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暗躍せし男たち
暗い空間の中にデスクトップが怪しく光っている。
1台だけのパソコンがテーブルの上に鎮座して、椅子が二台並べられている。そこに黒いスーツの男が1人、糸のように細い紫煙を伸ばしていた。
すると男の背後から声が沸く。
「よぉ。久しぶりだな田中。」
暗闇の中にいた何者かは、パソコンの光によって姿を露にさせる。
金髪のソフトモヒカンに碧眼の典型的なアメリカ人。身長190mはあろうかという大男の大柄さは、スーツの上からでも筋骨隆々さが見てとれる程だ。
田中はパソコンに向いていた顔を背後に回して、咥えタバコをしながら器用に話す。
「久しぶりだなミシェル。何もない部屋だがゆっくりしてってくれ。」
「ゆっくりてなぁ…。こう何もないんじゃ逆に落ち着く島がねぇ…。」
「ぶつくさいうな巨人。さっさと座ればさっさと終わる。」
並べられた椅子を引いて、田中はミシェルを手招きする。