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武士の最後


全身から血を流し片膝をつきながらも、未だにその目には闘志が宿るムサシに俺は感服した。


「凄いな!どう見ても生きているのが不思議なくらいの出血量なのに、まだ闘う意志があるなんて」


「ゴフ!!ふん……自分は、ま、だ、負けて、無い」


ムサシは吐血しながらも立ち上がり麒麟を構える。俺はそんなムサシに対して忠告をする。


「もう止めろ。それ以上動けば死期を早めるだけだぞ」


だがムサシは、出血をものともせず麒麟を鞘に戻して居合いの構えをとる。


「ど、どうせ死ぬのならば……最後まで、武士として……死んでやるさ」


俺はそんなムサシの姿を見て、その姿に感動したと同時に応えてやりたいと思った。


俺は【包丁召喚】で牛刀を召喚すると右手で持ち、ムサシに向かって告げる。


「俺の名前は相田圭太!!一流の料理人にして、女神の使徒(仮)!」


すると今度はムサシが吐血しながら


「自分、は、『雷光』、ムサシ・カゲミツ!アイダ、ケイタよ!いざ尋常に……」


ムサシの全身と麒麟が光輝く。

それはまるで、自分の命を燃やしているかの様に……




しばし沈黙の後





「「勝負!!」」



合図と同時にムサシは技の名を叫ぶ。


「うおーー!!“カゲミツ流奥義”‘雷神’!!」


光輝くムサシの背後に雷で出来た龍の様な生物が現れ、ムサシと一緒に向かって来る。


俺はムサシに向かって右手を振り下ろしながら


「スキル【捌く者】!!」


と呟く。


ザシュッ!!


振り下ろした包丁はムサシの背後にいる雷の龍を切り裂くと、ムサシの肩から袈裟斬りの様に深く傷を付けた。


明らかに致命傷だ!!


「ゴフッ!!……ガバッ!!」


口から大量の血を吐き出したムサシはその場に仰向けで倒れ込み、最後の力を振り絞って喋る。


「ふ、ふふ……じ、自分の負けだな……感謝、するアイダ……ケイタよ。自分の、ね、がいを聞いて…くれて……ゴフ!!いいか……帝国の、軍隊が向かって来て、いる……気をつけろ……ゴフ!」


ムサシは血を吐きながら喋り続ける。

俺は虚な目をしているムサシの手を握りながら


「良いのかそんな大事な情報を教えて?」


俺が質問すると、ムサシは口元を緩めながら


「自分に、勝ったお前に……なら…いい……ゴフ!!」


「そうか……」


「こ、これを……持って、行け……お前の…物だ……」


そう言ってムサシは俺に自分の愛刀、魔剣【麒麟】を渡して来た。


俺は麒麟を受け取るとムサシへ語りかける。


「『雷光』ムサシ・カゲミツ。お前の名と技を俺は一生忘れないだろう」


「そ、そうか……いい……人生だった」


バタ……


そして、ムサシは静かに息を引き取った。


その表情は晴れやかで、口元には笑みを浮かべていた。



**************



ムサシが死んだのを確認した俺は、麒麟をアイテムボックスにしまうと石壇に置かれている「怨霊箱」の元に向かう。

すでに封印は全て解かれており、少しの振動でも箱が開いてしまう状態だった。


「さてと!それじゃあ、女神フリージアの言った通り再封印をするか!」


俺はアイテムボックスからフリージア謹製の封印札を取り出し、箱に貼り付けると呪文を詠唱する。


  “其処は全て幻想 理想の終着点”


 “全ての罰を許し 全ての罪の贖罪の地”


“彷徨える魂の在りどころにして絶対の聖域”


“あらゆる不浄を取り払い

        

        あらゆる理条理を否定する”


     “安寧の地よここに”


      “理想と幻想の庭(アヴァロン)



ピカーン!!


俺が呪文を唱え終わると、箱に貼り付けた封印札が光だし、徐々に箱を包み込むとやがて封印が完了する。


俺は箱をアイテムボックスにしまうと、その場に座り込む。


「ふう。とりあえずこれでOK!あとはあっちの方が上手くいってくれていれば良いんだけど……不安だ……」


ここで言う“あっち”とは、国境付近に待機しているウステム蕃国とヴェルダン帝国の軍隊の事だ!女神フリージアから事前に知らされていた俺は、この2国の内ヴェルダン帝国の方にアザゼルとその配下を向かわせ、ウステム蕃国の方には「蒐集図鑑」で呼び出したモンスター達を向かわせた。


ウステム蕃国の軍隊はおよそ1万。それに対して「蒐集図鑑」で呼び出したモンスターはおよそ500と数は圧倒的に少ないが、そこはスキル「従魔進化」を使って全てのモンスターを進化させたので戦力的には問題無いと思っている。むしろ、全てのモンスターがCランク以上の群れと戦わなければならないウステム蕃国の軍隊には念仏のひとつでも唱えておこう。


 南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏


だがそれ以上に可哀想なのは、アザゼルを筆頭に、キマイラやオーガキング、フォレストドラゴンにオルトロスと言ったBランク越え(Sランクも含む)のモンスター達を相手にしなければいけないヴェルダン帝国には同情すら覚える程だ。


「まぁ、戦争しようとする時点で自業自得なんだけどね!」


そう言って俺はアイテムボックスから作り置きしていたおむすびを出して食べながらアザゼル達の連絡を待っていると、避難を終わらせたエドワードがやって来て、今の状況と事の経緯を説明した。


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