3話:修行開始!ガイシ起動
俺の体の一部でもある電線がショートしたせいで、ネットワーク世界にアクセスできなくなった。 キーロガーに不意打ちされたとはいえ、このままじゃまた同じことの繰り返しや。
「どうにかせな……戦う力を手に入れな……」
俺は考えた。
敵をハックできるなら、逆にプログラムを構築できるんじゃないか?
「試してみるか……!」
手足がない。キーボードもない。 なら、イメージするしかない――
俺は脳内でコードを思い描く。 ハック機能を応用し、バグを解析する 自律型プログラム を作る。
「……厨二要素盛り込んで作りたいよな。」
そうして生み出されたのは、三つの黒い球体。 それぞれ赤、黄、青の雷紋を纏っている。
「――完成や!」
それが、レッド、イエロー、ブルー だ。
ネットワーク世界の「絶縁」、 電線と電柱を繋ぎながらも絶縁する「ガイシ」。
そう、こいつらの役割は、俺と共にネットワーク世界の間に立ち、バグを無効化する存在。 俺はこいつらを "ガイシ" と名付けた。
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電線のショートが修理され、俺は再びネットワーク世界へダイブ!
「……さて、手近なバグからや。」
不自然な電波の流れを探し、すぐにノイズを検出。 そこには2種類のバグが潜んでいた。
フィッシャー(Phisher) 偽の画面や通知を作り出し、ターゲットを騙す。 「詐欺メール」や「偽アプリ」として現れる。
ラグ(Lag) 通信の速度を操作し、ターゲットの時間感覚を狂わせる。 極端に遅くしたり、逆に加速させたりするバグ。
「こいつらが相手や……ガイシ、お前らの初陣やぞ!」
3体が、それぞれの役割を果たすために動き出す――
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レッド、イエロー、ブルーは基本に忠実な戦い方を選んだ。 まずは 分裂 し、敵の情報を集める。 次に、 分析 で敵の行動パターンを探る。 そして、 解析 によって弱点を特定し、そこに特化した攻撃を仕掛ける。
[レッド vs フィッシャー]
レッドは、フィッシャーが作り出した偽ログイン画面に何度も引っかかる。 データを抜かれそうになりながらも、わずかな違和感に気づく――
「フォントが微妙に違う……?って言うとるんか!?」
レッドは解析を完了し、弱点特化型攻撃を発動! フィッシャーを消去する。
[イエロー vs ラグ]
イエローは、通信速度の極端な遅延と加速の連続攻撃に翻弄される。 しかし、データを分析し続けるうちに法則を発見。
「攻撃のリズムが読めてきた……!って言うとるんか!?」
イエローはラグの動きを先読みし、弱点特化型攻撃を発動! ラグを消去する。
ブルーは戦わず、データ蓄積に専念。 レッドとイエローが戦ったフィッシャーとラグの情報を共有し、さらなる戦闘準備を整える。
そして、ブルーの前に、新たなフィッシャーとラグが現れた――!
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ブルーは、レッドとイエローが集めたデータを元に即座に行動開始! 戦う前から、敵の行動パターンと弱点がわかっている状態や。
[ブルー vs フィッシャー(新個体)]
最初から偽装を見抜き、攻撃を仕掛ける。 まるで、「もうバレてるで。」と言っているようだ。 弱点特化型攻撃でフィッシャーを瞬殺!
[ブルー vs ラグ(新個体)]
時間操作の波長を完全に解析済み。 リズムを読む必要すらなく、最適解の動きで迎撃! ラグを一瞬で消去!
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ガイシたちは、それぞれ得た戦闘データを瞬時に共有。 全員が、確実に強くなった。
「これなら……いける!」
修行を終え、俺たちは成長した。 いよいよ……リベンジの時や。
「行くで、お前ら。今度こそ、キーロガーをぶっ倒す!」
俺たちは再び、あのバグの巣へと向かう――!