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プロローグ その①

なんで歳って取るんだろう

この俺、武士(もののふ) 涼平(りょうへい)が子供の頃に想像した30歳は煌びやかな世界の中にいた。


愛する歳下妻の朝食を食べ、行ってきますのキスがあって、出勤。

颯爽と仕事をこなし、部下にも恵まれて、定時に上がる。

愛する妻のいる家に帰り


「ご飯にする?お風呂にする?それともわたし?」


という冗談を交わし、出来立ての夕飯を食べ、風呂に入り、睡眠を取り、朝を迎える。

そんな人生を送れると思っていたが、現実は真逆だった。



彼女いない歴=年齢。画面越しの幼い娘に欲情し、平面に熱い口づけをし、死んだ顔で電車に揺られ出勤。

一向に終わらないノルマを眺め、クソ上司に囲まれ、日付が変わるころようやく帰れる。

電気が消えた真っ暗な玄関に立ち尽くし


「飯にする……風呂にする……オエオオアアイ!!」


と奇声を上げ、冷えたコンビニ飯を口に押し込み、シャワーを浴びて、東の空から明けの明星が昇るころ就寝して、またすぐに起きる。


そんな日々で心身ともに限界が来ていた。


ああいっその事…なんて思ったこともあったが趣味を作り、何とか踏みとどまれた。

転職を考えたことはある。けど30代で次なんて見つかるのか?なにか特出した才能でもあれば別だが、俺にそんなものは持ち合わせていなかった。

Fラン大学を出て、何もすることなく単位だけをまじめに取得して卒業。ここの会社もたまたま面接で通ったから入るかで入ったぐらい。

そんな会社でやりたいことも無ければ、やる気もない。ああ何でこんな人生にしてしまったのだろう。

最初からやり直せるならなぁ。



考えは堂々巡り、何も変わらないまま朝を迎えた。

陽光は街を照らす。俺はアレが憎い。無情にも現実を突きつけてくるからだ。

何よりも輝いているあの姿が嫌いだ。まるで真逆を見ている気がするから。

隈の出来た目を擦り、テレビを付ける。

二度寝はダメだ。極限状態ではいつ起きるかわからない。いくら眠くても目を見開き起きていないと…。



[—―――今朝のニュースです。

今年に入ってからの〇〇の同じ区内での行方不明者が50人を超えたという発表がありました。行方不明になった人たちは、11歳から32歳の男女が忽然と消えてしまった様で、足取りがつかめていません。何らかのトラブルに巻き込まれた可能性が高いとして…]



不思議な事件もあるんだね。どこへ消えたんだろう…もしかして異世界とか…まあ、あり得ないわな。

まあ連れて行くなら未来をまだ決められる若い人よりも俺を連れて行けってんだ。


【ふふふ…わかったわ…】


突如耳元から少女の声がして驚き、後ろを振り返った。

何もなく、いつもと同じ荒んだ部屋がそこにはあった。なんだったんだ?今の声…。

モニターに常時表示されているキャラクターを見た時、心臓が凍り付いた。


「ゆっくりしすぎた!!!」


涼平は急いで身支度を整え、スーツに着替え、アパートから飛び出して会社へ向かった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


いつも通り、日付が変わった夜の街。

眠った摩天楼は、昼間見るよりも不気味で、どこも静まり返っていた。

ビルの合間に潜む闇に本能的に竦んでしまう。いつも見る光景だが、これだけは慣れない。

早く帰って今日こそはちゃんと睡眠をとろう。

足早に駆け抜ける。街灯のある地区に入ると一点に目が留まり足を止めた。

本来こんなところで絶対に足を止めることはない。

直帰からの奇声。そういうルーティンが俺にはある。


しかし異様な光景に足を止めざるをえなかった。

漆黒の高級車。いかにもな格好の人が少女を取り囲んでいる。

幸い怒号は飛び交っていないが明らかに関わってはいけない人達…。

無意識に早まる動悸。見てはいけない…。


「でも、でも!未来を決めることの出来る若者を救わない理由にはならない!」


ガードレールを飛び越え、反対側へ向かう。

逃がすことができると思ったのだろうか?闘って勝てると思ったのだろうか?

それでも一発ぐらい当てて…手を引いて全速力で逃げる!


車道に飛び出した瞬間、眩い光が視界を遮った。反射的に目を手のひらで遮る。

光が大きくなるにつれ身体が軋む。巨大な鉄の塊が俺の身体をありえない力で左側へと投げ飛ばす。

地面に叩きつけられ、恐ろしい痛覚が全身を駆け巡る前にその車輪で轢き潰された。

心身ともに限界が来ていた身体とは言え30年動いたその身体は脆く、瞬く間に赤い花を地面に咲かせた。


次の話から異世界での話となります


※~~の中身が変わるかもです

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