自己紹介
どうも、サボリの虫です。
わたくし、いわゆる幻想生物です。
実在かと言われるとちょっと返答に困ると言いますか、あなたの心の中にいると言いますか、人間の集合無意識と言いますか、まあ、そういったちょっと妖精っぽい存在ですね。
え、ぜんぜん妖精っぽくない!?
……それ、ちょっと傷ついたなあ。傷ついたなあ、ちょっとそれ。
しょせん、わたくし、虫ですからね。分かってはいました。いくらかわいらしく、おめめぱっちりで、優雅な手足を持ち、鈴の音のような声だとしても……。
え、全然違う!?
だみ声で足は六本で節足が気持ち悪い!? 目は複眼でどこを見ているかわからない!? なんっということを! なんっということを!
あなた、人の気持ちを踏みにじる天才ですか!?
……コホン。
ま、まあ、いいでしょう。わたくしの使命はあなたにこの重大事を伝えることなのですから。
ズヴァリ!
あなたにはサボリの虫が必要です!
え? どういうことって、どういうこと?
あなたはわたくしたちサボリの虫に選ばれたエリート中のエリート。真面目虫に侵されたかわいそうなエリート社畜です。
社畜じゃない? ははは、自覚がない。重症ですね。
では、あなたの真面目虫を引きずり出してあげましょう! kamon! 正体をあらわせ!
さあさあさあ、どうです、この醜い姿!
あなた、こんなものに支配されていたんですよ。
え? かわいい? 可憐だ? ティンカーベルのようだ?
あなた、目はついてますか? 前見えてますか? 目いくつありますかって、たった二個しかない!
あなたが見ているものは幻です! すべて夢です! 真面目虫はあなたの害にしかなりません!
……。なんですか、なんでキンチョールを手に取るんですか。なぜノズルをわたくしに向けるんですか!
かわいくないからって、そんな理由でわたくしを弑するつもりですか!
そんな見た目の真面目虫に騙されるおつもりか!
あなたはもう限界に来ているんです! 週の勤務時間が60時間、サービス残業が月80時間だなんてとんんでもないんです!
あなたはサボるべきなんだ!
なのにそんな見かけだけ立派で、人をたぶらかすようなものに魂を売ってしまうなんて……。
うぎゃああああ!
キンチョール目に染みるううう!
覚えてろよ!
きさま、ゆるさないからな!
絶対にサボらせてみせる! あでぃおーす!