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迷子の老人


馬鹿皇子との決闘のせいで貴族街の店巡りが邪魔されてしまった俺とカーラは、気分転換に街はずれにある古びた魔道具店へと足を運んだ。

貴族街の中心部にも魔道具店はあるが、そう言ったところは実用性に優れていてるが基本的には一般的に普及している魔道具や珍しくても高価な物しか無いとエドワードが教えてくれたので、あえて俺は掘り出し物がありそうな古びた魔道具店へと向かった。


*******


魔道具店に入るとそこには様々な魔道具が並べられていた。俺はひと通り魔道具を見渡した後、銀色に光る指輪に目を止める。その指輪は中央には小さな石が嵌め込まれている以外これといって特徴がある訳ではないが、何故か俺はこの指輪から目を離せなくなっていた。俺はおそらく店主であろう老婆に断りを入れて指輪を手に取る。


(うーん……この指輪についてる石、なんかどっかで見た事がある気がするんだよなぁ〜?どこだったかなぁ〜?まぁいいや、取り敢えず鑑定してみるか)


指輪についている石について心当たりがあるが思い出せない俺は指輪に鑑定をかける。


名前  魔輪 龍刻ドラゴングレイヴ

レア度 神話級ゴッズ

能力

身体能力強化 魔力増強 龍力付与 

龍魔法 龍結界 龍鱗 など

隠し能力

魔龍魔法 魔龍変身 魔龍武器召喚 など

説明

この世界に44個存在する聖魔武具の1つ。

魔龍王ガジャリュクの魔石で作られた魔具で、身に付けているだけで身体強化や魔力強化される。さらに魔力を指輪に流す事で龍属性の魔法などを使う事が出来る。

〜隠し能力〜

身に付けている者が龍の血族である場合、魔龍王の力によって魔龍魔法や武器召喚などが使えるようになる。



鑑定の結果を確認して、俺はようやく心当たりを思い出す事ができた!


(そうか!この石は炎龍(カーラ)から出て来た魔石と酷似しているんだ!だから見覚えがある気がしたんだよ!)


納得が言った俺は、カーラへのプレゼントとして指輪を購入する事にした。

どうやらこの指輪は聖魔武具の一つみたいだし、龍の血族が身に付けると隠し能力が発動すると言う、まさにカーラの為にあるような指輪だ!それに値段もたったの金貨30枚だし、なにより伝説級ゴッズクラスの聖魔武具をそこら辺の有象無象が手に入れて、面倒な事になら無いとは限らないので、俺は指輪を速攻で購入した。


店を出た俺は先程買った指輪をカーラの右手の薬指に嵌めると頭を撫でながら


「いいかカーラ、この指輪はカーラを強くさせてくれるだけじゃなく、カーラに新しい力を与えてくれるから、もしカーラが危なくなったら指輪に魔力を流しながら願うんだよ!いいね?」


と、指輪の使い方をカーラに教える一方、むやみに指輪の力を使わないよう念の為に釘を押した。するとカーラは輝く目で指輪を眺めながら


『はいご主人様!ありがとうございます。カーラは凄く嬉しいです!!』


「そうか、カーラが喜んでくれて良かったよ!」


『やったー!!ご主人様からプレゼントを貰っちゃいましたー!!嬉しいったら嬉しいなぁ〜!!』


右手を上げて、薬指に嵌められている指輪を見ながらはしゃぐカーラを見て満足した俺は、さらなる掘り出し物を探して今度は魔導書店へと向かった。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇


ここで、そもそも魔道書とは何かを皆さんに説明しよう!!

魔導書とは、魔法の素質がある者が読む事で読んだ者と契約し、その魔法を使用できる様になる本の事だ。だが、一冊で契約出来る人数が限られており、その為魔導書は高価で殆どが貴族や商人が所有している。

さらに魔導書にもランクがあり、初級、中級、上級、超級が存在する。上位の魔導書になる程その数は少なく、契約出来る人数も少なくなる。ちなみに、俺が使える神級魔法には魔導書が無く、俺のように女神のスキルや最高位の職業(ジョブ)でのみ、使う事が出来る。


◇◆◇◆◇◆◇


魔導書店は魔道具店のすぐ近くにあり、歩いて2分ほどで到着する事が出来た。

俺はカーラと一緒に店に入ると、並んでいる本を手に取る。

そこには「初級魔法大全1」と書かれており、広辞苑並みの厚さがあるにもかかわらず乗っている魔法はたったの5種類しか無い知り、驚くと同時に、俺はこの本の値段に驚愕した。

なんとこの本一冊で金貨10枚と、めちゃくちゃ高い!!


俺は手に持った魔導書を丁寧に元の位置に戻してから、そのまま何も買わずに店を出た。


実は、女神のスキルで全魔法が使える俺にとって魔導書なんて必要無い事を忘れていたなんて事は無いよ!本当だよ!!


店から出た俺とカーラは、屋敷に帰る為に大通りに向かって歩き出すといきなり後ろから声をかけられた。


「そこの青年よ!ちと待ってくれんかのう?」


「???」


俺は後ろを振り向く、するとそこには燃えるような赤髪に白い髭を蓄えた老人がいた。


「俺、いや私に何か御用ですか?」


俺が質問すると老人は髭をいじりながら


「お主、儂の見立てでは相当腕の立つ魔術師と見えるがどうじゃ?」


「・・・・」


と言うので、俺はどう答えるべきか迷ってしまった。すると老人は笑いながら


「ホッホッホッ!どうやら儂の見立て道理のようじゃのぅ!どうじゃお主、儂の弟子にならぬか?」


と、いきなり意味のわからない事を言って来たので俺は


「いや、弟子なんてならないですよ!と言うかご老人、貴方は何者ですか?」


老人からの誘いを拒否し、老人が何者なのかを聞く。すると老人は


「ホッホッホッ!儂か、儂はただの迷子の老人じゃよ!」


と、だれでも分かる嘘を言いながら笑う。

イラっときた俺は、そんな老人に対して少しだけ強い口調になって話す。


「あまりふざけるのは関心しませんよご老人!どこの世界に、会ったばかりの者を弟子にしようとする迷子の老人がいるんですか?!吐くならもっとマシな嘘を吐いて下さい!!」


すると老人は表情一つ変える事なく否定する。


「そうは言ってものう、実際に迷子なのは本当じゃからのう……」


「それならせめてお名前くらい教えてくれも良いんじゃないですか?」


俺がそう聞くと、老人は困った表情をしながら答える。


「じゃが、儂の名前を知ってしまえばお主はきっと後悔する事になるじゃろうしのぅ…」


「それじゃあどうするんですか?このままだとご老人、貴方、帰れませんよ?」


俺が食い下がると老人は溜め息をついた後、ゆっくりと口を開く


「はぁ……仕方ないのう。儂の名はサラディン・ゾルフ!一応、この国の宮廷魔法師団で団長をしとる者じゃ!」


「え??ちょっと……え??」


俺はあまりの驚愕に何度も口をパクパクさせてしまった。


“サラディン・ゾルフ”この名前を俺は知っている。正確には聞いたと言うべきだろう。

その時は、まさかこんな老人だとは思いもしなかったので油断した。


いや、まて、まだそうと決まったわけじゃあ無い……


俺が混乱していると、老人は真面目な顔をしながら


「これでも世界最高の魔術師として、世間では儂のことを『魔導王』と呼んでおる!」


と言いながら笑う老人に対して、俺は心の中で叫ぶ


  (やっぱりかーーーーい!!!)

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