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8,使命に目覚めました。

 

 リザードロードさんの肉片がうず高くつまっています。


 あぁ、彼は自身がバラバラにされていくとき、どれほどの気持ちよさを感じたのでしょう? 

 苦しみと痛みだけが、確固たるもの。

 わたくしは、使命に目覚めたのです。他者からもらうばかりではいけないと。他者にも与えなければならない。与えられてばかりではダメ。

 痛みを与えられたならば、そのお返しとして、相手にも同じような痛みを与えてあげるのです。


「生きとし生きるものは、みな互いに与えながら生きているのですね。わたくし、それを体現することこそが、みずからの使命と知りました。

 これからは痛めつけられて悦ぶだけではありません。同じ痛みを与えて、悦びを知っていただきたく思います」

『……われはいま見たぞ。いうなれば魔王が誕生したのを。むろん『魔王』といっても、これは比ゆ的な言い方だが』


 このかた、変なことを言いますのね。変わりもののようです。

 指摘しないのが、優しさ。


「あら? リザードマンさんたちが、お気づきのようです」


 リザードマンたちがおのおの武器を携えて、わたくしのもとに駆けてきます。わたくしは両手をひろげて、みなさんを迎えました。


「よろしいですよ?」


 リザードマンたちが大剣や斧を振り下ろしてきます。

 わたくしの肉体がズタズタに裂かれます。

 そのたびに痛覚がはじけて、わたくしの全身に快楽が走ります。

 あぁ♡ 殺される気持ちよさと、生きたままズタズタにされる気持ちよさは、またタイプが違うのですね♡


《ゴッドヒール》で肉体を再生しますと、リザードマンたちがとまどったように互いに顔を見合わせます。

 わたくしは〈獄神剣〉を持ち上げます。物理攻撃力カンスト9999(物理攻撃力に影響を与えるSTRも52から5000まで跳ね上がっているようですね)。

 無造作に〈獄神剣〉を振り下ろしますと、その直線状にいた5体のリザードマンが、真っ二つになります。


「分かります、気持ちよすぎて昇天したのですね♪? 生きている→からの胴体両断で即死、の気持ちよさは、とてつもないですものね♪」


『われを握りし選ばれし者よ、キ×▽イなり』

「はい?」


 残りのリザードマンたちが、また互いに顔をみあわせ、それから悲鳴?らしきものをあげて、逃げていきます。

 気持ちいいことから逃げるなんて。逃げるなんて。


 わたくしは〈獄神剣〉を持ち上げまして、

「気持ちのいいことから、逃げないでくださいよー♪」

 

 親切心から、追いかけさせていただきます。

 追いかけまして、まずははじめのリザードマンさんの頭部を切断させていただきます。気持ちが良かったですね? 

 次のリザードマンさんは──少し遠いので、わたくしの移動速度では追いつきそうにありません。AGIが98しかありませんので。

〈牙突の天〉にいたころは、緊急逃走時には仲間のかたに抱きかかえていただいたものです。


 ふむ。リザードマンさんたちが逃げていく。

 あぁぁぁぁぁ、ここに痛みの気持ちよさ、即死プレイされる絶頂があるというのに、それを味わうことなく逃げていってしまいます。

 わたくしは、とても残念に思います。

 リザードマンさんたちが、このままでは痛みを与えることしか知らないまま、成長していってしまうのですから。


「そんなこと、悲しすぎますわ!!!」


 刹那。わたくしの知覚に、新たなアビリティの定着を感じます。しかしこれは、これまでの白魔法とは異なるもの。魔法ではなく、技。


「〈獄神剣〉固有アビリティtypeⅠ《刃無残》」


〈獄神剣〉より放たれる斬撃が、周囲へと逃げていくリザードマンさんたちを切り刻んでいきます。

 リザードマンさんたちの悲鳴と絶叫が、響き渡ります。

 そんなに気持ちよいのですね♪ 

 分かります、分かります。


〈獄神剣〉さんがなぜか嘆きまして、

『モンスターに同情する日が来ようとは。そして、これからがわれの新たな日常となるのか………………呪われた剣であるわれにとって、これは本望なのであろうか?????』


 使命を果たしますと、周囲には昇天されたリザードマンたちの死体。

 その死体を踏みつけるようにして、もう一体のリザードロードが歩んできました。巨大なクレイモアを片手にして。

「ヤハリ貴様ハ、人間デアリナガラ、ソノ狂ッタ感性ハ、スデニ魔族ノソレに値スル」


「うふふ。あなたが、ここのリザードマンさんたちの首魁ですのね?」

「我ハ降参スル。降参スルユエ、殺スナ」


 リザードロードさんがクレイモアを落としました。


 わたくしは〈獄神剣〉を持ち上げまして、

「わたくし、あなたを喜ばせることができると思うと、とても幸せな気持ちになりますのよ♡♡♡」


 リザードロードさんが、なぜか焦ります。

「マテ! 降参スル! 武器ヲ持タヌノニ、殺スノカァァァァァァ?????」


『このリザードロード、このサーリアがキ×▽イと見抜いておきながら、降参で済むと思っておったのか。可哀そうな』

「では、気持ちよくなってくださいね♡」

『憐れな奴。だがこれも自業自得か。人間たちを痛めつけてきた──因果応報』


 リザードロードさんは、とても幸せそうにバラバラになりました。

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