は、特定ユーザーIDへ定期送信されてます。“サブスクユーザー”を炙り出せます。」
青島「あとは……営業している本人を引きずり出すだけ。」
自称マーケター。オフィス無し。レンタルスペースにPC置いて商売。裏でタグ映像を選別・出荷。
青島「名前貸してただけ?じゃあこの帳簿と売上データ、誰が管理してた?」
(ブローカーが沈黙)
青島「そりゃそうだ。お前が“社長”だろ。見守りAI、売り飛ばして金にしてたのは。」
ダークWebで利用されていた仮想通貨口座・仮想取引所も押収。 関与していたP2P中継拠点(海外含む)も国際協力で凍結申請。
CASE2――
公安監視センター:深夜――
公安職員が、機械学習ログの異常な負荷を検知。 「通常の解析対象ではない映像ソース」が連続流入している。
公安職員が眉をひそめモニターに目をやる。
「ん……これ、都内署内……?どこの映像だこれ?」
映し出されたのは、ある警察署の取調室。 映像内には、容疑者、担当刑事、供述中の音声まで鮮明に。
職員が大慌てで公安係長を呼びに行く。モニターを確認した係長の震える声が事の重大さを物語っている……
「ちょっと待て、これ“クラウドカメラタグ”が付いてる……。嘘だろ、うちの署内映像がP2Pに流れてる!?」
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公安から通報を受け、青島たちが特命で招集。取調室映像のリークは、「国家機密漏洩」に等しい。
上層部「これを“見てる”ユーザーが存在する。問題は……それが、組織内部の誰かかどうかだ。」
青島「身内の誰かがタグを流しているなら、ただの“流出”じゃありません。完全な“裏切りと犯罪”です。」
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警察署 × 通信事業者:合同内偵
都内の警察署内部に設置された“防犯強化カメラ”のひとつが、業者委託で更新されていたことが発覚。 その業者、サーバー設計の一部を外注に丸投げしており、ソフト部分にバックドア付きタグ通信が埋め込まれていた。
技術班「外部送信のタグ、通常のポートじゃなく、VoIPのフリして回避してます。」
青島「取調の適正確保と事後の検証が主な目的です。これでは"可視化"ではなく“晒し”です。悪用し放題ですね…。」
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“社長”の摘発
P2Pクラウド上で映像を中継していた“社長”ことブローカーは、カメラ設置業者を装って別の会社名義で営業中。 都内のレンタルオフィスで、映像の“人気タグ”を分類し、高額ユーザーへ優先配信。
青島「これは渋谷交差点、これは通学路、これは……警察署です。あなたはに聞きます、“安心社会のインフラ”がどこにあるのですか?」
口調こそ平静を装ってはいるが語気は強く、穏やかではないことが見てとれる。
ブローカー「監視の透明性って、こういうことだろ?オープンな社会を目指して……視聴者のコメントも肯定的だろ「人気上昇中!」「マジウケる!」チャット欄でも“これはやばいw”"こういうの待ってた!!""キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!"皆、知る権利を欲してるんだよ」
青島「…ふざけてますね。これが“透明”ですか!? “恥部”を晒すのが平等ですか!? 貴方がたは……覗き趣味を正義に包んだだけです!」
全国カメラ網の点検&回収開始
・総務省通達で全国自治体・法人向け“クラウド防犯カメラ”全機種の通信チェックが開始。
・内部タグ送信が確認されたカメラは、即日で一時撤去命令。
・ “誤って取調室映像がP2P共有された”事件は記者会見へ。




