突然の嵐
始まりは、悲しい曲から入る。そう夜明けのように。そこに一人の主人公。彼は、これまでの人生を振り返る。朝、お母さんに起こしてもらって。ご飯食べて。外でみんなに挨拶して、時々畑仕事を手伝い、午後、馬と一緒に遊んで暮らしている。日が暮れたら、家の手伝いをした。けれどそんな日常も今終わる。そうこれから私は。
「そんな辛気臭い顔をしないの。ラウ。まるで、勇者の出発のような顔して。」
振り返ると、お母さんが、立っている。私は、間違いなくお母さん似だ。そのせいかよく心も通じる。
「お母さん。今いい導入だったのに。」
いいところでお母さんがきる。これからだっていうのに。いつもの通り
「お母さんは寂しくないの?」
ちょっとすねてしまう。
「もう。寂しいに決まってるじゃない。」
わかってる。だから目立たなくして速攻で帰る。
そう思ってたけど、馬車の中は。
「ご機嫌遊ばせ。私、目立たないものは、目に入らなくって。」
願いは、虚しく散っていった。
「私の洋服をご覧遊ばせ。カノ有名な方に作らせましたの。知っていらしゃるわよね。」
「もちろん知りませんとも」
「この帽子は、かの有名な方のデザインでしてよ」
話が通じませんね。
そんな話をしている間に、雨が降ってきた。