傷心の幼馴染みとスイーツを食べる。
「ねぇ..少し行きたい場所があるから..寄っていい?」
「良いけど、どこ行くんですか?」
「そこのカフェ..。」
と僕は自分の中の予定通りカフェに向かっていた。
「ここって、私が前行きたいって言ってた場所ですよね?
憶えてたんですか?」
「うん..ここの限定スイーツは今日が..最後だから行こうと思って。」
「本当だ!今日が最終日って書いてます。グットタイミングですね。」
「入ろっか..。」
「はい。」
目的のカフェに着いた僕達は、カランカランと鈴の音を鳴らすドアを開けて店内に入った。初めてカフェに入ったけど何故か実家のような安心感を感じた。この落ち着いた雰囲気がそう感じさせているのかな?
「いらっしゃいませ〜2名様で宜しいですか?」
「はい。」
「ではあちらのテーブル席にお願いします。」
と愛想の良いおじさんに連れられカフェの隅のテーブル席に座った。
「こちらがメニューになります。お決まりになったらお呼び下さい。」
と、店員の上等文句を言ったおじさんはキッチンの方に戻って行った。
「何頼もっか..?」
「私はせっかくだし今日限定のスイーツが食べたいですね。紅も同じのにしますか?」
「うーん..同じの頼むのは何か違う気がする..あっ.このデラックスパフェにする..。」
「じゃあ、決まりですね!すいません注文いいですか?」
「はい、少々お待ち下さい。..
お待たせしました。ご注文の方をお伺いします。」
「この期間限定イチゴのタルトとこのデラックスパフェを一つお願いします。」
「はい。ではご注文は以上でよろしいですか?」
「すいません..。僕はカフェオレ一つ..愛菜は何がいい?」
「私はアイスティーを一つお願いします。」
「では、そちらのメニューの方を下げさしていただきますね。商品を出すまで少々お待ち下さい。」
おじさんはメニューを回収をして戻ったのを確認して、僕は愛菜と話すことにした。
「良かったね..。まだ残ってて。」
「本当ですよ、あれが最後の一つとかだったりしませんかね?」
「そうだったら..ラッキーだね..。」
「でも、紅がここに行こうって言うなんて珍しいですね?マイペースの塊みたいな人なのに。今日なんて家にすぐ帰ったかと私思ってましたよ。」
「そうかな..?普段一緒にいるのは朝とかだから..そう感じるんじゃない。僕だってこの時間帯なら..割と人のことを気に掛けるよ。朝は眠くて..頭が動いてないだけでさ..。」
「本当ですか〜?この間なんて蒼太が課題を忘れたって騒いでたの無視してたじゃないですか。あれも今日と同じ時間じでしたよね?」
「課題は自分で..しないと意味ないから..わざと無視してただけ..。」
あの時は確かにしつこく写させてくれと頼まれたが、その時すでに僕は課題のノートを出していたからいくら頼まれても貸せなかったのだ。それに最近蒼太とは、そんなに話していなかったから頼まれるとも思っていなかったのもあるけど。
「それもそうですね。あっ料理が来ましたよ。」
「お待たせしました。こちらがイチゴのタルトとデラックスパフェです。」
話の区切りが良いところを見計らっておじさんが、料理を出してくれた。ただイチゴのタルトだからそんなに大きくないと思ってたらかなり大きくて、女の子の愛菜が全部食べるのは無理そう、でも僕のパフェもそれと同じくらいの量があるからイチゴのタルトも食べると僕は今日の夕食は入らないかな。
「いただきます〜!」
「いただきます..。」
合掌をして各々のスイーツに手を出した。
パフェもイチゴメインで構成されており、クリームもイチゴが練りこんであって、イチゴの酸味と甘味を同時に味わうことができるのでこれなら飽きることなく食べれそうだ。
「美味しいそうに食べますね?」
「うん..思ったよりサッパリしてて..食べやすいよこれ..。」
「私にも一口頂けませんか?」
と愛菜は僕に向かって小さな口を開け僕が食べさせるのを待っている。うーん?この時期にア〜ンをしていいのだろうか。コロナが蔓延している中で粘膜摂取は危なくないだろうか。でも僕が感染してたらもうアウトだしいいかと、結論づけた僕はア〜ンをすることにした。パフェをスプーンに少しだけ乗せて食べさせてやる。
「どう..?」
「これもすごく美味しいですね!こっちのタルトも美味しいですよ?紅も食べますか?」
「なら食べようかな..。」
タルトを食べるため僕は、カラトリーからフォークを取り出そうとすると愛菜が止めてきた。
「私が食べさせてあげますから、出さなくていいですよ。
ほら、ア〜ン。」
まぁ、僕が食べさせて時点でこうなることを想定してたけど
やはり実際に自分がされるとなると少し照れる。なら先程のやりとりでそう思えと言われるかもしれないが、さっきはコロナさんのせいでその事を考えていなかったから仕方がない。
僕が少し迷っている間も愛菜はフォークを差し出してきているので、意を決して食べた。
「美味い.!」
「ですよね〜!?ほらまだ残ってるからドンドン食べて下さい。」
と次々に僕はタルトを食べさせられた。一口食べて余りの美味しさに驚愕した僕はア〜ンをする羞恥心を何処かに捨てて黙々と食べるのだった。
この時、愛菜はは流石に何回もするのは恥ずかしいかったのか耳を赤く染めていたのを僕は気づいていたけど知らないフリをした。
だって蒼太のことを忘れようと、僕にこんな事をして気を紛らわそうとしているのだ。指摘すると蒼太のことを思い出してしまいそうだしやめておこう。
ただ、タルトがなくなった後は僕が逆にずっとア〜ンをしてあげた。この時は顔が赤くなっているのを指摘してやったら怒ったフリをしてきたのは少し可愛かった。
そうやって僕達はカフェで楽しい時間を過ごすのだった。
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