正門での出来事
偶然出会った老人がまさかの「魔導王」だと知った俺の内心はとんでもない事になっていた。
(ふざけんじゃねーよ!!どうしてこう毎度毎度、面倒事に巻き込まれなきゃなんねーんだよ!なに?俺って呪われてんの?って、俺には解呪のスキルがあるんだからそんな訳ねーよ馬鹿!!)
俺が一人でノリツッコミをしていると、「魔導王」が話しかけて来た。
「さて、儂の名前も知った事だしそろそろ城まで案内してくれんかのぅ?」
「えっ??!」
「え!じゃ無いわい!儂はお主の言う通り、ちゃんと名乗ったのじゃから、お主が儂を城まで案内するのは当たり前じゃろう!」
「マジですか?」
「うむ。マジじゃ!!」
「魔導王」の話を聞いて、俺は頭を抱えながらその場に屈みこみ叫ぶ。
「うわー!!マジかよ!?最悪だ!!名前なんて聞くんじゃ無かったー!!」
俺が叫んでいると、隣でいまいち状況を掴めていないカーラが俺のコートの裾を引っ張りながら心配そうな表情で
『大丈夫ですかご主人様??何かあればカーラに任せて下さいね!!』
「て、天使だ……」
まるで仏か天使のようなカーラに励まされた俺は、優しくカーラの頭を撫でながら立ち上がる。
「ありがとうカーラ。お陰で落ち着いたよ!」
『良かったですねご主人様!』
「ああ」
カーラのお陰で落ち着いた俺は「魔導王」の方へと向きながら
「お待たせして申し訳御座いません『魔導王』殿。それでは王城の方へご案内させていただきます。申し遅れましたが、私はCランク冒険者のケイタと申します。そしてパーティーメンバーのカーラです。どうぞお見知り置きを」
「ふむ、それではよろしく頼むぞケイタ殿!そしてカーラ殿」
「それでは行きましょう」
そう言って俺は久しぶりにスキル「世界地図」を使い、城までの最短ルートを調べてから歩き出した。
*******
スキル「世界地図」のお陰ですぐに城の方に到着した俺たちだったが、サラディン・ゾルフが宮廷魔法師としての身分証を城に忘れてしまっていた為、本人確認の為に正門の前で立ち往生していた。
前回はエドワードがいたお陰ですんなりと入る事が出来たのであまり気にしなかったけれど、こうして城に入れずにいるとなんだか気まずい雰囲気を感じる。
場の空気に耐えかねた俺は、サラディン・ゾルフに話しかける。
「ところで『魔導王』殿はどうしてあんな所で迷子になっていたのですか?少なくても、宮廷魔法師団団長が来るような所では無いと思いますが?」
俺の質問に対してサラディン・ゾルフは笑いながら答える。
「ホッホッホッ!甘いのう若人よ。新たな魔法との出会いは一期一会、ああ言う所にこそ発見があるものなんじゃよ!!残念ながら今回はハズレじゃったがのぅ……」
サラディン・ゾルフの話を聞いて、俺は心の中で共感した。
(分かるわぁ〜!俺も良く包丁や料理の本を探しに行ったりしたわ〜!!)
俺が関心していると、サラディン・ゾルフは懐から一枚の紙を取り出すと俺に渡して来た。
「ホッホッホッ!!ああそうじゃった!そうじゃった!えーと、たしか……おっ!あった、あった!ほれ!」
「???……ありがとうございます。なんですか、これ?」
俺は紙を受け取ると、何の紙なのか聞く。
「これはのぅ、一見ただの白紙の紙に見えるが実は魔力を流すと文字が浮かび上がって来る仕組みになっておるんじゃよ!」
「へぇー。そんな紙があるんですね!では早速、魔力を流してみますね!」
俺は紙に魔力を流す。すると白紙の紙に文字が浮かび上がってきたので、俺は早速読んでみる。
「えーと、“この者を宮廷魔法師団に推薦する。宮廷魔法師団団長サラディン・ゾルフ……勘弁して下さいよ……」
俺が困惑していると
「ホッホッホッ!まぁ気が向いたら来るといい。儂はいつでも歓迎するぞ!」
と、サラディン・ゾルフは笑いながら俺の肩を叩いてくる。俺は苦笑いをしながら
「では、その時はよろしくお願いします。それではここで失礼します」
と言って、俺はカーラを連れて一刻も早くここから立ち去ろうとしたその瞬間
「おーいケイタじゃないか!!」
と、聞き覚えのある声がしてきたので俺は声の方へと振り向く。するとそこにはネイビーブルーの髪に深紅の瞳が特徴のイケメンが満面の笑みを浮かべ、手を振りながらやって来た。そのせいで周りにいる兵士たちが騒ぎ、サラディン・ゾルフに至っては髭をいじりながら意味深な表情を浮かべていた。
気まずい雰囲気中、俺は小さく手を挙げ
「や、やあエドワード、奇遇だな」
「奇遇だねケイタ!あれ?確か今日は屋敷にいるって言っていたのになんで城にいるんだい?と言うか、なんでサラディン様と一緒にいるのかな?」
「いや〜、実は話すと長くなるんだが……」
エドワードからの怒涛の質問に対して、俺は今日あった事を一つ一つ懇切丁寧に説明する。するとエドワードは溜め息を吐きながら呆れた表情でサラディン・ゾルフの方を見ると
「はぁ、サラディン様。また事務仕事が面倒で逃げ出したんですか?いい加減にしないとリリアナ様からまたお叱りを受けますよ!それに、毎度のことながらそのすぐに迷子になる癖をなんとかして下さいと陛下もおっしゃっていたじゃないではありませんか!」
「いやはや、すまんすまん。リリアナに関しては儂の方から謝っておくから、そう怒らんでくれんかエドワードよ!」
サラディン・ゾルフがそう言うと、エドワードは仕方ないと言う表情をしながら
「はぁ……分かりました。サラディン様がそうおっしゃるのでしたら私の方からこれ以上何か言うつもりはありませんが、ケイタに迷惑をかけた分に関しては……」
すると、エドワードは先程とは打って変わって怖い表情をしながら
「きっちりと受けてもらいますからね!」
「う、うむ」
サラディン、ゾルフはエドワードの圧に押されながら頷いた。これ以上俺がいても意味が無さそうなので、サラディン・ゾルフをエドワードに任せて俺は
「それじゃあエドワード!俺は帰るから、あとはよろしく!」
「あっ!ちょっとケイタ待って!!」
「よろしくー!!」
と言って、カーラを連れてその場を後にしたのだった。




