いつものルーティンともう一人の幼馴染み
放課後、特に何事もなく授業の方は終わった。愛菜は今日は友人達と帰るらしいので、僕は一人でいつもの屋上に向かう。
この学校は屋上が珍しく解放されているタイプでベンチや花壇とかがあり結構華やかな場所だ。そして僕はそれらを無視して、屋上に設置されている倉庫に向かう。その下に隠して置いた寝袋を取り出し、人目に付かないようにするため、端の方に敷いて寝転ぶ。
これが僕の放課後ルーティンだ。放課後に屋上に来るような人は告白をする時くらいなので、先生が来る心配もない場所だ。そのため日向ぼっこをしながら寝るのにはここが最適なのだ。たまに清掃員の人が来るけど黙っててやると言ってくれたのでチクられる心配も無い。
今日は特に誰かが呼び出されたとか、ラブレターもらったとか聞いてないからゆっくり寝れるだろう。そう思い僕は、瞼を閉じた。
しばらくすると、屋上のドアが開いた音が聞こえた。大方清掃員の人だろう。そう思い僕は、特に気にすることなく目を閉じていた。
だが、清掃員の人は来て直ぐにホウキでゴミを掃いているのだけど今日はなぜか聞こえない。
(新しい清掃員さんかな?ならバレたらあの清掃員さんみたいな対応をしてくれるとも限らないし、一応起きて見てみようかな)
そう考えたら、即実行僕は身体を起こし中腰の状態で、物陰に隠れながら周囲を観察する。
そうすると、ドアのすぐ側に蒼太がいた。僕はどうしてこんな場所にって思いながら、より慎重に隠れながら様子を窺った。
一分もかからずドアが開き、見知らぬ女性がやって来た。
(ああ、なるほどね)
僕は、その光景を見ただけで全てを察した。どうやら蒼太は告白されるようだ。やはり、イケメンな蒼太の人気はかなり高い。スポーツ万能、成績優秀、容姿端麗と全てが揃っているのだ。そうなれば必然的に告白する女子も多いだろう。
どうやら今回は相手が、放課後に教室に来て呼んだんだろう。僕はこの後どうなるのか気になるので、もうしばらく観察することにした。
「先輩、ずっと前から好きでした!私と付き合って下さい!」
「……あぁ、その告白してくれたのはすげぇ嬉しい、でも悪いな。俺はお前の気持ちに応えられない」
「何でですか!?私を異性として見たことがないからですか!?それとも他の女の子からも告白されて困ってらとかですか?……」
「いや、そうじゃない。俺さ先週から橙河と付き合ってるんだ。だから彼女がいる俺はお前の気持ちに応えられない。すまん」
蒼太は本当に申し訳ないという顔して、告白して来た女の子に頭を下げた。
「分かりました……すいません。私そんなことになってるって知らなくて、この度はわざわざ来て頂いてありがとうございました」
そう言って女の子は泣きそうな顔をしながらドアを開けて階段を走って降りていった。
蒼太はその子の背中を見ながら、何処か羨ましそうな顔をしていた。が、僕はそんなことより気になることがある
(彼女がいるってどういうこと!?僕全く知らないんだけど!先週からなら仕方ないのかな?なら、愛菜に絶縁宣言したのは、彼女さんに愛菜と男女の関係じゃないことをハッキリさせるため…でも、それなら…あぁでも女の子って疑い深いから…あぁもう、分からない)
僕は蒼太ではないので考えていることなんて分からない。でも彼が愛菜に絶縁宣言したのは嫌いになったからというわけではなさそうだ。僕は未だに物陰から様子を窺いながらそう思うのだった。
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