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第2話 AV!?・後編

(兎野……生徒会に入ってくれてありがとう……)

(くふふ……。これで生徒会は私のものです!)

『あっ、あっ、あっ』



 不慣れだろうに黙って仕事に打ち込んでくれていることに感謝する傑と、マッサージ動画をAVだと勘違いし、仕事など一切せずに証拠を押さえるために動画を撮る聖来。



 二人の空虚な戦いに、乱入者が現れた。



「こんにちはー」

「あっ、錫音さん!」



 何の意味もない戦いが繰り広げられている生徒会に入ってきたのは、生徒会三人目にして最後のメンバー。庶務、美蕩錫音(みとれすずね)



 栗色のふわふわした髪が特徴的な、女の子らしいかわいい空気を纏った傑の先輩に当たる人物である。



(ちっ。丹土先輩ったらデレデレして……。この人も髪染めてるしスカート短くしてますけど!?)



 自分と話す時はいつも仏頂面なのに、ヘラヘラとした顔で錫音を出迎えた傑にイライラを募らせる聖来。



(そんな顔ができるのも今だけです。証拠さえ揃えられれば、丹土先輩は私の奴隷。そのツラを絶望に変えてあげます)



 聖来のくふふとした笑みには気づかず、錫音はとてとてと生徒会長席に向かっていく。



(これはまずいか……? さすがに先輩も止めるは……や、いったぁぁぁぁ!)



 傑が動画を止めないのも当然。今流れているのはAVではなく、マッサージ動画なのだから。しかしいまだその事実に気づかない聖来は、二人の様子をあわあわしながら見守る。



「へー、傑くんってこういうの好きなんだ」

「!?」


「好きっていうか……昨日妹にやらされて」

「!?」



 予想だにしない展開にスマホを持つ聖来の手が震える。



(錫音先輩が平然と受け入れてる!? ていうか妹とっ!? どうなってんですかこの生徒会はっ!?)



 高校生にとってはこれが普通なのか。いやいやそんなわけがない。自分の常識を疑う聖来をよそに、会話は続いていく。



「よかったらやりましょうか?」

「ひぇっ!?」


「えー、うれしい。最近ご無沙汰だったからなー」

「ふわぁっ!?」


「俺意外と上手いんですよ。すみれのやつ、すごい気持ちよさそうにしてました」

「ぴゃっ!?」


「あー、すみれちゃん大変だからね。おにいちゃんやさしー」

「ひょぇっ!?」


「いや別に。これくらい普通でしょ」

「ひぃえっ!?」



 すぐそこ繰り広げられる異次元の光景に、戦々恐々とする聖来。だが恐怖は終わらない。二人が目の前のソファーに移動したのだ。



「じゃあうつ伏せになってください」

「えっ!?」


「はーい。やさしくしてね?」

「はっ!?」


「それは先輩の身体次第ですよ」

「ひぃっ!?」



 二人の姿を直視することができず、顔を真っ赤にして俯く聖来。とても動画を撮る余裕なんてない。



「んっ。だめっ、傑くんいたいっ」

「なに言ってんすか。まだまだこれからですよ」


「ぁっ、ふっ、っ」

「ほらほら。口ではああ言ってましたけど身体は喜んでますよ」


「だ……め……。これ以上はっ……」

「うるさいなー。一気にいきますよ」



(こ、これが高校生……。これくらい普通なんだ……)



 誤った認識を素直に受け止めようとする聖来だったが、すんでのところで思いとどまる。



(いや。いやいやいや。そんなわけない。これは性交・性的接触等の性的感情を刺激する行為を想起させる描写を超えている。つまりR-18! 高校生がしちゃいけないことのはずです!)



 そして何より。



(丹土先輩が他の人と……やるなんて……。なんか、いやだっ!)



「そこまでです変態どもっ!」

「「え?」」



 意を決した聖来が顔を上げると、寝転がる錫音と、その上に乗って肩を揉もうとしている傑の姿があった。



「ぜ、前戯……?」

「なに言ってんの?」

「覚えたての性的用語を当てはめる男子中学生かな?」

「ううっ」



 錫音の一言が突き刺さったが、とにかく。



「生徒会室で! えと、その、えっちなことを……するのは……」

「あ? あー。あーあー……」



 聖来のもにょもにょとした口ぶりに首を傾げる傑だったが、いまだ流れる動画と、今の状況から全てを察し、途端にニヤニヤし始める。



「なるほど。兎野はマッサージを性的行為だと思っているのか」

「マッサージ!?」



 イヤホンを外して改めて聞いてみると、確かにコミカルな効果音も鳴っており、性的なコンテンツではないことは明らかだった。



 「なーんだ。てへ。勘違いしちゃいましたー」。そんな風にごまかせられたらどれほど楽だったか。「ざまぁ合戦」はそんなに甘くない。一度追い込まれたら、決して抜け出すことは叶わないのである。



「つまり兎野は俺がAVを見てたと勘違いしてたわけだな」

「いえ……それは……その……」


「確かに俺とお前のところには距離があった。勘違いしてもおかしくないが……普通。そんなことは思わない。よほど性に関心がなければな」

「ち……ちがっ……」


「いやいや否定しなくていい。別に悪いことじゃないさ。普通の人より性に興味があるくらい。でも……勘違いしたなら謝らないとな」

「ご……めんな……」


「何に対して謝ってるんだ? 反省すべき点も言うのが意味のある謝罪ってもんだろ」

「う……うぅ……」


「ほら、言えよ」

「わ……わたしは……普通の人よりえっちなことに関心があるせいでっ……丹土先輩たちに迷惑をかけましたぁっ」


「はい、録音完了。次勘違いしたら校内放送で流すから覚悟しておけよ」

「ぅ……ぁ……」



「ざまぁ」



『ざまぁポイント+1』



「あぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」



 羞恥に頬を染めながら崩れる聖来と、勝ち誇る傑。



 この後資料が全く進んでいないことが発覚し、大音量で謝罪データが流されざまぁポイントが追加されるのは、また別の話。




ざまぁポイント累計


丹土傑  11

兎野聖来 12

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