とある幼馴染の独り言
「なぁ、お前何してんの?」
「ブラジルの音を聴いてる…」
そいつと出会ったのは、俺が住んでいた町を離れ新しい町に引っ越してすぐのことだった。俺が引っ越しをした理由は前の学校で俺が虐められて不登校になり親が俺のことを気遣って他の町に引っ越してくれたからだ。俺の家族が引っ越しの荷解きをしている間暇になり俺は早速この町を探索してくると親に言い外に出た。
やはり、自分が住んでいた町に比べて緑が少なく見渡す限り新築のマンションや一軒家、アパートばかりで俺が住んでいた田舎とあまりにかけ離れていて、カルチャーショックみたいな衝撃を受けたのは今でも記憶に残っている。そして俺は公園を見つけて真っ先に、そこに走って行った。
そして、ここで俺は生涯の親友であり幼馴染である 赤木 紅に出会った。初めてあいつを見た時俺は、人が倒れていると思って慌てて紅の元に向かったが紅が俺を注意してきた。
「し…静かに」
と真剣な顔したまま紅は地面に耳をくっ付けて寝転んでいた。学校では殆ど人に話しかけれなかった俺だけどこの時は不思議とすんなり紅に質問をすることが出来た
「なぁお前、何しんての?」
「ブラジルの音を聴いてる…」
「へぇ〜、どんな音なんだ?」
「車の走る音が…聴こえる」
「それ、絶対聴こえてないやつ!」
「後…子供の声が聴こえる…」
「なんて言ってんだよ」
「「それ、絶対聴こえてないないやつ!」…って言ってる」
「なぁ、それ絶対聞こえてないないよな!その子供の声って完璧に俺のだよな!」
「う〜ん…85点中々筋がいいよ…君」
「なんで俺急に知らないやつからツッコミの採点されてんの!」
「君…僕と一緒にアイドルを目指さないか?」
「プロデューサーがアイドルを勧誘する時に使うようなセリフ選んでだよ!てか、そこはお笑い芸人だろ!」
これが俺と紅との最初の会話、今振り返ってみても中々に面白い。この時俺は久々に同年代の子と話すことが出来てテンションが上がりついアニメの話をしてしまった
「なあ、お前さアニメは好きか?」
「もちろん…」
「じゃあ、この間マキ見てるか?あれめっちゃ面白くないか!」
「確かに…作画がとても綺麗で…ワクワクする場面が…多かったよね」
「それになんて言ったて」
「「オープニングがカッコイイ!」」
驚いた、てっきりこんなアニメの話なんて興味がなくて適当に受け流されてしまうかと思っていたのだ。それがまた嬉しくってついまた余計なことを言ってしまった。
「いやぁ、なんていうかお前とは馬があうなぁ。初めて会ったのに全然話すの苦じゃないし、引っ越ししてきて早々にこれは早速友達一人が一人できるなんてラッキーだぜ!」
「君…今日引っ越してきたの?」
「おうよ、俺は青井 蒼太小学二年生だ。よろしくな」
「同い年じゃん…僕は赤木 紅君と同じ二年生…よろしく」
出会ってすぐのやつにいきなり友人認定するなんて気持ち悪いよな、やっちまったと俺は思っていたが、紅はそんなこと全く気にすることなく話してくれた。自己紹介をした俺たちはアニメ談義に花を咲かせ、ますます距離を縮めて行った。帰る頃には俺たちは心の友よ状態になっていた。
前の学校ではいじめられていたのでこんな風に楽しく話すこともできなかったから家族以外でこんなに親しく会話できる存在は本当に大きかった。
正直今でも、俺は紅に感謝している。あの時俺と出会ってくれたからこうして人との繋がりをきちんと持てるようになったのだ。そのおかげで沢山の友人や彼女まで持つことができたのだ、たかだか一人の友人程度で大袈裟なと思うかもしれないだけどあの時、俺は今まで塞がっていた世界が確実に広がった。
だから、紅の幼馴染である愛菜が紅ことが好きだと知った日俺は思ったあいつに恩返しをするチャンスだと。あいつはうまく隠していると思っているが、長年一緒にいる親友の俺からしたら愛菜のことが好きなのはバレバレだった。
だから、俺は恋愛相談をされるとモテるようになるからと嘘をついてまで協力をした。俺はどんな手を使ってでも愛菜達をくっ付けようと思っていた。
だけど、愛菜に絶縁宣言をしてくれと頼まれてやったあの日以降俺は、胸になんとも言えない穴が空いているような気持ちになった。
だって、いつも一緒にいた親友が次の朝から居ないんだからその穴はより大きくなり、俺をどんどん蝕んでいった。俺の最愛の彼女といる時でさえこの虚無感は消えない。
俺は自分の苦痛よりも紅の幸せを願っているそれは本当だ、だけど俺は身勝手だから思ってしまう。
あんな酷いことを例え演技でもしてしまう俺でもまた前のような関係に戻りたい、この苦痛から解放されたいと。
そんな矛盾を抱えたまま、俺は今日も学校に行く。その足取りは昨日よりも重く感じられた。
重っ!
ホモかよ!そんなことはないです。彼はノーマルです。
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