僕は幼馴染みの家に久々に上がる。
「ハァ、ハァ、何とか..着いた..。」
僕は愛菜をおんぶして男にとっては地獄のような数分を乗り切り、何とか愛菜の家にたどり着いた。
(長かった。この背中の物は確かに魅力的で好きだけどこういう場面では、唯の凶器になる。これを知った僕はまた少し賢くなった。)
とこの苦行で得られた教訓は、触れるのではない欲しい物は触れない方が良いということだ。
「どうでもいっか..。それより..。」
口に出すことで無理に思考を正常に戻し、息を整える。
そして荒い息が収まると、背中からは今もスゥ、スゥと可愛らしい寝息が聞こえて来る。
大人しくなった我儘お嬢様を僕は、軽く後ろ目に流しながらピンポンを押した。
暫くすると、インターホンから声が聞こえてきた。
「はい。緑川です。」
「僕です..紅です..。すいません香織さん..こんな時間に..。」
「あら〜、紅くんどうしたの!?こんな時間に珍しいじゃない?ここ1年紅君がこっちの家に来るなんて無かったから私驚いちゃった。でも本当にどうしたの?」
「愛菜が..寝ちゃって僕が..運んで来ました..。できれば早くベットに..寝かしたいので..入れてもらって良いですか..?」
「愛菜ったら買い物の途中で寝ちゃうなんて、よっぽど疲れてたのね?分かったわ。今開けるわね。」
インターホンが切れてすぐに、ガチャッと、ドアが開き香織さんが出てきた。
久々に会ったけど、全く容姿に変化がないのは相変わらずだ。愛菜よりもたわわに実った胸は、毎日愛菜の巨乳を見ている僕でも圧倒される。しかも愛菜とは違う大人女性の蠱惑的な顔立ちはこの年でまだ三十代の女性とは思えない。
蠱惑的は歳上というイメージがあるが香織さんには当てはまらない。何故なら、彼女は未だに中身は少女なのだ。
だから、その少女のような振る舞いが合わさることで実年齢と容姿が一致する人はほとんどいないだろう。
今も手をブンブンと振りながら、僕を玄関を開けて待っていた。その際、ブルンっブルンっと胸が振動しているので目に猛毒だ。
僕はスッと目を逸らしつつ、愛菜をおんぶしたまま玄関に入った。
「この子ったら、本当に幸せそうに寝てるわね?最近は少し元気がなかったけど今日家に帰ってきてから、急に元気になってたのよ。紅君何か知らない?」
「いえ..特には..。」
愛菜にとっては今日は、本当に最悪の一日な筈だ。何せ昔から好きな男に振られて、絶縁までしたのだ。精神的なダメージは半端ないだろう。
愛菜が元気そうに見えるのは、多分空元気だ。昔から親同士の交流があったので、蒼太と絶縁したという内容を香織さんき悟らせたくなかったのかもしれない。
「ふふっ、まぁ予想はついてるんだけどね。」
と香織さんは、微笑ましいモノを見るように目尻を下げていた。僕は何が分かっているのか分からないが多分違うと思うので、愛菜を僕は彼女の部屋に運ぶことにした。
「..とりあえず..運びますね..。」
そう一言を残して僕は、トンットンッと階段を登り僕は二階にある、愛菜の部屋に向かった。
久々に彼女の部屋に入るので少し緊張するがうだうだしても何も始まらないと自分に言い聞かせて、ドアを開けた。
まぁ、予想はしていたけど最後に入った一年前とはほとんど変化は無く綺麗な部屋だった。
と言ってもベットの上は、僕があげたぬいぐるみが所狭しと置いてあるのでそこは綺麗とは言い難い。しかも、何故かいつも蒼太のぬいぐるみは置かれていないので僕はこの部屋に入るたび彼女に渡したぬいぐるみ達全員と再会をするので何とも言えない気持ちになる。
プレゼントを使ってくれているのは嬉しいんだけど、蒼太のとかはクローゼットの中に綺麗に仕舞われているので、僕のだけ置かれていると僕のプレゼントは汚れてもいいのか?と思ってしまう。
女の子は好きな人の物は大切に保管するという説を蒼太に聞いてからは、これを見る度に愛菜は蒼太のことが好きなんだと再認識させられる。だから嬉しさと男にとして魅力的に写っていない惨めさを感じるので何とも言えない気持ちになるのでこの部屋は苦手だ。
できれば長くいたくはないので僕は、愛菜をぬいぐるみの海に沈めて布団を掛けてやった。
僕が部屋を出る直前に
「えへへ、絶対このチャンスを逃しませんからね〜。」
と何やら、顔を幸せそうな顔にして寝言を呟いていた。
それは僕のセリフだよ。と思いつつ階段を降りて香織さんに挨拶をしてから緑川家を出た。
蒼太が愛菜を振った今、僕はこれからは遠慮をしないと決意を固めて家に向かって走り出した。
昨日引越しをしました。
初めての一人暮らしで、ワクワクするかなと思っていたんですけど以外と孤独感がありますね笑。
早めに慣れて行きたいと思います。
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