17話:検証と警戒
ブルー「…今回の件、ゴメン。」
イエロー「もうええやん。感染してしもたんはしゃぁない。それにランサムウェアが、やりようであんな強キャラになると思わんかった。」
レッド「せや、しゃぁない。俺の分裂体を人質にしとるやつはアホかと思たけど、ブルーに侵入した奴はややこしかったな。」
ピンク「分裂体が感染したのは理解出来るのだけど、あなたはいつ感染したの?」
ブルー「…ログを辿る。」
ブルーがデータを精査する。
ブルー「……ここのタイムスタンプデータが乱れてる。この時点で何か仕込まれた可能性がある。」
俺「ほな、その時間帯の映像データを共有しようや。」
レッド「おう、客観的に見んと分からんこともあるやろしな。」
ブルーは全員の映像データをまとめ、俺たちに送信する。
再生開始──
俺が、6600V、EMPの修行をしている。
ブルー『……データを回収した。』
その瞬間。
ブルーの体が、ほんのわずかに震えた。
イエロー「……震えとるな。」
ピンク「でも、これは分裂体と情報を同期しただけじゃないの?」
レッド「いや……よう見てみ?」
ブルー『…………ログの確認を頼む。』
俺「……この発言なんや?ため過ぎやし、ログ"の"確認"を"なんかブルーは言わんぞ!?」
ブルー「……解析中。」
俺らは無言で映像を見つめる。
ブルー「ここ…おそらくランサムウェアの侵入。データ乱れてる…そして異常領域へ再突入したとき。」
異常領域でのブルー分裂体の記録が映し出される。
ブルーの分裂体が静かに浮かんでいる。だが、その動きは妙にぎこちない。 まるで動作が遅延しているみたいにカクついている。
俺『……ブルー、お前の分裂体、なんかおかしないか?』
ブルー『……解析中。』
ブルーが分裂体のデータを確認しようとした、その瞬間──
ピキィッ……!
分裂体の体表に、走るノイズ。
ブルー『っ……!』
ブルー自身の体も、一瞬だけ震えた。
イエロー「ここで、タイマー仕込まれたんやな?」
ブルー「そう。」
ピンク「でも、おかしくない?」
俺「……あぁ。感染したのに、ブルーは異常を報告してない。」
沈黙。
レッド「……これ、"仕掛けたヤツ"の技術レベル、相当高いんちゃうか?」
イエロー「……そうやな。これは、"電柱のハッキング能力を試した"やつの仕業や。」
ブルー「俺の分裂体とおそらく同じやつの仕業。」
レッド「したら、俺らも分裂体と慎重に通信せんと…」
イエロー「せや。ブルーの二の舞いや。」