やってくれたな!
〜晩餐会当日〜
ついにこの日が来た!
本来ならば今日はゆっくりと異世界の料理に舌鼓を打てるはずだったが、やれ魔族が関わってるだの、沢山の人が死ぬから何とかして欲しいと女神からの直々の頼みを断れるわけもない(と言うより、断ってもどうせ巻き込まれる)ので、今日の俺は魔族や首謀者たちへの怒りでやる気満々だ!!
と言っても、晩餐会が始まるのは午後5時からだし、午後4時にならないと登城する事が出来無いので、その間俺は女神へ送る料理を作る事にした。エドワードに頼んで屋敷の厨房を借りた俺は、早速アイテムボックスから食材や調味料を取り出して行く!
今日のメインはみんな大好きチキン南蛮とキノコの炊き込みご飯だ!!
材料を全て用意した俺は早速取り掛かる。
「よし!それじゃあまずは炊き込みご飯から仕込んでいくか!まず研いだ米に水、酒、醤油、味醂を加えたら、えーと今回使うキノコは、肉のようにジューシーなロースダケとパリパリとした食感が特徴のエリンディー、そして香りが凄くいいマツオウダケの3種類と、出しがよく出るコンブダケを入れて蓋をして炊いて行く!!スイッチオン!」
俺は「調理器具召喚」のスキルを使い召喚した炊飯器のスイッチを押す。
「そしたら次はメインのチキン南蛮だ!今日使う肉はグレートファルコンのもも肉だ!!
まずもも肉に塩、胡椒、味の素、酒で下味を付けたらしばらく置いておく。その間に卵を茹でて冷ましたら、マッシャーを使って潰す!で、マヨネーズと黒胡椒、塩に砂糖、ピクルスを少々加えてよく混ぜたら、特製タルタルソースの完成!!」
俺は完成したタルタルソースをすぐにアイテムボックスにしまう。何故ならば、タルタルソースは冷えていた方が美味いからだ!!そして、アイテムボックスに入れておけば温度が変わる事が無い!
なんて便利なんだアイテムボックス!!
使い終わった器具を片付けた俺は、下味を付けた鶏肉に片栗粉をまぶす。
「よし!!そしたらいよいよ揚げていくのだが、ここでワンポイントアドバイス!!揚げ物は二度揚げをするべし!!そうする事で、外はカリッと中はジューシーに仕上がる!!まず160度から170度前後の油でじっくりと揚げていったら、油から一旦取り出して少し落ち着かせる。その後、今度は170度以上の高温の油で短時間揚げる!!これだけで美味さが段違いに変わるので試して見てくれ!って、俺は一体誰に説明しているんだ??」
そんな事を考えながら全てを揚げ終えた俺は召喚して置いた皿にサラダを敷き、その上に作って置いた南蛮酢(醤油、砂糖、酢を混ぜた物)にくぐらせた唐揚げを乗せ、上からタルタルソースをたっぷりとかける!
「……ゴク!やばい、めちゃくちゃ美味そう!!」
完成したチキン南蛮を見て、俺は思わず唾を飲み込んだ。
だってしょうがないじゃないか!
俺が耐えきれずつまみ食いをしようとした瞬間、炊飯器が炊けた音が響く。
「お!!なんてグットタイミングなんだ!」
俺は炊飯器を開けると、炊き込みご飯を一度かき混ぜたら蓋を閉じて少しの間蒸らす。
こうする事で出来上がりが全然違うのだ!
〜数分後〜
完成したチキン南蛮と炊き込みご飯を盛り付けた俺は、いつものように女神へと送るために祈りを捧げた。
すると、いつものは黄色に輝いている筈の光が何故か今回は緑色に輝き、料理が消えていった。
「???なんだったんだ?」
一瞬、いつもと違う事を疑問に持った俺だったが、今はそんな事よりも早くチキン南蛮を食べたいと言う欲望に負けた。
「よっしゃー!それじゃあいただきまーす!もぐもぐ………うめー!!やっぱりチキン南蛮は最高だな!!ジューシーな肉に甘酸っぱいタレ、そしてタルタルソースがベストマッチしてるぜ!!……そしたら今度は炊き込みご飯だ!あーん……もぐもぐ……もぐもぐ……もぐもぐ……はっ!やべぇ、つい夢中で食べちまった!なんて美味さなんだ!!食感や風味の違うキノコ達が食欲をそそる〜〜!けどなんと言っても、やっぱり日本人は米だよなぁ〜〜」
米の素晴らしさに改めて感動した俺は、その後黙々と料理を食べ続ける。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「ふぅ、ご馳走様でした!いや〜美味かった!……それにしてもカーラのやつ、まだ起きてこないのか?しょうがない、起こしに行くか!」
料理を食べ終えた俺は食器を片付けると、未だに寝ているカーラを起こしに部屋に戻る。
時刻は午後12時半。
普段ならば起きている筈のカーラがこの時間まで寝ている事に若干の不安を抱えながらも、俺はカーラの寝ているベットの布団を取る。
「ほらカーラ、起きろ!!」
バサッ!!
「・・・・・はれ??」
布団取った瞬間、俺は思わず変な声が出てしまった。
何故かと言うと……
本来、そこで寝ている筈のカーラがなんと
「なんで………卵???」
卵になっていたのだから!!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
予想外の事態にしばらく間現実逃避していた俺だったが、数分してようやく戻ってくる事が出来た。
「はぁ、あぶねーあぶねー!予想外すぎて少し現実逃避してたわ!それにしてもなんでカーラが卵になっているんだ?昨日、特に変な事してないよなぁ?……まさか、教会に行った時に女神が何かしたんじゃあ……!!」
俺は急いでステータスからメール欄を開く。
実は今朝、普段はしている日課のメール確認を怠ってしまっていたのだ!
メール欄を確認すると、予想通り女神から一通のメールが届いていた。
「くそ!まさかよりにもよって今日かよ!ふざけんな女神!!」
俺はそのメールを見てそう呟いた。
そこに書いてあった内容と言うと……
【ヤッホー!久しぶりだねケイちゃん!!みんな大好きビティーだよ〜!!って、ひどいよケイちゃん!ビティーもフリージア見たいにケイちゃんに会いたかった〜。でもしょうがないよね、ケイちゃんのいる国じゃあビティーとは会えないし、会うのはまた今度って事で〜………あっ!それと、ケイちゃんがフリージアと会ってた時にカーラちゃんとお喋りしたんだ〜。んで、その時カーラちゃんにちょーとだけビティーが手を貸してあげたから、もしかしたらそのうち進化するかも知れないからよろしくねぇ〜!追伸:また甘いもの食べたいなぁ〜】
メールを読み終えた俺は大きくため息を吐くと、もうどうしようもないので開き直る事にしてこれからの予定を組み直す。
「はぁぁ……とりあえず今日の晩餐会は俺一人で行くとして、エドワードには……まぁ適当に理由を誤魔化しとくか。あっ!もうこんな時間じゃないか!そろそろ城に行かないとまずい!」
カーラの件で時間の事をすっかり忘れていた俺は、急いで準備を済ませて城へと向かった。




