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ぬくもりを食べる。  作者: rukko
軽い口溶け、優しい隠し味。
2/3

第1話


 「あれ、エレナさんこれから依頼?最近その辺り、魔物多いらしいから気をつけて〜」


 ある時はギルドにて、いつもの笑みで私を気にかける一言を言ってきたり。

 

 「……お?あ、おはよ〜。朝から会えてツイてるなぁ」


 そしてある時は街中で、朝に弱いのか、いつもより派手な寝癖をつけながら。

 

 あの夜以降、ラディは私と顔を合わせる度に声を掛けてきていた。その中で、私の彼に対する印象は、あの夜とは異なり、どこか緩さと繊細さを思わせるようなものだった。


 ✦ ✦ ✦


 昼下がりの市場。頬を撫でる風にほんの少し秋の香りが混ざっていた。人々が賑わう中、私は行きつけの肉屋の店先で佇んでいた。いつもの干し肉がいつものように吊るされている。いつもと違うのは、前は無かった張り紙。繊維の粗い紙に力強く書かれた文字をじっと見つめる。


 『お買い得! 干し肉12束購入で1束おまけ』


 商売熱心な店主がニコニコとコチラを見つめている。確かにお得だが、一人分にはいささか量が多すぎる。保存が効くため買っても良いが……と悩む。


 その時、不意に横から声がして、パッと顔を向ける。


「ねぇ、お願いなんだけど、これ半分こしない?……一人だと余らせちゃいそうで。」


 へらっとした笑みを浮かべつつも、どこか控えめな目をしたラディが立っていた。


 『お願い』は彼なりの心遣いなのだろう。そういう顔をするのかと、少し意外に感じながら、ありがたい提案に素直に頷いた。


 「おまけはどっちにつけるんだ?」

 「彼女にお願いします。」

 

 店主が干し肉を素早く2つに分けて包んでいく。ラディは6束入った方を軽く掲げて微笑むと、それをひょいと鞄にしまった。私もラディに代金を手渡し、7束の方を鞄にしまう。

 そうして彼とは別れたのだったが――


 その翌日、私は思いがけず、彼とパーティの仮契約をすることとなるのだった。

読んでもらえるのうれしいですね〜!

ありがとうございます!

すぐ更新できて良かった^^♡

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