屋上に向かうと幼馴染みが幼馴染みに絶縁宣言をしていた。
新作です。
過去作は上手く書けないのでとりあえずこちらを書きます。でも完結までするつもりなので長い目で見てください。
放課後いつも通り屋上の寝床に向かった俺はドアを開けると、男女が1名ずついたので告白かと思いドアをゆっくり閉めて様子を伺った。
「俺とお前は絶縁だ!もう幼馴染みじゃねぇ唯の他人だ。二度と俺の前に現れるな!」
「嫌だ!!嫌だ!蒼太はずっと私の側にいるんです。こんなこと絶対に言いません。そうです、これはドッキリなんですよね?なら趣味が悪いです誰か周りにいるんでしょう。早く出てきて下さい!」
「いるわけねえだろ!ここには俺とお前しかいない当然カメラも仕掛けてねぇ。これは俺の本心だ!俺は愛菜に毎日振るわれる暴力や罵倒に俺は耐えきれない!だからもう離れてくれこれ以上俺の側に寄るな!じゃあな!」
そう言って男の方は俺のいるドアに向かってきた。俺はやばいと本能的に反射で隠れた。何よりこの現場に居たら一番めんどくさいのは俺なのである。
ガラッとドアを開けて足早く外に向かった男の背を見届けた俺はハァと安堵の息を漏らした。
(大変だ..。まさか..蒼太が愛菜に絶縁宣言するなんて..二人とも俺の幼馴染みなのに..明日からどう接しようかな...。)
と明日からの学校生活を想像して黄昏ていたが、今はそんなことより愛菜を励まさないといけない、最近呼んだ小説ではこの後女の方は怒りに狂って身を滅ぼす。流石にそれは止めなくてはいけない。
だって僕 赤木 紅は昔から幼馴染みの緑川 愛菜のことが好きだから。
「大丈夫?どうして泣いてるの愛菜..。」
「ひっぐ、、さっき蒼太に絶交だっていゎれました。」
「そうなんだ..。とりあえずこれ使って..。」
と言って俺はハンカチをとりあえず涙を拭く為に渡した。
正直使う機会はないからそれなり綺麗だから大丈夫だと思う。ていうかこんな恋愛マンガみたいに渡す機会ってあるんだなぁ〜。ハッ!思考が脇道にそれだしてしまった。僕はハンカチで涙を拭う愛菜の様子を伺うと涙も嗚咽も止まり会話ができそうなので今一ハッキリしなかった絶交の理由を聞くことにした。
「ねぇ..どうして絶交したの?」
「私が毎日だらしない所を指摘していたのが罵倒に聞こえてて、いつも私が蒼太を軽く叩いたのがものすごく痛かったらしくてそれがもう耐えられなくなったって。」
うーん?先程も聞いた軽く聞こえた内容と全く同じ内容だけど正直絶交するほどだろうか。愛菜の注意もそんなに多くないし、日に一回あるかないかだ。それに彼女が叩いていた音とか、勢い的にそんなに痛くないだろう、それを痛いという蒼太はどれだけ身体が貧弱なんだ。
この絶交正直、非があるのは明らかに蒼太じゃないか。
愛菜が面倒を見ていたのは、多分蒼太の親から頼まれていたのもあるし、おそらく愛菜は蒼太が好きだったからやっていたお節介だ。
しかも昔蒼太は、愛菜のことが好きで彼女がかなりモテてて嫉妬した彼は
「愛菜は俺の嫁だ!だからお前ら手を出すな。」
とか言って中学校の時は、僕以外の男子を威嚇していた筈だ。その時愛菜は、頬赤く染めていたので多分そのあたりから蒼太のことが好きだったと俺は思っている。
そんな過去があるのに高校に入って一年も経たない内に絶交とか言う頭の神経はおかし過ぎる。どこか頭をぶつけたのだろうか?正直本気で心配になる。
とはいえ、流石に女の子を泣かせるのは幻滅した。とりあえずもう家には上げないようにしよう。
「何か..。あいつの方が悪いね..。」
「ううん、私が蒼太が嫌がっているのに気づかなかったのがいけないんです!だから蒼太は悪くないですよ。」
愛菜は蒼太を庇うような弁明を作り笑いを浮かべながら、言ってきた。その姿が痛々しく僕は直視出来なかったため目を逸らした。初めてこんな落ち込んでいる愛菜を見た僕はどう励まそうかなと思考を巡らし、閃いた。
そういえば、今日は帰り道にできた新しいカフェが特別なデザートを出している日だ。前愛菜が食べてみたいとか言っていた気がする。
「とりあえず..今日は帰ろう..。」
「はい。何かすいません、紅に変なとこ見せちゃって。」
そう言って僕たちは教室に戻り荷物を持って帰ることにした。今日はゆっくり屋上で寝る予定だったのにこんな大波乱があるとはいつ何が起こるか分からないな。
先に靴を履き替え玄関で、愛菜を待っているとコツコツと階段を降りる音が聞こえてきた。来たかなそう思い階段の方に目をやると、可愛い女の幼馴染みが俺のすぐ側にいた。
「ごめん、待ちました?」
「別に...。天井のシミを一つ一つ数えてたから..そんな待ってないよ..。」
「それ結構待ってやるつじゃないですか!?」
「千はいったかな..。」
「予想以上に早くから待ってましたね!そんなに長い間待ってたならスマホ弄ってて良かったのに。」
「別にスマホは..むしゃくしゃして海に捨てただけ..。」
「それどっかで聞いたことあるやつですね!?」
「思春期の男子なら..よくある..。」
「思春期の男の子全員そうだったら、砂浜一面スマホだらけですよ!」
と僕のボケに彼女は勢いよくツッコミを入れた。
少しは元気になったようで安心だ。だがまだいつもより声の声量が小さいので本調子ではないだろう。
「ほら..行くよ。」
「はい!ちょっと待ってて下さい靴取ってきますから。」
そう言って離れて行った愛菜の背を見ながら僕は、カフェの限定スイーツって何だったけ?と呑気なことを考えていた。
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