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28,参番隊。


 ──サーリア──


 小さなバケツの中で肉体再生したため、復活とともに肋骨がへし折れました。あぁ、なんて親切なことをしてくださるのでしょうか。

 愛を感じます。


「あ、ごめんなさい、サーリア! あなたの肉塊をバケツに押し込んだけど、復活したあとのこと忘れていたわ!」

「エミリさんでしたか……好き♡」

「え、やめて。そんな誘うような眼差しで見ないで。あたしは、百合には興味がないのに──う、この引力はなんなの?」


「おい、遊んでいるんじゃねぇ」

 と、ボードさんが気絶したルーク君を引きずって来ました。


 そういえば、ルーク君のグール因子は治癒していませんでしたね。

 あらためて《メディク》を使用し、グール因子を完全に消します。

 また第一号患者であったルーク君からグール因子が完全に失われたため、ルーク君から感染させられたグールたちもすべて治癒されたことになります。

 ひとまず、これで今回のグール騒ぎは終了、のはずなのですが。


「聖猟騎士団の方々は、グール狩りを決行するのでしょうね。厳密には元グールですが」

「あの男ならそうするでしょうね」とエミリさん。


 アベルさんの剣技をこの身で体験できなかったのが、心残りではありますが。彼ならば、今後も追いかけてくれることでしょう。

 それはそれとして、解決策はあるにはあります。


 広大な領土をもつ王国で、遠距離会話をする方法はいくつかあります。

 ただそのほとんどは、魔導士系ジョブによる魔法など。

 その中で唯一、誰でも使用できるのが、冒険者ギルドなどに設置されている魔導話という装置。


 魔導ラインを介して会話できるもので、現在のところ数は限られています。それに使用料金が高いのですね。

 ギルド支部で魔導話の使用許可を得てから、

「ボードさん。わたくし、お金がないので、いくらか貸してください」

「……………………………マジですか、サーリアさん」


 魔導話をかけた先は、王都にある騎士団本部。そちらで取り次いでもらったのは、捌番隊隊長のメーベルさん。

 わたくしを生きたまま焼いて、そのうえで切り刻むと言ってくださった方ですね。

 優しいかたです。


「……はい。サーリア姉さん、お久しぶりっすね」


 念のため言っておきますが、メーベルさんとは、血縁関係ではありません。姉のように慕ってくれているので、わたくしのために、一度は〈拷問士〉なるジョブに転職しようとしていたかたです。

 あいにくそんな素敵なジョブはないので、止めましたが。


「ご無沙汰しております、メーベルさん。王都にいらっしゃって良かったです。王都以外では、どこにいらっしゃるか見当もつきませんものね」

「……サーリア姉さん、ひどい、です。私に何も言わず、〈牙突の天〉を去るなんて」

「ごめんなさい」

「確かに〈牙突の天〉は雑魚すぎて、サーリア姉さんには、ふさわしくなかったかもですが」

「〈牙突の天〉は、冒険者ギルド最強のSSRパーティですよ、メーベルさん」

「冒険者など、時代遅れです」


 ここでメーベルさんと、冒険者論議している暇はありませんね。

「実は、メーベルさんにはお願いがありまして」


 それからこの城郭都市ロウデにおけるグール騒ぎと、それを解決したこと。だというのに、伍番隊のアベルさんが、グール汚染していた者たちを片っ端から殺そうとしていることを話しました。


「メーベルさんのほうから、騎士団長さんに進言して、アベルさんを止められませんか?」

「わかりました。サーリア姉さんのためですから。それとサーリア姉さん。姉さんのことを千回刻んでも、まだ生きていられるようにする拷問スキルを、身につけました。いつでもいいので、ぜひ、私のもとに来てください」

「千回も身体を刻まれながら、まだ生きていられるのですか??? それは想像しただけで、よだれが、じゅるり」

「魔導話ごしでも、サーリア姉さんの『じゅるり』を聞けて、私も幸せです♡♡♡♡♡」

「メーベルさんが幸せを感じられて、わたくしも嬉しく思います」

「それとサーリア姉さん。私はいま、捌番隊ではなく、参番隊です。私が最上級職にクラスアップしたことで、私の隊ごと昇格したです」

「あら、それは凄いですね。さすがはメーベルさんです」

「はい、姉さんっっっ」


 さて、あとは様子見ですかね。

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