↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生珍獣王女奮闘記  作者: 千里
PR
19/66

No.19 ストーリー変化がもたらすモノ


私達は別段と目的もなく歩いて、私が何時も一人の時に隠れている大きな木々のある場所に来た。

いつもの様に座ろうとすると、サンエーリ様が地面にハンカチを広げて頬笑む。

イケメンは何処までもイケメンらしい。

私は慣れない事に、心臓をバクバクさせながらも有り難く座る事にした。

きっと拒否しても、NOと言われる気がするから。

ちょっとした隠れ場所は、木漏れ日が綺麗で花の香りもする。


「いい場所だな~」


「本当に。なんか時間の流れがゆっくりになったみたいだね」


「一人になりたい時は、ここに来てぼーっとするの。知っているのは、私の親友達だけだから」


秘密ですよ?と、おどけて言うと二人は頷いてくれる。

秘密ついでに、調度三人しかいないから聞いてみようかな。

二人は空を見上げている中で、私は二人に声をかける。


「あの、無くした指輪はどんなモノだったんですか?」


分からないで探すよりかは、モノを知ってて探す方が効率も倍率も上がる。

これは聞いてみないと、と思っていたから今が絶好のチャンスな訳で。

緩やかな時間を邪魔するのは忍びないけど。

私の質問に、二人は穏やかな顔から難しい表情を浮かべる。


「私の指輪は、サファイアの石がついているよ。石言葉は、慈愛・誠実。大きさは小指の爪より少し大きい程度かな」


「王子だけが、産まれ落ちるときに手に握り締めているんだけどな。だから大抵は、鎖に通して常に身に付けているんだ」


「その宝石は、伴侶になる人に贈るのが流儀でになっているんだよ」


鎖に通してて、落としたのに気がつかないのは…果てしなくゼロに近いと思う。

そうなると、やっぱり内部犯が濃厚になるんだよね。

伴侶に渡す事を考えても、怪しいのは絞られてくる。


「昨日は寝るまではあったんだよね?」


「間違いなく。着替えの時につけていたしね」


「そうですか…うーん…」


やっぱり、フィールが問題に関わっているのは間違いない。

そして、証拠はないけどローゼニアか母が関わっているのかもしれない。

今ここでは口に出来ないけど。

父様に相談だよね…。

後で相談しようと決めて、私は二人を見る。


「きっと何とかしてみせますから!」


今はこの言葉が精一杯。

私が出来る事はする、と決めて笑う。

死亡フラグは怖いけど、国を揺るがす事態も死亡フラグに繋がる可能性が高い。

なら、解決するしかない訳で。

結果、死ぬ気で頑張らないといけない。


「ありがとう。ティアが言うなら、きっと大丈夫だね」


「無理だけはすんなよ?」


「はい、私の出来る範囲内で頑張りますから」


安心してもらえるように笑っておく。

二人は目を細めて、微笑みを返してくれた。

その後は、色々なたわいない話をして笑い合った。

魔法が好きだとか、読書が好きとか。

乗馬が趣味で遠駆けに行ったりすると、なかなか帰ってこないとか。

私は乗馬が出来ないと話すと


「今度、私が乗せてあげるよ」


「ディルに言えば、馬くらい貸してくれるだろうしな」


二人は約束だ、と言って小指を差し出してきた。

狼狽えたのは私。

今時、子供でも約束に小指は使わないと思う。

でも、狼狽えてる私を無視して、二人は私の小指を絡ませて満足そうな顔をした。


それから少し話して、二人はお兄様に呼ばれているとかで部屋の前まで送ってくれた。

部屋と言っても、作業部屋の方だけど。


「また散歩しようね」


「楽しみにしてるぜ」


言葉を言い残して、サンエーリ様がチュッと頭にキスをして去っていった。

私はしばらく呆然とした後、羞恥心やら焦りやらでジタバタしたのは、言うまでもない。


気がすむまでジタバタしたら、ハーツとユーリが痛々しい目で見てきたのでスルーすると決めた。


「父様の所に行ってくるね」


「お一人で、ですか?」


ユーリの困惑気な顔に、私はヘラッと笑って答える。


「大丈夫。ずぐに戻って来るから」


「ワタシも一緒に行こうかしら?」


「すぐだから大丈夫だよ。何かあればクロに伝言頼むから」


ね、とお願いする様に言うと、渋々ながらハーツとユーリは了承してくれる。

本当に心配ばかりかけて申し訳ないけど、今はまだこの話は二人にも出来ない。

信頼していない訳じゃなく、知ることで危険があるかもしれないから。

父様に相談してからでも遅くないし、何より大切な親友を無用の危険にさらしたくない。


「じゃ、行ってくるね!」


パチッと指を鳴らすと風景が揺れて、すぐに父様の執務室の中に。

転移魔法って本当に便利。

ドアすら意味ないんだから。

父様もブロッサムさんも驚きはせず、すぐにソファーに案内される。

そして、すぐもう一人いた事に気がつく。

チェルシー・ブロッサム。

青空色の髪に白が混ざりつつある紳士。

と言っても、所属先は第二騎士団の現役団長という強者。

引退しろと息子に常々言われても、動じる気配のない。

細身で繊細そうな、ブロッサム宰相の父様と言うのだから驚きだけどね。


「ティアじゃないか!久々だが相変わらずじゃな!」


「チェルおじじ様こそ。元気そうで何よりです」


「ワシは元気が取り柄だ。して、ティアも氷上ウルフ関連かのう?」


「いえ、ちょっと違う話で…」


先生が天に召されてから、武術はおじじ様が率先して教えてくれた。

最初は戯れ程度だったのに、筋がいいと言い出して、暇を見つけては遊びと称して鍛練をつけてくれた。

多忙な十歳児には、たまに軽く死ねる程度の鍛練は、冒険者をする上で大いに役にたった。

今でも、たまにお茶をしたり鍛練したり、談笑したり。

信頼出来きる人物だ。


「どうしたんだい、ティア。何かつかめたのかい?」


父様は机からソファーに移動しつつ、私の言葉を待つ。


「いえ、証拠も根拠もないのですが…今回のフィールの事を考えると、内部犯だとおもうのですが」


「内部かい?なぜ、そう思うんだい?」


「フィールを知っていて使うのは、この国の人間でしかありません。それに、宝石は伴侶に贈るらしいですから、自ずと犯人は絞られます」


私が宣言すると、父様は眉間にシワを寄せて考え込む。

苦く呟いた言葉は、何とも言えないしぶい声だ。


「伴侶に贈る、か…。」


思いは同じなのか、父様は苦々しい表情のまま私の言葉を待つ。


「雲行きが怪しいのぅ」


「えぇ、証拠もありませんし…根拠だけでは…まだまだ探らないといけないんですけど」


チェルおじじ様がもらした声に、私はうーんと考え込んでしまう。

証拠を掴むにはどうしたらいいか。

もし、予想通りなら…どう釣れば引っ掛かるか?

チェルおじじ様は、なんとなく状況を察したらしく一緒に考えてくれる。

チェルおじじ様も、成り行きとは言え強いから心強い。


「なんにしても、証拠か必要だ。ティア、つかめるかい?」


「やれることはやります。まだ何をするば良いか検討つきませんけど」


「 そうですね。迂闊に動いては相手を刺激しかねませんし、もし私の想像通りなら…自ら動くのを待つのが確実かと」


ブロッサムさんも同じ想像をしたらしい。

口にしないのは、精霊がいる世界だから。

精霊使いは珍しくなったとはいえ、まだ存在しているから迂闊に言葉に出来ない。

防音や結界をしてても、絶対はないから。


「炙り出す方が早いな」


「でも、どうするんですか?父様、地味に楽しそうなのはなぜですか?!」


綺麗な笑顔が輝いているよ。

嫌な予感しかしない。

いや、それ以外思い付かない。

顔をひきつる私に、父様は笑顔のまま答える。


「ティアはティアがしなきゃいけない事に専念しなさい。さしあたっては、王子様達と仲良くして、魔力を判別まで頑張っておくれ」


「それは、そうですが…。それだけと言う訳にも」


「大丈夫、きっと動き出すから。私も動くとしよう」


父様の珍しい発言に私が目を見開くと、父様は苦笑いを浮かべる。


「いつも、ティアにばかり動いてもらってるからね。もうそろそろ、私も動く時がきたんだよ」


その言葉が何を指すのか…分からなければここにいなかった気がする。

本格的に粛清をするつもりなんだ。

家族や身内、友人関係なく。


「父様、お手伝いが必要な時は、遠慮せずに言ってくださいね?」


「あぁ、頼りにしているよ。信頼出来るモノが少ないと思ってしまうのは、私の弱さなのかもしれないね…」


「弱さを知らなくては、強者にはなり得ませんから」


「それは、スノーリーの言葉かい?」


「はい。でも、私もそう思っていますから」


「そうか…私は私のままで良いんだね」


私は頷く。

父様の決意は重い。

だから、一人では背負わせたくない。

私も王族の一員だから。

少しでも力になりたいと想うのは、傲っているのだろうか。

冷めた紅茶を飲みながら、私はただ父様の顔を見つめた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。