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最強の冒険者


サラディンの魔術幻界がメフィストの魔術幻界を破壊し、溶岩が噴き出す灼熱地獄と絶対零度の氷結地獄の世界に描き換えて行く。

 

自分の魔術幻界が描き替えられて行く様子を見てメフィストは苛立ちながら動揺する。


《な、な、な!馬鹿なー!!人族が小生の魔術幻界よりも強力な幻界を創り出しただと!!ありえん!ありえん!ありえーん!!》


「ホッホッホッホ!さぁ魔族よ、今度はお主が守る番じゃよ!」


動揺するメフィストにそう言うと、サラディンは両手に魔力を集めていく。


「ほれ、行くぞ!」


サラディンは両手に集めていた魔力を、右手に火属性の魔力を左手に氷属性の魔力に変えて魔法を発動する。


火の魔力は巨大な虎の姿になり、氷の魔力は巨大な蛇へとなりメフィストへ襲いかかる。


《くっ!舐めるなー!!》


メフィストは襲いかかる火虎と氷蛇を魔力結界でどうにか防いで行く。


だがここはサラディンの魔術幻界の中!


サラディンの魔術幻界「炎氷地獄(インフェルノ)」は灼熱と極寒によるバフ・デバフの付与を始め、サラディンが幻界内で発動する魔法が灼熱魔法と凍結魔法の属性に変化する。そして一番の利点は、この幻界内に置いて、サラディンが発動する魔法は全て魔力を必要としなくなる。すなわち、無限に魔法を使う事ができると言う事だ!!


まさにチートクラスの力であるが、そのかわり幻界を発動する為には膨大な魔力を要する。具体的には、メフィストに対してサラディンが放った超級魔法7発分に相当する魔力が必要となり、サラディンの保有魔力ではどうやっても足りない。……では、サラディンはどうやってその魔力を補ったのか、それは解放した【聖輪 ゼブル】の能力である魔力吸収のお陰だ!魔力吸収は周囲に残留している魔力を集め、ゼブルを介してサラディンへと還元され、サラディンの魔力へと変わる。

この能力により、サラディンは魔術幻界を発動する為の魔力を用意したのだ!!




サラディンが幻界を発動してからおよそ10分が経ち、サラディンによる怒涛の攻撃によってメフィストの結界が破れる。


《グワー!!》


数十発の魔法をくらったメフィストは、叫びをあげながら倒れ込んだ。


「ホッホッホッホ!随分と耐えたが、ここまでの様じゃのう」


サラディンは髭を触りながらメフィストを見下ろす。そんなサラディンをメフィストは凄い形相で睨んでいる。


《グフッ!おの〜れ〜!!》


「ホッホッホッホ!さて、そろそろ終いにしようかのぅ……魔族よ、最後に言い残す言葉はあるか?」


《小生を殺したとしても、ほかの小生が必ずお前を殺す!》


「ホッホッホッホ!それはそれは、楽しみだのう……さて、それではさらばじゃ、魔族よ!」


ドカン!!


そう言ってサラディンは跡形もなくメフィストを消し去った。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆



魔術幻界を解いたサラディンは、疲れのせいかその場に座り込む。


「ふぅ……全く、あれが魔族か。まさか魔術幻界まで発動する羽目になるとはのぅ……はぁ、本当勘弁して欲しいのぅ……」


と言いながら、その後も溜め息を吐きながら城の方を眺める。



**************



一方、サラディンが魔術幻界「炎氷地獄(インフェルノ)」を発動した頃、貴族街へと向かっていたメフィストは、魔族としてのプライドを捨て、街中を逃げ惑っていた。



《はぁ、はぁ、はぁ、なんなのであるかあの人族は?!あんな人族がいるなんてありえないのである!!》


文句を言いながら走り続けるメフィスト。その後ろにはゆっくりと歩きながらメフィストを追う、白い鎧に黒い仮面を被った性別不明の人間がいた。


この人間の名は「ギリアン」

世界に5人しかいないS級冒険者にして、その圧倒的な実力から『天下無双』と呼ばれ恐れられている。


そしてギリアンは、右手に禍々しいオーラを纏う剣を持っている。

一目見ただけで魔剣と分かるほどのオーラを放つその剣はメフィストが飛ばしてくるナイフや爆弾ボールを切り裂きながら、メフィストとの距離を詰めていく。


《クッ!こうなったら仕方ない、魔術幻界を使うしかないか》


覚悟を決めたメフィストは、黒い仮面を被った人族に向かって行く。

ギリアンは近づいてくるメフィストに対して右手に持つ剣を振る。


ザシュ!!


ゴト!


メフィストは、ギリアンの振るった剣を避けきれず左腕を切られる。だがそれは、メフィストにとっては想定内。メフィストは残った右腕でギリアンの腕を掴むと


《ーーーッ!!!捕まえたぞ人族!終わりだ!魔術幻界『道化師の遊戯場』!!》


魔術幻界を発動する。

メフィストとギリアンを中心に、周りがサーカスの様な世界へと変わっていく。


《ん〜ん!!これで貴様も小生の遊び人形だ!!さぁ、命乞いでもしてみろよ!》


先程まで違い、余裕の表情を見せるメフィストに対して仮面を被るギリアンの表情は分からない。それでもギリアンは、狼狽えた様子どころか、驚いた素振りすらみせず、ただ眼前のメフィストを見る。


《どうした人族?恐怖で喋ることすら出来ないのか?》


余裕の態度で喋り続けるメフィストを見て、ギリアンは一言だけ


「……つまらん」


と言って、右手に持つ剣をメフィストに向かって振る。


《は????》


ドスン!


その一撃はメフィストの胴体を真っ二つに切り裂き、さらには魔術幻界すらも切り裂いた。


ギリアンの持つ剣の名は【魔剣 冥王プルート

その能力は、あらゆる魔力の消去と空間断絶

そして、魔力を持つ生物を切る事で無限に成長する事ができる。



真っ二つにきりさかれ、胴体がお別れしたメフィストは地面に転がりながら叫ぶ。


《おのれ!!人族がー!!よくもし………》


グサ!


「五月蝿い」


ギリアンはそう言って、喋っている途中でメフィストの頭に冥王プルートを突き立て消滅させる。


メフィストが消えたのを確認したギリアンは、冥王プルートを鞘に戻すと依頼人である貴族の屋敷へ戻っていった。

そして、そこはなんと圭太達が泊まっているエドワードの屋敷である剣爵邸だった!!


そう、ギリアンの依頼人はなんとエドワードだった!!エドワードは、父と因縁があるウステム蕃国やヴェルダン帝国の使者が来ると言う事で、もしもの時の為に母親の護衛としてギリアンに依頼していたのだ。

護衛の件について母親は凄く反対していたが、国王もエドワードに賛同した為、仕方なく母親は了承した。だが、その決断が結果として、貴族街への被害を未然に防ぐ事ができたのだった。


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