表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/93

高位魔族


ケイタが宿屋でぐっすりと眠り、ギルドの隣にある小洒落た酒場で、ギルマスがメリッサの説教を延々と聞き続けている時、魔界では蜂の巣を突いたような騒ぎになっていた。


理由は簡単だ。

魔界に置いて、「魔伯爵」の地位を1500年間守り続けていたアザゼルが、突如として消えてしまったのだから当然といえば当然である。


元々、ここ異世界シャングラには人種やエルフ、ドワーフ、モンスターなどの様々な種族が共存している“人界”と女神や天使などが住む“天界”、そして、魔族やモンスターなどが住む“魔界”の3つの世界がそれぞれ存在し、互いに干渉が出来ないようになっている。

(女神のみ、圭太と干渉出来る)


だが、干渉できないようにはなっていると言っても抜け道が無いわけではなく、過去には人界と魔界を繋ぐ穴が開き、魔族の侵略を受けた事がある。

それが、今からおよそ2500年ほど前に起きた「人魔大戦」と言われる大戦争だ!

その戦争で、当時あった人界の国がほとんど滅びてしまい、人口の約8割が死に人族が滅亡しかけた時、天界より女神の使徒《天使》が降り、神の技術により作られし、22の聖具と22の魔具が人族に与えられて魔族を追い返したと言われている。この時天界より与えられた武具を44聖魔武具と言う。


その後、魔界に追い返された魔族は再び人界を攻める時のために、幾つもの“呪具”を残した。現在でも、その呪具は世界中に散らばっていて、魔族が人界に干渉する為の道具となっている。(ビレフの持っていた鏡もその一つで、他にも色々な物が呪具として出回っている。)



〜魔界〜


魔界……そこは普通の人間が、一度吸い込むだけで死に絶える瘴気が充満し、凶悪なモンスターがばっこする草木一つすら生えていない不毛な大地。

唯一、魔界の中心部に限っては瘴気が弱く、魔界において、全ての魔族達が住んでいるのでそれなりに発展している。


*******


ここは、中心部でも高位の魔族が住む事を許されている地区にある屋敷。

その一室で現在、伯爵以上の爵位を持つ魔族達が集まり会議をしている。今回の会議の議題はもちろん、「魔伯爵」アザゼルの事についてだ。


会議室には円卓があり、上座から翼を生やした魔族、本を持った魔族、犬のような魔族、蛇のような鱗を持った魔族、巨大な体の魔族、道化師のような魔族、黒いモヤがかかっている魔族と7体の魔族が座っている。



「ふん!本当にアザゼルの馬鹿が死んだのか?俺はどうにも信じられねーがなぁ!」


会議室の中央にある円卓、そこに座る魔族の中で一番巨大な男がそう言って、円卓を叩く。すると、隣に座っている犬のような魔族が喋る


「少しは静かにしろ“バアル”よ!そんな事、ここにいる者は皆知っておるわ!だが、死んだと決まった訳では無いわ!」


「はっ!アガレスの旦那よ!そうは言っても、アザゼルの反応が消えたのは事実だろ?」


「ああ、その通りだ!アザゼルの反応が消えたからすでに半日が過ぎている。この事に関してはアスタロト殿にも確認をとっているが、我はアザゼルが死んだとは信じぬ」


「はぁ、アスタロト様はどうお考えで?」


そう言ってバアルは、自分の正面にいる本を持った魔族へ問いかける。


「ええ。アガレスの言う通り、アザゼルの反応が消えてから半日が経ってる。皆も知っての通り、我ら魔族は思念によって互いに繋がっている以上、どこに居ようと意思疎通をする事が出来るが、残念な事にアザゼルに思念を送っても一向に返ってこない以上、アガレスには悪いが死んでいると言う事だろう。どういたしますかベリアル?」


アスタロトは残念そうな表情をしながら告げる。すると、上座に座る翼を生やした魔族が立ち上がり


「皆よく聞け!アスタロトの言う通り、アザゼルは死んだ!つまり、1000年振りに我ら高位魔族の席が1つ空いたと言う事だ!これにより、近いうちに下位魔族の中で奪い合いが始まるだろう。皆、気を引き締めて貰いたい!それでは、これにて解散!」


ベリアルが話し終わると、先程まで座っていた魔族達がいつの間にか消えて、残ったベリアルは再び椅子に座る。


「ふう。全く、アザゼルの奴は死んでからも本当に困らせてくれるわ!まさか受肉したにも関わらず、人種に遅れをとるとは情け無い……」


ベリアルは、ため息混じりに愚痴をこぼしながら書類の束を読んでいた。

その書類は、先程ベリアルの隣に座っていたアスタロトが調べた結果をまとめた物で、この書類の存在を知っているのはベリアルとアスタロトだけのはずだったのだが……


「いるんだろうメフィスト?」


ベリアルが誰もいない筈の席に話しかけるとどこからか声が聞こえて来た。


「ん〜〜ん!さっすがベリアル様ですね〜。結構本気で隠れていた筈なんですが、まさか見破られていたとは」


そう言って姿を現した道化師の格好をした魔族。アザゼルと同じ「魔伯爵」のメフィスト・フェレスだ。


「ふん!例え上手く隠れていたとしても、お前のそのゲスの臭いは取れんさ!」


飄々と喋るメフィストに対してベリアルは不機嫌そうに喋る。


「こ〜りゃまた手厳しい事を言いますね〜!ま〜あ、小生として〜も、否定出来ないところはあります〜が!」


「それで、お前はどこまで聞いていた?」


ベリアルはメフィストに対して殺気を混ぜながら質問する。

するとメフィストは先程とは打って変わって真面目な口調で答えた。


「アザゼルの奴が人界で受肉したにも関わらず人種に殺された所までですよ」


「つまり最初から最後まで聞いていたと言う訳だな。全く、お前と言う奴は本当に抜け目のない奴だ!それで、お前ははこれからどうするつもりだ?」


ベリアルの問いにメフィストは両手を頭の上に乗せて


「どうもしませんよ!たとえアザゼルの敵討ちをすると言われても、相手が人界にいる以上、小生らじゃ手を出せませんからねぇ。そう言うのは、魔王様方やベリアル様達にお任せしますよ!」


「ふん!そうか……なら良い」


「それでは小生はこの辺で失礼しますわ!」


そう言ってメフィストは会議室の扉を開けて出て行った。


残ったベリアルは書類を読みながら


「メフィストの奴、珍しくやる気だったな」


と小声で独り言を呟いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ