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2話:俺、マジで電柱なん?

世界が歪んだような感覚の後、俺は 電柱 になっていた。


……いや、電柱ってなんやねん。


「え、どういうこと? マジで? 俺、歩きスマホしてただけやんな?」


動こうとしても動けない。腕も足もない。そもそも 体の感覚がない。 でも、なぜか周囲の情報が頭に流れ込んでくる。



---


【位置情報:東京都〇〇区〇〇丁目】 【接続中のWi-Fi:〇〇ルーター】 【通信基地局:〇〇キャリア 5G回線】


「え、なんやこれ……? スマホの設定画面みたいになってるやん」


混乱する俺の中に、さらに新たなデータが流れ込んできた。



---


【現在の役割:ネットワークインフラ】 【機能:通信サポート、電力供給、監視システム】


「……マジで電柱やん」


いや、何回考えても意味が分からん。異世界転生っていうのは 勇者になるか、せめてスライムくらいになるもん ちゃうんか?


よりによって 電柱 って。


「おい、せめてもうちょい動けるやつにしてくれや……」


でも、じっとしてると少しずつ 自分の能力 が分かってきた。


(……もしかして、俺、ネットワークにアクセスできるんちゃうか?)


試しに意識を集中すると、街の 監視カメラの映像 や 通信データ が見えてくる。 周囲のスマホの電波、Wi-Fi、Bluetooth接続……すべてが頭の中に流れ込んできた。


「すげぇ……これ、もしかして俺、街の情報全部見れるんちゃう?」


――そう気づいた瞬間だった。



---


不自然なノイズ


不自然な電波の乱れ。 ノイズのような、不規則に変動するデータの流れ。


(……ん? これ、何かおかしいぞ?)


本能的に、それが 「異物」 だと分かった。


(なんやこれ……? なんか不気味なもんがネットワークに入り込んどる……)


俺は意識を集中し、そいつを こっそり追跡 することにした。


すると、ノイズの発生源が 一つのスマホ にアクセスしているのを発見した。


---


次の瞬間――


スマホが突然、誤作動を起こした。


画面が勝手に動き、パスワード入力欄が埋まっていく。 意味不明な文字列が勝手に入力され、何かのアプリがインストールされようとしていた。


(これ、ヤバいやつやん……!)


ネットワーク検索開始――



---


【検索結果:不正プログラム「キーロガー」】 【機能:キーストロークの記録、パスワード・個人情報の窃取】 【進行度:75%(感染完了まで残り30秒)】


(うわ、これ完全にアカンやつや……!)


このスマホの持ち主、やばいやばいやばい! 個人情報全部抜かれるぞ!?


俺は 今の自分にできること を探した。


(何か……何かできるはず……!)


意識をさらに集中すると、俺は ある機能 を発見した。



---


【遠隔ハッキングモード起動】 【対象:不正プログラム「キーロガー」】


「……マジで? 俺、ハッキングできんの?」


迷ってる時間はない。俺は即座にハッキングを試みた。


(こいつのコードを解析して……弱点を探す……!)



---


【解析開始……】 【進行度:50% → 75% → 100%】 【弱点発見:送信サーバーとのリンクが脆弱】


(よし……これを断てば――って、どうやって!?)


――その瞬間、異変が起きた。



---


「見つかった」


スマホの画面が一瞬だけフリーズし、次の瞬間、 俺のネットワークに キーロガーの反撃 が飛んできた。



---


【警告:不正アクセス検知】 【対抗策:攻撃対象を「電柱」に変更】


「えっ、ちょ、待――」


ズギャアアアアアアン!!!!


電柱の俺に、強烈な衝撃が走った。


(ぎゃああああああ!!!!!????)


意識が一瞬にして吹き飛ぶ。 ノイズが視界を埋め尽くし、世界が真っ暗になった。



---


「目覚めても、俺は電柱だった」


……どれくらい時間が経ったのか分からない。


ふと意識が戻る。


「うぅ……なんやこれ、めっちゃ頭痛い……」


いや、頭痛いって言うけど 俺、頭ないやん?


そう思いながら自分の体を確認すると、そこには変わらず 電柱の姿 があった。


(……いや、やっぱり電柱かい!!!!)


再び状況を整理する。


(さっきの戦い……確かに俺は「やられた」……) (でも、ネットワーク内での敗北であって、現実の俺――電柱自体は無事やったんか)


さらに、微弱な電流の異常を感じる。 よく見ると、 電線の一部がショートしている。


(……もしかして、ネットワークの世界で死んでも、電柱自体が無事ならセーフってことか?)


じゃあ、俺が電柱やと 誰にもバレへんかったら……


(まだ戦えるやん)


そう気づいた瞬間、俺の中で 新たな感情 が湧き上がってきた。


(こいつら……この世界のネットワークを好き勝手に荒らして……)


(ふざけんなよ……!)


俺は電柱や。 動けへんし、話されへんし、今のところネットワーク上でしか戦えへん。


それでも――


(やられっぱなしは気に食わん。このネットワーク世界、俺が守ったる……!!)


電柱としての 新たな使命 が、俺の中に刻まれた。


――電柱、戦う。



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