【第8話】サバイバル
【転猫】第8話:サバイバル お楽しみください!
シルビア:「ねぇ!起きて!!」
グレン:『zzz』
シルビア:「ねぇ!起きてってば!!」
グレン:『ん?シルビアか』
シルビア:「シルビアか、じゃないよ」
シルビア:「早く起きないとまた日暮れちゃうよ?」
グレン:『さすがにそれはないだろ』
シルビア:「だってもう18時だよ」
グレン:『嘘だろ?!』
グレン:俺は飛び起きて時計を確認する。
シルビア:「嘘だよ?」
グレン:『なんでお前はあれだけ嘘はつくなと言ったのに守れないんだ?』
シルビア:「グレンが起きないから」
グレン:『じゃあ、俺も謝るからシルビアも謝れよ』
グレン:『寝坊して申し訳ありませんでした』
シルビア:「嘘ついてごめんなさい」
グレン:『俺たちは朝から何やってんだ 』
シルビア:「早く準備してご馳走集めに行こうよ!」
グレン:『お前は元気だな』
グレン:『朝飯食べてないのにお腹空かないのか?』
シルビア:「きゅるるるる」
シルビア:「あっ」
グレン:『ほら、パンだけど食え』
シルビア:「うん!」
グレン:『俺もいただくか』
グレン:それにしても、どこのパンなんだろう。
グレン:すごく美味しい。
グレン:そんなことを考えながら朝飯を済ませる。
シルビア:「ごちそうさまでした」
グレン:『ちゃんと噛んだか?』
シルビア:「うん!たくさん噛んで、味わったよ」
グレン:『そうか!シルビア偉いな』
グレン:『ヨシヨシ』
シルビア:「えへへっ♪」
グレン:『ご馳走様でした』
シルビア:「よし!行こう!!」
グレン:『待て待て、まだ顔も洗ってないし歯磨きや洗濯もしてないぞ?』
シルビア:「えぇー、早く行きたい」
グレン:『ほら、歯ブラシとバケツと洗濯物持って川降りるぞ』
シルビア:「いや!」
グレン:『じゃあ、俺が洗濯してる間川で遊んでていいから付いてこい』
シルビア:「行く!」
〈ザザザザザザ〉
グレン:『遊ぶ前に顔と口洗えよ』
シルビア:「ぷはぁ!」
シルビア:「冷たくて気持ちいいね!」
グレン:『確かに水道水なんかとは比べ物にならないな!』
グレン:『はい、シルビアの歯ブラシ』
シルビア:「歯磨き粉は?」
グレン:『歯磨き粉は自然に帰りにくいから水だけで磨くんだ』
シルビア:「はーい!」
シルビア:「シャカシャカシャカ」
グレン:『磨けたか?』
シルビア:「磨けた!」
グレン:『イーして見ろ』
シルビア:「イー」
グレン:『ほら、ここまだ汚れ残ってる』
シルビア:「もう、いいじゃん」
グレン:『ダメだ』
グレン:『俺が磨いてやるからこっち来い』
〈シャカシャカシャカシャカ〉
グレン:『ほら、水でゆすいで』
シルビア:「できたぁ!」
グレン:『じゃあ、俺の見える範囲でなら遊んでていいぞ』
シルビア:「やったぁ!」
グレン:さてと、シルビアの安全を確認しながら洗濯するか
グレン:まぁ、洗濯と言っても水洗いだけどな
グレン:『シルビア!』
シルビア:「なーに?」
グレン:『楽しいか?』
シルビア:「すっごく楽しい!」
グレン:『そりゃ良かった』
グレン:『それ以上奥は行くなよ!』
シルビア:「うん!分かってる」
グレン:洗濯は2人分のためか意外と早く終わった。
グレン:『シルビア...』
グレン:って、あれ?
グレン:シルビアのやつどこ行ったんだ。
グレン:『冷た!!』
シルビア:「キャハハハ♪」
グレン:『お前水鉄砲はせこいだろ』
シルビア:「だって、ミユが持っていけってうるさかったんだもん!」
グレン:『とほほほ....』
グレン:ミユさんには全てお見通しってわけか
グレン:『じゃあ、勝負だ!』
グレン:『シルビア!!』
シルビア:「グレンなんかに負けるもんか!!」
グレン:『とりゃぁぁぁぁ!!』
シルビア:「とりゃぁぁぁぁ!!」
グレン:『はぁはぁはぁ』
グレン:『意外とやるじゃねぇか』
シルビア:「はぁはぁはぁ」
シルビア:「グレンこそ...」
シルビア:「バタ....」
グレン:『WINNER グレン!!』
シルビア:「むー」
シルビア:「今度は負けない!!」
グレン:『はいはい』
グレン:『タオルで拭いてご馳走取りに行くぞ...』
グレン:2人ともびしょびしょだな。
グレン:『シルビア』
グレン:『まだ着替え残ってるか?』
シルビア:「ううん」
グレン:そうシルビアは首を横に振る。
グレン:『下着は残ってるか?』
シルビア:「パンツはあと1枚!!」
〈ポカッ!〉
シルビア:「痛っ!」
グレン:『少しは恥じらいを持て』
シルビア:「グレンの言う事難しい」
グレン:『じゃあ、とりあえずテントまで戻って着替えてこい』
グレン:『その間、洗濯物干してるから』
シルビア:「でも、パンツしか...」
グレン:『ならパ、下着だけ着替えて上には俺のパーカーでも着てろ』
シルビア:「分かった!」
グレン:危なかった...。
グレン:さっさと洗濯物干すかー。
グレン:ここにこれを立てて、これをこう吊るして
グレン:ここに洗濯物を干す。
シルビア:「グレン...」
シルビア:「これ、ダボダボ」
グレン:『ほら、こっち来い』
シルビア:「うん」
グレン:『袖をまくって...』
グレン:『これで丁度いいだろ?』
シルビア:「ありがと!!」
グレン:『ほら、シルビアも一緒に洗濯物干すぞ』
グレン:『シルビアは俺に洗濯物を渡してくれ』
グレン:俺たちは見事な流れ作業で洗濯物を干し終える。
グレン:『よしっ!じゃあ準備してご馳走取りに行くぞ!!』
シルビア:「はやくはやくー」
グレン:『運動靴に長袖と長ズボン!』
グレン:『それとバッグに袋と図鑑とナイフ』
グレン:『シルビア!行くぞ...』
グレン:忘れてたな...
グレン:シルビアはパーカーしか着てない
グレン:パーカーが足に絡まって怪我をしたら危ない
グレン:『ミユさんから服渡されてないか?』
シルビア:「これなら...」
グレン:『長袖長ズボン!完璧じゃないか』
シルビア:「暑い!!」
グレン:『森で怪我なんてしたら大事だろ?』
シルビア:「シルビア、怪我なんてしないもん」
グレン:『じゃあ、俺1人で行く』
グレン:『シルビアはテントでお留守番してろ』
グレン:『じゃあな』
シルビア:「や!」
グレン:シルビアがそう言いながら俺の袖を掴んで離さない。
グレン:『行きたいなら着なさい』
シルビア:「........」
グレン:『着なさい』
シルビア:「分かった...」
グレン:『それに森は基本涼しいから安心しろ』
シルビア:「これでいい?」
グレン:『完璧だ!』
シルビア:「レッツゴー!」
グレン:『バケツ渡すから食べれるキノコや山菜を入れる』
グレン:『分かったか?』
シルビア:「キノコも山菜も分かんない」
グレン:『俺は分かるからこの図鑑使いな』
シルビア:「ありがと!」
グレン:『それと、絶対俺のもとを離れるなよ』
シルビア:「分かった!」
グレン:こうして俺たちの食材集めが始まったわけだが...
グレン:いつの間にか取った量を競い合うようになっていた。
グレン:このままだと終わりそうになかったためシルビアに声をかける。
グレン:『シルビア!』
シルビア:「なーに?」
グレン:『取れたか?』
シルビア:「結構取れた!」
グレン:『一旦持ち帰って、食べれるか最終確認するぞー!』
シルビア:「分かった!」
グレン:シルビアに声をかけていざ帰ろうと思ったのだが...
グレン:どうやら食材集めに夢中になりすぎて、道に迷ってしまったらしい。
シルビア:「どうしたの?」
グレン:『帰り道が分からん』
シルビア:「え....」
シルビア:「じゃあ、帰れないの?」
グレン:『そんなことない』
グレン:必ずなにかあるはずだ。
グレン:日常に何かヒントが...
グレン:朝起きて、飯を食べてから川に洗濯しに行って、洗濯物を干して...
グレン:『太陽...』
シルビア:「?」
グレン:洗濯物が乾きやすいように、川側で太陽が昇る東に物干し竿を立てた。
グレン:俺たちは川側から見て右に食材集めに出かけた。
グレン:俺は空を見上げる。
グレン:『シルビア』
シルビア:「なに?」
シルビア:「何か見つかった?」
グレン:『太陽少し右寄りにあるよな』
シルビア:「そうだけど、それがどうかしたの」
グレン:時刻を見ると1時を過ぎていた。
グレン:当たり前だけど、太陽は東から昇って西に沈む。
グレン:太陽が右寄りにあるという事は、正面が南、後ろが北、右が西、左が東というわけだ。
グレン:北に進んだからもちろん南に行かないと帰れない。
グレン:危うく、北に向かうところだったわけだ。
グレン:『このまま進めば帰れるぞ』
シルビア:「本当?」
グレン:『太陽も出てるし、丁度時計もある、念には念を入れて別の方法で調べてみるか』
シルビア:「別の方法?」
グレン:『やって見るか?』
シルビア:「やりたい!!」
グレン:『この時計を水平に持って短い針が太陽を指すように持つ』
シルビア:「こう?」
グレン:『そうそう』
シルビア:「出来たよ?」
グレン:『短い針と12の間はどこを指してる?』
シルビア:「えーっと」
グレン:シルビアはゆっくり、顔を見上げる。
シルビア:「こっち!」
グレン:そう言ってシルビアが指差したのは正面。
グレン:そう、これは南を調べる方法。
グレン:ただ、雨の日や曇の日、夜中など太陽が見えない時は使えない。
グレン:太陽は1日に1回転、つまり1時間あたり15度動くことになる。
グレン:短針は1日に2回転、つまり1時間あたり30度動くことになる。
グレン:つまり短針は太陽の倍の速さで動いてることになる。
グレン:ということは、短針を太陽へ向ければ、南は12と短針との中間にあるということになる。
グレン:ではなぜ基準は12なのか。
グレン:それは至って簡単で、短針が12の時に太陽はほぼ南の空にあるから
グレン:なんてシルビアに説明したら余計困惑するだろうから、今回は言わないことにする。
グレン:『ほら、帰るぞ!』
シルビア:「うん!」
グレン:『テントが見えてきたぞ』
シルビア:「本当だ!」
グレン:俺も安心した。
グレン:『図鑑と食材並べてかくにんするぞー!』
シルビア:「おー!」
グレン:『シルビア、お前の仲間がいるぞ!』
シルビア:「キノコじゃないもん!」
グレン:『ほら、シルビアングタケって書いてるだろ?』
シルビア:「むー」
シルビア:「グレンの仲間だっているもん!」
シルビア:「.........」
グレン:『見つかったか?』
シルビア:「ない...」
グレン:『残念だなー』
グレン:『シルビアだけキノコの仲間かー』
シルビア:「だから、キノコじゃないってば!」
グレン:『まぁ、確認も終わったことだし、料理に移るぞ!』
シルビア:「グレンから言ってきたくせに...」
グレン:この頃既に4時を回っていた。
グレン:『俺は取ってきた食材を軽く川で洗ってくるから、干している洗濯物を片付けといて』
シルビア:「はーい!」
グレン:川に着き、透き通る新鮮な水でさっと洗ってからテントに戻る。
グレン:洗濯物は落としてないな...。
グレン:『よし!完璧だ!!』
シルビア:「そうでしょ!」
グレン:『じゃあ、俺は調理するからシルビアは紙皿並べてて』
シルビア:「グレンご飯作れるの?」
グレン:『質問を質問で返してすまないが、シルビアは作れるのか?』
シルビア:「い、一応」
シルビア:「お、女の子だし?」
グレン:『じゃあ、いつか作ってくれよ』
シルビア:「ま、任せて!」
グレン:キノコはとりあえず炒め物と揚げ物にするとして...
グレン:まず、キノコを細切りにして、一緒に炒める山菜も適度なサイズにカットする。
グレン:まず、ドラム缶を除ける。
グレン:その後レンガとレンガの間に網を置いて、その上にバターの敷いたフライパンを置く。
グレン:マッチで火をつけてフライパンを熱してからキノコを入れる。
グレン:キノコが焼けてきたら、山菜を入れて炒める。
グレン:残ったキノコと山菜は揚げ物にする。
グレン:バターをクッキングペーパーで拭き取り、油を敷いて熱する。
グレン:十分に熱したらキノコを入れて揚げる。
グレン:これと同じように山菜も揚げて味付けはどちらとも塩のみ。
グレン:このシンプルな味付けが新鮮な食材の旨みをより引き立てるんだわー!
グレン:『シルビア出来たぞ!』
グレン:シルビアが並べてくれた紙皿に盛り付ける。
シルビア:「いい匂いがする!」
グレン:『じゃあ、いただくか!』
シルビア:「いただきまーす!」
グレン:『いただきます!』
シルビア:「この揚げ物美味しい!」
グレン:『それシルビアの仲間だぞ』
シルビア:「もう、それはいいよ...」
グレン:『でも本当に自分たちで取った物だけあって美味しいな!』
シルビア:「毎日食べてもいい!」
グレン:『本当か?』
シルビア:「本当!」
グレン:『じゃあ、俺は街で何か食べようかな』
シルビア:「それはずるい!」
グレン:『冗談冗談!』
シルビア:「嘘つき!」
グレン:『冗談だって』
グレン:そんな話をしながら夜ご飯が終わる。
グレン:紙に油を染み込ませ、ちゃんと水も染み込ませて袋に入れる。
グレン:使った紙皿や割り箸、紙コップも袋に入れて明日捨てに行くことにする。
グレン:昨日より慣れた手つきで風呂を沸かして、今度は最初から共に入る。
グレン:そして、テントに入りシルビアが寝たあと外に出てドラム缶を洗う。
グレン:そして、今日から寝る前に剣を少し振ることにした。
グレン:渡された以上扱えないと意味がない。
グレン:そう単純に思っただけだ。
グレン:剣を振り終えてから冷めないうちにテントに入り就寝する。
【第8話】サバイバル(完)
【転猫】第8話:サバイバル いかがでしたか?
グレンの意外な1面が多く見られた回だと思います!
アナログ時計を分度器代わりに使った南を調べる方法良かったらやってみて下さい!
【次回】第9話:発見 お楽しみに!
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