15話:問題しかないやんけっ!
異常領域の解析は、レッドとイエローの分裂体に引き継がれ、ブルーの分裂体はベースノードへと持ち帰った。
ブルー「今までのデータを整理する。」
ブルーは通常通りデータの整理を始めたが、些細な違和感があった。 情報の伝達が微妙に遅れ、時折、意図しない挙動を示す。しかし、ブルーはそれを気に留めることなく、淡々と作業を進めた。
レッド「ブルー、お前の処理能力、いつもより遅くないか?」
レッドが不審そうに尋ねるが、
ブルー「問題ない。」
ブルーは即座に返答したが、その声にはほんの僅かな遅延があった。
イエロー「お前……ほんまに大丈夫か?」
ブルー「異常はない。」
ブルーはそれ以上の会話を打ち切るようにデータ整理を続行した。
しかし、明らかに様子がおかしい。データ 処理の遅延、意図しない挙動、そして周囲との状況認識のズレ。 ブルーは気づいてないが、レッドとイエローはその異変を強く感じていた。
レッド「これ、感染してないか……?」
レッドがイエローにこっそりと通信を送る。
イエロー「可能性はある。けど、本人がそれを認識してない。」
レッド「まずいな……どうする?」
イエロー「監視を続けるしかない。なんか普段とちゃうけど事を荒立ててもな。」
ブルーは自分のシステムに異変があると気づいていない。 だが、その時。
──アクセス拒否。
ブルーの分裂体に急にアクセスできなくなった。
ブルーはなんでもないと言わんばかりに分裂体にアクセスし続ける。
──アクセス拒否
──アクセス拒否
──アクセス拒否
──アクセス拒否
──アクセス拒否
ピンク・レッド「……!!」
イエロー「お前、なにしてんねん!!」
ブルー「問題ない。」
レッド「問題しかないやんけっ!」
ピンク「電柱!ちょっとこっちに来なさいよ!!」
俺はピンクに呼ばれて、はじめてブルーの異変に気がついた。
俺「なにがあったんや!?ブルー!どした!!」
ブルーはなおも分裂体にアクセスし続けている。
──アクセス拒否
──アクセス拒否
──アクセス拒否
イエロー「あかん、ブルーが逝ってもうとる。」
レッド「電柱、ちょっとブルーにハッキングしてみぃ。」
俺はブルーをハッキングしようとするが、
ブルー「問題ない。」
ブルーはハッキングを拒否し、何故かピンクを解析し始めた。
ピンク「ちょっとネックレス引っ張らないでよっ!」
イエロー「もうええ。ピンク落とし(遮断)たれ。電柱、ハッキング何秒かかる?」
俺「やってみんとわからんけど、できるだけ急ぐ!!」
ピンク「分かったわ。できるだけ長くもたせるようにするわ!」
(カチッ)
【解析開始……】 【名称:玉型ガイシ(ブルー)】 【能力:分裂体生成・分析・解析・弱点特化攻撃】 【推定弱点:経年劣化・汚れ・塩分・付着による絶縁低下】【解析完了まで…3…2…1…解析完了】
【ブルーのプログラム内にウイルスを検知】【名称:ランサムウェア】【ランサムウェアの情報:以前のハッキングの通り】
ピンク「…なんとかハッキングできたわね。」
イエロー「上出来やで。お前ら、ようやった。」
レッド「また保護者感出しとる。」